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10話 訓練場と朝風呂

 ストックを作ろうと少し急ぎ目で書いた話です。

 いつもより長めな上お粗末なのでお気をつけください。


//12.31:武技にルビを振りました。ルビは武技(アーツ)です。



 おはようございます…

 昨晩は死にかけました…

 そのせいで眠れてません…

 スキル検証もできませんでした…


 俺の部屋が他の生徒と離されていることは前に言ったと思う。

 だがそれに補足してもうひとつマズい点が。


 それは、圧倒的な壁の薄さである。

 そのせいで昨日は全く眠れなかったよ。

 いやー、まさか毛布にくるまってても凍え死にそうになるほどとは…

 いくら[環境適応]の効果で耐性系スキルが生えやすくなってるからって、余りの気温の低さに[寒冷耐性]が生えてきた程だし。

 あーあ、俺に火属性の適性があれば暖まれたのに。

 どうにか[並列意思]を使って交代で半寝状態をキープしてたのでそこまで眠くはない。

 因みにこれが原因で[覚醒睡眠]なるスキルを習得した。


 属性で思い出したけど、まさかとは思うけど氷魔法とか使われてないよな?

 いや、契約のおかげでそれは無いはず。


 まあそれは置いといて、本当に寒すぎて寒すぎて、朝日が高く昇ってきた今になってようやっとベッドという名の聖域から出られたよ。


 「さて、まだ向こうの世界換算で5時頃なはずだし、やることも無いから着替して散歩するか」


 別に城内を散歩しちゃいけないなんて言われてないし、多分他の奴らもそうしてるだろ。


 着替えを取り出そうとしてクローゼットを開けると、いかにもな服が何着か入っていた。

 中に入っていたのはどれも白の長袖Tシャツ擬き、黒の長ズボン、紺色のベストのセットだった。

 計六セットのうち、適当なものを引っ張り出すと早速着替えてみることにした。


 制服は脱ぎ、余っていた木製のハンガーに引っ掛けておく。

 学ランはカッコいいんだが、ワイシャツの変えがないせいで[生活魔法]あたりを手に入れないと頻繁には着られそうではない。

 一応存在自体は『森羅万象』で確認してあるのでいつか手に入れたいところだ。


 最初にTシャツから着ようと思ったのだが…

 とんでもなくゴワゴワでカチカチだった。


 「えぇー、これ着て生活してるのここの人達」


 下級貴族と同等の衣食住の保証はしてもらっているので、これが平均的なものなのだろう。

 というか、下級貴族でこれなのだから平民はどれだけ酷いものを着てるんだか…

 いかに縦社会なのかがよくわかると思う。


 色々考えているうちに残りのズボンとベストも着用し終ていた。

 ベストは首下あたりが茶色の紐で結ばれており、ファンタジー感がすごい!

 たぶん鏡があったら、フォォーッ!ってなってたんだろうが、あいにく部屋にはないので確認できない。


 特にここにいても意味は無いのでさっさと部屋をでることにした。




 散歩のコースだが部屋をでてから右手に進み、試しに昨日存在を確認した訓練場っぽい所に行ってみることにした。


 俺の部屋は長い廊下の突き当たりに設けてあり、その廊下に面している部屋は全て空室で鍵がかかっていたため面白いものは見つからなかった。

 禁書庫とかあれば面白かったのに。


 しばらく周りを見ながら歩いていると、何やら訓練場の方からブンブンと風切り音が聞こえてきた。

 なにやら掛け声も聞こえることから誰かが朝練でもしてるんだろう。


 その人に迷惑をかけないようにと迂回して訓練場の方へ出ようとすると、朝練をしているらしき人が声をかけてきた。


 「ふぅ、一旦ここまでにするか。ん? おお、ユウじゃねぇか! こんな所に何しに来たんだ?」


 誰かと思って振り返ってみると、身の丈ほどの大剣を担いだヴァッシュさんだった。

 さすがに鎧は付けていないようだが、迫力が凄い。

 やましいことはしていないので正直に答える。


 「あ、おはようございますヴァッシュさん。俺はただの散歩ですよ。ヴァッシュさんは朝練ですか?」


 「アサレン?が何かは知らないが、習慣である朝の訓練にな」


 「なるほど。ところで今担いでる大剣は?」


 「ああ、これはな、俺が訓練用に特注した魔重鋼の大剣だ。持ってみるか?」


 気になった魔重鋼については『森羅万象』で調べておく。


 余談だが、『森羅万象』は無条件でなんでも調べられる訳ではなく、適切なキーワードが無ければ検索できない。

 たとえばこの世界の言語を知りたくても、きちんと国名やら部族名やらを指定しなければ検索できない。

 逆に「この世界の言語全て」なんて情報をダウンロードしてしまえば、俺のちっぽけな脳ミソのリソースは一瞬で食い潰されることになる。


 ま、それは置いといて、折角なので大剣を持たせてもらうことにした。

 あとついでに魔重鋼の情報についての擦り合わせもしてみたいし。


 「いいんですか? とその前に、そもそも魔重鋼ってなんですか?」


 「そういやそうだったな。この剣に使われてる魔重鋼ってのには魔力を吸い取って重さを増すっつう性質があるんだ。その性質が理由でよく素振り用の件に使われてる。でだ、今俺が1000ほど魔力を入れてあるからそうだな…だいたい2000キースくらいだ。つってもわからねぇか、まあとりあえず持ってみろ」


