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【書籍化】エアボーンウイッチ~異世界帰りの魔導師は、空を飛びたいから第一空挺団に所属しました~  作者: 呑兵衛和尚
Seventh Mission~最終決戦、そして地球の命運は

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What’d I Say, Pt. 1(無事生還、そして事務的仕事が待っていますよねぇ)

 ガヤガヤガヤガヤ

  

 函館迷宮入り口の洞窟。

 現在は関係者以外立ち入り禁止として入場が制限されており、自衛隊及び警察による内部調査が始まるところであった。

 今回の迷宮暴走による被害者は一名、重軽傷者合わせて24名という大惨事。

 当然ながらマスコミ関係者がこのタイミングを逃すことはなく、非常線外では大量のカメラや中継車が待機している。

 その目的は一つ、被害者が運ばれてくるのを待っているだけ。

 既に彼の仲間であった迷惑系ユーチューバー達は警察の取り調べを受けている真っ最中であり、警察関係からの公式発表が始まるのを今か今かと待っている報道関係者もいるのだが。


――ザワワワワワッ

 その群衆のざわめきが大きくなる。

 洞窟入り口奥から姿を現したのは、魔法の絨毯に乗っている男性が二人と女性が一人。

 そしてその横を魔法の箒に横座りになって飛んでくる如月2曹。

 

「如月2曹、今回の失態について自衛隊としてはどのような判断をするのでしょうか!!」

「被害者の遺族も近くの宿で待っています!! 何か一言ありませんか!!」

「魔術師であるあなたが付いていながらのこの失態、どう取り繕うのでしょうか!!」


 非常線の外から聞こえてくる叫び声。

 だが、そんなものは知らん存ぜぬとばかりに、如月2曹は涼しい顔をしている。


………

……


「はぁ、めんどくさいから先に説明するわよ。要救助者三名を確保、簡単な治療を終えた後、救助して戻って来ただけでね、何でわたしがそんなに詰められないとならないのよ!!」


 あ~、なんというか、マスコミのみなさん、ものすごい必死の形相でいらっしゃること。

 一部のアナウンサーなんて嬉々として、笑顔で私に詰め寄ろうとしているのですけれどねぇ。


「被害者の両親に申し訳ないと思わないのですか、何か一言ぐらい謝罪の言葉があってもいいのではないでしょうか!!」

「だってさ。ほら、迷惑ユーチューバーさん、一言謝罪っ」


 そう絨毯の上で伏せっている迷惑系ユーチューバーの五反田さんに呟くと、頭をポリポリと搔きながらゆっくりと体を起こした。


「あ、あの……今回は本っ当にすいませんでした。この通り、無事に生還しましたので、あの、あまり如月さんを責めないでください」


 申し訳なさそうに呟く五反田くん。

 その瞬間、周囲の反応は二つに分かれた。

 死んだと公式発表されている人物が生還したのだから、そりゃあ絶叫する人もいるでしょう。

 そして反対に、私に向かって『イカサマに決まっている』『責任逃れで幻覚を見せているのか』といった罵詈雑言をぶつけてくるマスコミもいるんだけれど、それって、多分カメラに写っているよねぇ。

 だから、私もアイテムボックスから『壊れた水晶球』を取り出して、カメラに向かって掲げて見せる。


「これは、所有者の願いを一つだけ叶える『奇跡のオーブ』。まあ、色々と手続きは必要だったけれど、彼を蘇生したのよ。そしてこれはただの水晶に戻ってしまったという事、分かった? 彼は生き返ったのよ、ついでに言うなら、病院でしっかりと検査してもらっても構わないわよ。それで、私の責任って何かしら? 彼を守れなかったことについては否定はしないわよ、例えそれが、こちらの命令を無視して危険地帯に入って来た無謀な若者だったとしてもね」


 堂々と言い切って見せると、流石のマスコミも沈黙する。

 まあ、私が魔法で蘇生したなんて一言もいっていない。

 掲げた水晶球は昔使っていた呪術用の魔導具で、落として割ったものだけれど。

 だから嘘は一切言っていないのよ。


「そ、そんな事が出来るだなんて……」

「あのねぇ。聖女ヨハンナは死者蘇生の秘術も使えるのよ。もっとも、それだってとんでもない制約があるし、この地球で使えるかどうかなんて私にも判らない。ただ、異世界帰りの勇者は、奇跡を行使する事も出来るっていう事だけは覚えておいて。そして、私が死者を蘇生する事はもう不可能。この水晶球が割れてしまったからね」


――パシャパシャパシャパシャ

 一斉にカメラのフラッシュが点灯する。

 それと同時に、私は高度を上げて現在地点から脱出、急ぎ自衛隊の詰所まで魔法の絨毯を牽引して行く事にした。

 だってさ、あのまま話を続けていたら、また自衛隊広報に怒られるのよ。


………

……


――五稜郭迷宮外、臨時自衛隊詰所

 現在、ここには第1空挺団から有働2佐と一ノ瀬1曹、及び北部方面隊の隊員が詰めている。

 如月2曹と大越3曹からの報告により、函館迷宮は封鎖する事がほぼ決定した為、その手続きの為に現地にやって来たのである。

 もっとも、未だ発見されていない要救助者を捜索する為の部隊も同行していたのだが、上空から魔法の絨毯と箒で降下してきた如月2曹の姿を見て、がっくりと肩を落としていた。


