■ 転生者の、転生者による、転生者の為の世界
「英雄の誕生だ!」
竜人が支配するその国は、300年ぶりの啓示に沸き立った。将軍アグノッシの髪の毛の一部が、黄色から赤色に変わったのだ。赤い髪の存在しないこの世界において、それは太古の英雄がその身に宿ったものとされ、本人の性格すら大きく変わる事も多かった。
またこれまでの当該者は、様々な分野において、常識では考えられない斬新な発想を展開し、国に大きな利益をもたらしても来たのだった。
だが、事実は少し違う。髪の毛の色が変わった者たちは、異世界から別の魂の転移が行われていたのであった。故に性格も変わり、またこの世界にはない特別な知識を発揮する事も出来た。つまり体はこの世界の者、心は異世界の者というわけだ。
そして、これまで生まれ変わった者の多くは、自らの国の発展のみを考えてきたが、将軍アグノッシは違った。積極的に赤い髪の転生者を自他国問わずに探し出し、説得し、転生者の集団「赤き英雄同盟」を結成する。
そして「転生者による、転生者の為の世界」を構築すべく、元居た世界の知識や技術を駆使し、世界を傍若無人に席巻し始めたのだった。
「この世界の文化レベルは低い。我々転生者の下僕となる事が、民たちの幸せなのだ」
という、ひずんだ優越感の元に。
今、力による世界統一をはからんとする異世界転生者たち、それに対抗する反乱軍、そして謎に満ちた「名もなき英雄」の三つ巴の戦いが始まろうとしている(かも知れない)。