 魔重鋼の情報についてはこちらで得た情報と合致してたな。

 特に意味は無いけど、こういう差異は知ってみると面白からさ。

 で、肝心の2000キースという重さの単位だが、調べた結果だと1キースあたりだいたい50g程だから…2000キースだと100kg程となる。


 いや、100kgだと知った時は俺も驚いたよ、どんなゴリラだよそれってな。

 けどステータスのおかげだと考えたら納得したんだけどね。

 だけど筋力値50の俺ごときが当然持てるわけもなく…


 「は、はい、ありがとうございます…ってうお!?」


 渡された途端にこちらに倒れてきて焦った。

 いや、倒れるというよりもうあれは飛んでくるの方が合ってるレベルだよ…

 咄嗟にヴァッシュさんが大剣の柄を掴んでくれたおかげで圧死せずにすんだ。


 「おっとあぶねぇ、そういやユウは筋力が50しか無かったもんな。悪い悪い。けど、せっかくだからなにか振っておけ、午後の訓練の時にも少しだけ先に進めるかもしれないし、何より面白いからな!」


 筋力については触れて欲しくなかったけど、確かになにか振っておくのは良さそうだ。

 夜のうちに筋トレでパラメータが上がることは調べて分かっていたし、あわよくばスキルが手に入るかもだしな!

 けどやっぱり一番はロマンだろう!


 ということで、軽めの素材でできた長剣を二本借りた。

 ヴァッシュさんには、


 「双剣なんて初心者がやると怪我するぞ」


 と言われたが、そこはロマンだろうと言ってみたり<叡智>が軽い思考補助系だと言うと納得してくれた。

 けどスキルを理由にした時よりロマンだと言った時の方が納得していたのは男だからだろう。


 「じゃあユウ、俺は双剣使いじゃねぇから上手くは教えられねぇが剣についての基本的な事だけは教えられる。というわけでよく聞いておけ」


 そして、せっかくだから剣の術理を教えてもらうことにした。

 そこからはヴァッシュさんとのマンツーマンだ。




 「まず剣ってのは、脆い。切れば刃は欠けるし時には折れる。だからこそ、大事なのは力の入れ具合だ。初速は豪快に、そして相手に近付いてからは真っ直ぐに刃を入れるんだ」


 そう言って実演してくれる剣さばきは言われた事を意識してみると、一見力任せで豪胆に見えても確実に一点を斬ることに重点を置かれた、とても洗練された型だと分かった。

 それをアルファとベータも使ってどうにか再現してみる。

 勿論まずは剣一本からだが。


 目標は目の前、仮想敵を置いて行う。

 振りかぶってからは思いっきり力を入れてのフルスイング、そして十分勢いの着いたところで真っ直ぐに切り下ろす。


 ヒュンッ!


 おっ、いい音鳴ったな。

 これなら及第点は貰えるんじゃね?と思っていたら、


 「おおっ!? お前一遍教えただけでここまでできるとは、センスあるな!」


 なんとかなりの高得点だったようだ!

 一国の騎士団長からセンスがあると言われれば俄然やる気も湧くもので、なんとここに来てからたったの一時間半ほどで、集中していればヴァッシュさんからも認められる程の一閃を身に付けることができた。

 他にも構えや戦闘中の体さばきなんかも教えて貰った。


 あとは俺がヴァッシュさんの事を師匠と呼び始めたりもした。

 最初師匠はあまり乗り気じゃなかったが、褒めて上げまくったら気を良くして師匠呼びが許可された。

 実際教えを乞うているのはこっちだし、間違ってはいないだろう。


 ただ、有意義な時間ほど早く過ぎるというもので…


 「さて、もうそろそろ朝食だな」


 「もうですか? なんかまだ体感では半刻ほどしか経ってないような気がするんですけど」


 「それが剣の楽しいところよ! 自分がどこまで行けるかの限界を探ったり、己の剣技を磨いたりと時間が分からなくなるほどにのめり込めるところがな」


 確かにそんな感じである一つの物事にのめり込むのって楽しいもんな。

 なんだか師匠の気持ちがわかってきた気がする。


 「じゃあユウ、風呂でも入りに行くか」


 「え、いいんですか? こんな時間に」


 「ああ、今の時期は少ないが朝の訓練後に使える風呂場があるんだ。せっかくだし汗を流しに行こう」


 「そうですね。といっても俺、着替え持ってませんよ?」


 「俺が"浄化(クリーン)"を使うから問題ない」


 「じゃあ行きましょう! 今すぐに」


 "浄化(クリーン)"というのは[生活魔法]で使用可能な魔法の一つで、俺が今一番欲しているスキルの一つである。

 典型的な軽度の汚れを綺麗にしてくれる魔法だ。


 というか、風呂かぁ。

 日本人として風呂に入りたい気持ちも強いので師匠を催促しておく。

 さて、風呂はどんな感じかなぁ。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 ということでやって来ました風呂場!