「それで。まずは報告を頼む」

「はっ。第1空挺団魔導編隊所属・如月弥生2曹、函館迷宮内で消息不明であった要救助者三名の救助を完了しました。尚、死者一名は蘇生し、現在は怪我無く同行しています」


 ビシッと敬礼からの報告。

 そして目の前では、ヒクヒクと頬を引きつらせている有働2佐。


「ご苦労。詳しい報告は後ほど、提出してもらう事となるが」

「はっ。今回の件ですが、これが最初ではないと報告します。詳細については、この場および北部方面隊で行うよりも、統合幕僚監部で行う事が必要であると意見具申します」


 この私の説明で、有働2佐も何か理解してくれたようです。

 ええ。事はそんなに簡単ではない、そして私だけでなく自衛隊での大規模活動も必要である事を判ってくれたかと。


「分かった。それについては後日、まずは北部方面隊の畠山陸将に報告を。そして後ろの三人については一旦、医療班へ向かってもらうが、それで構わないな」

「はっ。出来るなら、そのドイツ人は身柄を拘束した方がよいと具申します。彼は南雲皐月の能力を手中に収めるべく特務機関から派遣されてきた『迷宮覚醒能力者』です。他にもいくつもの組織が動いています」


――パチン

 その私の報告で、有働2佐が指を鳴らす。

 

「詳しい事情はこれから確認させてもらう。そのドイツ人は別件で取り扱うので、別の医療班へ。それで、南雲さんと……その、蘇生した男性は、普通に医療班での検査を受けてもらうが大丈夫だな?」

「はっ。南雲皐月は私の新たな弟子としての契約を行いました。既に使い魔を使役しており、身を守る術については問題ないと思います」

「……今、何ていった?」


 あ、やっば。

 別件で怒られる。


「南雲皐月を、七織の魔導師の弟子として契約しました。と申しました」

「小笠原1尉はどうなった? 確か彼女が弟子である限りは、新たな弟子は取れないのではなかったか?」

「あ~、小笠原1尉は弟子を卒業しました。まだ報告していませんでしたか?」

「初耳だな。実は、小笠原1尉が弟子を卒業した暁には、次世代の魔法使いを育成すべく数名の魔法使い候補生がリストアップしてあったのだが……それは無駄になったという事か」

「そうですね。というか、私はそんなのまだ見ていませんけれど」


 有働2佐曰く、小笠原1尉の弟子卒業と同時に私に手渡される予定であったらしいのですが。

 まあ、その話自体初耳なので、この件はこれでおしまいという事ですね。


「まあ、ここで話をしていても埒が明かないだろう。ということで、明日にでも畠山陸将へ報告。後日改めて、統合幕僚監部への報告を行う」

「はつ。その際、南雲皐月さんも同行する事をお許しください。今回の件、実は彼女も関係者であります。それも、私より根が深い部分での情報を得ています」

「……わかった。彼女については、こちらからも護衛をつけるように進言しておく。今後のスケジュールについても、こちらから打診はしておく。なお、今回の如月2曹の件についての報告の後、彼女の処遇についても考慮させていただく……というところだな」


 ありがたや。

 さすがは有働2佐、判断が早い。

 そこまでの説明の後、それまで硬かった表情が柔らかくなったのですが。


「それで、魔導具による死者蘇生についての報告も行ってくれるのだよな」

「ああ、やっぱり必要ですか」

「全国放送で、堂々と宣言したからなぁ。奇跡を起こすオーブによる死者蘇生。ま、畠山陸将への報告だけでもしっかりと。それで、そのオーブはもうないのか? 如月2曹が自分で作れるものとか?」

「もうありませんよ。それと、私では奇跡のオーブは作れません。あれは迷宮発掘品であり、この地球の迷宮では生み出されることはありませんと具申しておきます」


 そもそも、奇跡のオーブは異世界アルムフレイアの4大迷宮最下層に存在する『最高位迷宮核』の事をあらわしていますからね。神級迷宮踏破者にのみ与えられる報酬であって、おいそれと入手する事は出来ませんので。

 そんなの作れるのは、あっちの世界の神のみですから。


「はっはっはっ。まあ、そう報告しておくのが無難だな。どんな願いも叶う『奇跡のオーブ』なんて、その存在自体が百害あって一利なし。世界中の人々が喉から手が出るほど欲するものだ」

「そうでしょうね。だから、もうないって宣言しましたから。あるのは欠片だけです」

「それだけでも解析したいという輩はいるだろうさ」

「この地球上において、魔導具について私より詳しい専門家がいるのなら」

「いないな、以上。では如月2曹は南雲皐月さんについていてくれ。検査が終わった後、うちの女性隊員に護衛を任せる。如月2曹は入れ替わりで北部方面隊に帰還、報告を」


――ザッ

 敬礼ののち、踵を返して医療班へ。

 さて、七面倒臭いマスコミの対応についても、自衛隊広報に任せるとしますか。


いつもお読み頂き、ありがとうございます。


・この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

・誤字脱字は都度修正しますので。 その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。



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