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強者

「え?」


「どうした、戸田」


「え、あの、いや、

立川さんが頼りになる2人っていうんで、

なんというか...

下柳みたいな人が来るんだろうなって

勝手に想像してたんですけど...

 黒岩さんはシュッとしてて

モデルみたいで、

白崎さんにいたっては...女性だったことに驚いて...」


白崎と黒岩は

戸田のその発言を聞いて

お互いに見合って、指を差し合い笑い出す。


「白崎、お前...男と思われてたんだってよ」


「黒岩、あんたがモデル...?」


「喧嘩売ってんのか?」

「やんの?」


仲が良いのか、悪いのか...

何年同じ事を続けてるんだ...


でも確かに容姿や性別について

言及はしていなかったな。


「戸田から見たらそうだよな。元仕事仲間って事以外は

何も触れてなかったな。

改めて紹介する、俺の元仕事仲間だった黒岩と白...」


[パリーンッ!] 


窓ガラスが割れる音が響く。


前にも聞いたような音だな。

明らかに良くない事が始まる合図だ。


ただ今は俺だけじゃない。

戸田や下柳、そして黒岩と白崎がいる。


「立川さん、他にも人呼んでたんですか〜?

ちゃんと教えてくださいよ〜」


「こんな無駄に音立てて入ってくる無能を

立川さんが呼ぶわけないだろ」


白崎もそう言いつつも分かっているのだろう、

こちら側の人間ではない事を。


2人とも臨戦体勢になり、戸田と下柳も身構える。


さっきまで柔和だった空気が

一瞬にして反転し、一気に張り詰める。


奥の暗がりから複数の人影がぞろぞろ現れる。


人数は5...いや6人か。


全員が黒い目出し帽を被り、

それぞれが金属バットやバール、

明らかに人体に損害を与える目的であろう

凶器を所持している。

あからさまな敵意を目にして、

さらに緊張感が走る。


その集団の一番前。

仕切り役とも思われる1人が口を開く。


「おま


三文字目が聞き取れるかどうかのその刹那、

白崎が目出し帽の6人に向かって突撃する。

それを追いかける様に黒岩も走り出す。


白崎はポケットからナックルを取り出し、

黒岩はポケットから伸縮式の鉄棒を取り出す。

2人は突撃の最中に

それらを慣れた手つきで装備する。


そしてそれに呼応するように

相手もそれぞれ手にしていた凶器を一斉に構えだす。


白崎は向かって右側から

黒岩は向かって左側から

両側に散って攻撃を開始する。


目出し帽達も

白崎に対応する側と

黒岩に対応する側に分かれ、

そのまま一斉に2人に凶器を振り上げ、襲いかかる。


その凶器の振り下ろされる線上に

黒岩、白崎共に自分の攻撃を合わせ、弾く。

弾いては、かわす。

かわしては、弾く。

弾く、かわす、弾く。


複数人からの攻撃をものともせず、

対応していく。

その動きに無駄はない。


そしてその姿を見て、戸田と下柳は絶句していた。


「なんなんですか...あの2人...半端じゃない..」


唐突な敵の出現より、

目の前で繰り広げられる

華麗な2人のその身のこなしに

圧倒されているようだ。


相手は重い凶器を振り回すも、当たらずが続く。

その使い方には経験の浅さも垣間見える。

そしてその攻撃にわずかな疲労の色が見えた瞬間、

黒岩と白崎が同時に守りから

攻撃へと切り替え、殲滅を開始する。


みぞおち。喉仏。

人中。こめかみ。

顎、そして金的。


急所という急所に

正確かつ無慈悲な攻撃をその全てに与える。


目出し帽達はなす術なく

一人一人と数を減らし、

ほどなくして全員が地面に伏せた。


終わってみれば、

始まりから終わりまでは一瞬だった。


打って変わって静まった場を無視して、

黒岩が口を開く。


「白崎、お前何人だ?」


「3人だけど〜?」


「くそ...!なんでこいつら偶数なんだよ...!」


くだらないその勝敗の行方に対する

苛立ちの発言と同時に、

黒岩が足元にひれ伏している敵の腹を蹴り上げる。

蹴られた奴はさらにその場にうずくまる。 


かわいそうに...


「っていうか

なんか話そうとしてたっぽいですけど

やっつけちゃってよかったですかね〜?」


それをお前が言うか...


「それは突っ込む前に聞くことだな...」


「たしかに!立川さん頭良い!」


「お前がバカなだけだろ」


「黒岩、お前もだろ...

せめて話終わってからにしろよ...」


「いや、白崎が突っ込んだんで、

負けたくないんで」


はあ...アホだ...

俺は間違えたかもしれない...


「...まあいい。

もうやったことは仕方ない。

最初に喋ろうとした奴に尋問しよう。

何故ここを知ったのか。

何故襲いに来たのか。

そもそも誰なのか、何も分からないからな」


「いや〜黒岩にも困ったもんですね〜」


「お前が先に突っ込んだだろ」


「お前らなあ...」


「立川さん...本当にこの2人は何者なんですか...

それになんでこんな2人と立川さんは

関わりがあるんですか?

俺達とはまた違う業界の人間ですよね?

...しかもその道のプロだ」


「凄い...」


下柳が自分から言葉を発するとは...


「戸田、その質問には後で答えるよ」

 

「...分かりました」


「黒岩、白崎、その時にこいつらを紹介させてほしい」


「了解」


「了解で〜す!」


三者三様の返答だ。


「とりあえず仕切り役をしていた目出し帽を

連れて場所を移そう。

残りの奴らが意識を取り戻す前に。

 黒岩、白崎、後で合わせて説明するが、

俺達には今、行き場も居場所もない。

2人になにか思い当たるところはないか?

少しだけでいい、落ち着いて話せるところは」


「申し訳ないですが、俺は無いですね」


「私は、あるっちゃありますよっ。気になります〜?」


「白崎それは本当か?それはどこだ?

早くそこに場所を移そう。派手な音を立てて戦闘を行ったし

警察だって寄ってくるかもしれない」


「確かに!立川さん名推理ですね!


では、発表しま〜す。

そこは...


どぅるどぅるどぅる〜...


どんっ!


株式会社ウェイトアンダーです!」



...は?


なんで白崎がその会社を知ってるんだ。


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