 見た目は古めの銭湯を洋風にしたような具合だ。

 着替えは壁棚にある備え付けのカゴに放り込んでおく。


 風呂の中はとても広く、大体体育館半個分くらいだった。


 体を洗い湯に浸かると、なんとも言えない幸福感が体中に拡がった。


 「ふひぃー、極楽極楽〜」


 「なんだか意味は分からないがジジ臭くないか?」


 「そうっすかねぇ〜」


 口調が部活敬語なのは気が抜けているからだ。

 というか師匠からもジジくさいといわれたよ…

 燈火たちと銭湯行く度に言われてたが、やっぱりそうなのかねぇ。


 「ユウ、お前の才能には驚かされたよ」


 「いやー、師匠の教え方がうまいだけですよー」


 「もし仮にそうだとしても、剣に触ったことも無いやつがたった一刻ちょっとでここまで化けるのは、本人の才能がなきゃ到底無理な話しだ」


 「ははっ、もし本当にそうだったらいつかは師匠を越えられますかねー」


 出会って本の数時間の関係だが、俺と師匠の間には確かな信頼関係ができていた。

 だからこそ、いつかは師匠を超えて、認めさせたいと思った。

 今の俺では到底たどり着けない場所だから。

 いつか嫌でも参加するだろう魔王戦、その時に少しでも役に立つ為に。


 「はっ、いくらユウでも半生を剣に捧げてる俺の技術を超えるのは、まだまだ先だろうさ。なんたって俺の[大剣術]は進化して[真大剣術Lv5]だからな!」


 [大剣術]は文字通り大剣の扱いが上手くなるスキルで、その進化形が[真大剣術Lv5]なのだろう。

 まだまだ先どころか、一生かかっても無理な気がしてきた…


 「そう言えばユウ、[剣術]スキルは習得できたのか?」


 「ちょっと待ってくださいね…っ! あった! ありましたよ!」


 アルファに頼んで集中のために通知OFFにして貰っいてたから気づかなかったが、念願の[剣術]スキルをゲットできたよ!

 他にも幾つかスキルが手に入っていたが、一番はこいつだ。

 これがあるのと無いのとだと大分戦績に違いが出てくるだろう。

 因みに鑑定結果はこうだ。



////////////////////////

武術系無級スキル [剣術Lv1] 能動/受動型


能力

◆剣の術理

 ・剣を使用した時の記憶/感覚を保存し、保有者の戦闘を補助する。保存精度や量はLvに依存する。

◆剣の術技

 ・氣力を消費し剣で武技(アーツ)を行使可能。武技は習熟や武道書の使用で獲得可能。また、所属流派の武技の行使が許可される。


説明

保有者の剣の使用経験を元に戦闘を補助する。また、氣力を消費して武技(アーツ)を行使可能。所属している流派の武技を習得可能になる。


流派

なし


武技(アーツ)

なし

////////////////////////



 手に入れた瞬間から剣の扱いが上手くなる訳ではなく、あくまでも上達のサポートに留まるようだ。

 そりゃまあ、一度も剣を見たことも触れたことも無い人がいきなり上手くなるわけないわな。


 流派だとか武技だとか他のスキルだと見ない項目があるな。

 流派は分かるけど、武技(アーツ)って何だ?

 調べて見ると武術系スキル固有の能力らしく、氣力を消費して武器を強化する『付与型』と、ソードなスキルよろしく体が勝手に動く『発動型』の2種類があるらしい。

 しかも武技は時間をかければ自分で作ることもできるらしく、派手なエフェクトも着くので、マジで二刀流16連撃の武技(アーツ)とか作れるかもしれないというロマン仕様!

 いやー、これホント無級でいいのかってくらい高性能だな。


 「このスキル、便利すぎやしませんか? 戦闘の補助だけじゃなくて技まで使えるようになるって、もうなんでもできそうな気がするんですよね」


 「まあ、だからこそそんな便利なものに頼りきりになってる奴より、己の剣技を磨いた奴の方が何枚も上手なんだろうな。実際ユウの剣の才能だってステータスに現れなかったように、ステータスじゃ測れねぇ強さってのはあるんだ。だから、便利は便利でも万能じゃねぇってこった」


 なるほどなぁ、じゃあ俺もたまにはスキルを鍛えるだけじゃなくて、自分のリアルスキルでも鍛えてみようかな。


 「さて、長話がすぎたな。もう上がるぞ、ユウ」


 「そうですね、分かりました」


 風呂から上がり備え付けのゴワゴワな布で体の水気を拭き取り、下着を含め服を師匠に"浄化(クリーン)"で綺麗にしてもらった。


 そのまま師匠は騎士団長の勤めがあるとの事で風呂場で別れた。


 さて、サッパリしたし飯でも食いに行こうか。


 今回獲得していたいくつかのスキルを確認しながら、食堂を目指し足を進めた。

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