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第80話 幹部会議


アーナスと別れ帰路につくタカシだが、その足取りは重い。考えることが多すぎて、ただただため息ばかりが出てくる。何でこうなってしまったのだろうと考えながら、いつもの数倍の時間をかけて拠点に戻るのであった。


拠点に着き、幹部に召集をかけた。しばらくすると幹部が一人、また一人と集まってきた。幹部とは、ディオス領の魔物討伐依頼を受ける前、王都の貧民街にあったタカシの家で共に暮らしていたメンバーだ。つまり、タカシ、シャロン(奴隷紋)、セルマ(奴隷紋)、カリン(奴隷紋)、ミオ(奴隷紋)、メグ(奴隷紋)、キーシャ(奴隷)、コリン(奴隷)の八人になる。タカシがこのメンバーを幹部にすると宣言したことはないが、王都脱出からこのメンバーで話し合ってきた。自然と幹部というポジションになっていた。


タカシはアーナスからの話を皆に伝えた。ただし、アーナスがタカシの子を妊娠していることは伏せられた。魔物討伐依頼終了の説明をした時は皆に不安の表情が浮かんだが、騎士団結成の提案があったことを伝えると歓声が上がった。主にカリンやコリンからだが、皆が好意的に受け取っているようだった。シャロンから「私も騎士になるのでしょうか?」と呟くような質問があった。タカシは唸るだけで、答えを返すことができなかった。ミオがタカシに「あまり嬉しそうではないですね」と聞くと、皆がタカシに注目した。


「いや、そういう訳ではないが、色々と問題が山積みに感じてな……」


本当は辺境の地で自由気ままに過ごしたいという気持ちから、騎士という如何にも面倒くさそうな仕事をしたくないと思っていた。しかし獣人族のことを考えれば、騎士団という立場やアーナスの心象を良くすることのメリットは大きく、面倒くさいという個人的な意見など言える状況ではなかった。


キーシャ「農作物を作るため、新たな班分けが必要ですね」


タカシ「一年間は農作物が届くから、それまで猶予はある。アーナス夫人の言い方では、冒険者としてのランクアップも期待している口ぶりだったなあ」


セルマ「冒険者としてのランクアップが、騎士団の強さに転化できるからでしょうね」


タカシ「それもあるだろうなあ。表向きには依頼をそのままにするが報酬は払わない。ギルド報酬は接収すると言っていた。ギルド報酬が目当てなのかと疑ってしまいそうだったよ」


シャロン「ディオス領にとっての金貨十枚など、雀の涙程度と感じるのですが、そうではないのでしょうか……」


タカシ「どうだろうなあ……。財政が厳しいと言っていた。それを無視した自由気ままな状態を怒ってもいたな。俺は役割を果たしていたと思っていたが、ディオス領と一蓮托生な状況なのを理解できていなかったってことだろうな」


シャロン「ディオス領の財政ですか……。自活への道は比較的簡単に実現できると思います。最近まで使われていた畑をそのまま使えますし、冒険者としての収入もありますから」


カリン「そうそう!私たちには魔物の部位や魔石の収入もある」


セルマ「他に何か産業となりえるものがあれば、ディオス領の財政にも貢献できるのですが……。冒険者としての知識はあっても、そちらの知識がなくて……。レインは詳しいのではないでしょうか?元ギルドマスターですし」


シャロン「そうですね……レインは騎士になれないのですか?」


タカシ「ああ、俺もそれを進言したのだが、奴隷紋でないから駄目らしい。レインに何か理由があるのか……もったいないよなあ……。自活のヒントをレインに聞くのはいいな!元ギルドマスターだから、アーナス夫人よりも詳しいかもしれない」


とりあえず、タカシとセルマがレインを連れて村を散策し、どんな農作物を作っていたか、他に産業はあるかを調べる。シャロンやキーシャは元村娘や自警団の娘たちに、ディオス領で収穫できる農作物や産業について確認することで会議は終わった。


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