第5話 紙をつくりたい〜その3〜
———-で時を進める
を覚えました… 紙作りというか、和紙作りって時間がかかるんですね
おはようございます。
昨夜、お水をがぶ飲みして、ふかふかおふとぅんにお漏らしをし…
なかったアルティフェリス3歳でございます。
お漏らしするかちょっと冷や冷やしたんだけどね、中身18歳だからね、ちゃんと夜中に起きましたわ。
魔力0でも使えるコップもどきは部屋にあるから、これは尿検査、これは尿検査、これは…
って暗示かけながら採取いたしました(泣)
夜中だから、メイドのキリアにもバレずにできた!
誰かに見られてたら、もう恥ずかしさで死ねるわ。
「おはようございます、お嬢様。お早いお目覚めでいらっしゃいますね。」
ぎくっ…キリアが起こしに来た…
平常心、平常心… ベッドの下に頑張って密閉して隠した検査ブツは気にしない、気にしない…
「おはよう、キリア。なんだか目が覚めちゃって…お腹が空いたわ、今日の朝食はなーに?」
「本日も、ルフレでございます。」
そう、あの光るミルク味の粒はルフレというらしい。
地球の子供は生後半年くらいから離乳食だが、この世界では魔力的な食育?があるらしく、5歳になるまでは光の粒ミルクであるのが普通らしい。
幼い頃から魔力を多く含ませたルフレを食べさせることで、大人になった時の魔力量の伸びが違うのだとか。
「だよね〜。なんかコロッケ食べたい気分だったの。」
「…。コロッケというのは何でございますか?」
おっとっとしまった。この世界には揚げ物もないのだ。
「コロッケっていうの食べたゆめをみたの。」
誤魔化せたかな?あぶないあぶない…
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さて、ルフレも食べて満腹になったことだし、本日もものづくりいたしますか!
今日の夕方くらいには、昨日作った草木灰も出来上がるだろうし、そうしたら、木の皮がを煮詰められる!
その前に、今後のためにも重曹(炭酸水素ナトリウム)は絶対作りたいのだ。
さて、重曹はアンモニアソーダ法で作られる、塩水にアンモニアを飽和させて二酸化炭素をふーっと通すと沈澱するらしい。
今日は材料をちゃんと揃えたので、キリアに早速魔法でちょちょいと作ってもらおうと思う!(もちろん、検査ブツが入ったコップにはNH3とノート魔法して、中身は内緒!にしてある…)
あー、キリアごめんよう…誰か早くハーバーボッシュ法を実現してください…
「キリア、ここにある材料に昨日の魔法式を起動してみて」
「かしこまりました。」
キリアが魔法式を構築し、起動すると、キリアが慌てている様子だった。
「お、お嬢様、いったい何をお造りになったのですか…?普通の魔法ではこのような現象は起きません…‼︎」
私が用意した材料から、きらきら光る文字が浮かび上がり、教科書でみる化学反応式そのものがふわふわと宙に浮かんでいた。
それと同時に、頭の中に電子音のような機械的な声が響いてきた。
『塩化ナトリウム、アンモニア、水、二酸化炭素を確認しました。……合成に成功しました。「ものづくり」のレベルが1上がりました。』
「…へ?」
私が、レベル?!とびっくりしている間に、合成は終わったらしく、キリアは動揺を隠しながらも、出来上がった白い粉を私に見せた。
「…お嬢様、魔法式が起動し、このようなものができましたが、これはいったい何なのでしょうか…」
そっか、この世界の人は、魔法で作り出すものは当然結果を知っていて生み出すものだから、何になるかもわからないものを作るのは怖かっただろうな。
それに、出来たものってこの世界初の魔法による「実体があるもの」!!これだいじ!
「キリア、びっくりさせてごめんね。これは、いろんなものに使える魔法の粉なんだよ!」
「…お嬢様に危険がないならば、ご自由にお使いください。」
さて、重曹ができたよー!!!!!うれしーい!!
もう、木の皮煮ちゃう!草木灰は、後回しにする!
「キリア!おっきいお鍋用意して!!」
さて、レッツ紙づくり〜!
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ぐつぐつぐつぐつぐつぐつぐつぐつ…
かれこれ6時間ぐらい、まっ茶色の鍋をかき混ぜる3歳児です…
ちなみにこの木の皮、地球と同じでコウゾっていうんだって。
ファンタジ〜あるある名前同じ〜
重曹入れて、茶色の液体をぐつぐつ煮つめる3歳児って絵がすごいわ〜
「キリア、この鍋の茶色い水を捨てて、綺麗な水をいれて」
よし!このまま夜まで放置、アク抜きだー!
それまで暇だからお家を探検しよう〜
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「お嬢様、お嬢様… もう朝でございますよ…」
「っえ?!」
あさ?!えー?!
どうやら、3歳児がこの屋敷を探検するのはオーバーワークすぎるみたいだ。
疲れてお昼寝のまま、朝までこてんと寝てたと…
まぁいい感じにコウゾのアクが抜けてるだろうな、ふぁ〜寝過ぎてねむい!
よし!今日こそは紙をこの手にー!
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結果から言います………
魔法とものづくりって相性良すぎぃ〜?!!!
ものづくりレベルが2になりました。
昨日、コウゾを煮詰めてアク抜きしたから、後は洗って漂白して、細かく砕いて、薄く伸ばして乾かすだけだったんだけど…
まず、洗って漂白の段階で、クリーン魔法が万能すぎた。
驚きの白さ!ぴかー!みたいな仕上がり…
続いて、粉砕もらくらく…竜巻みたいな風魔法でバラバラに…
もうミキサー魔法でいいや
最後に薄く伸ばして乾かすのも魔法でちょちょいのちょい…
はい、ちょっとざらざらするけど白くて長方形の紙ができました!
キリアさまさまなんだけどね…
私が、もっと早くできないかな…ってぼやいてたのを聞きつけて、
「僭越ながら、ご指示をいただければ、私が作業いたします。」
ってキリッと言われちゃあね…そりゃ、
「ほんと?!よろしくー!!」
ってなるでしょう〜!
ちなみに、重曹じゃなくて、草木灰で繊維をほぐしたやつは、重曹の紙よりもざらざらが大きかったかな。
というわけで、ついに!ついに!念願の「紙」が完成しましたー!!
商会に売りつけて特許とって、大儲けしたい…
まぁ、そんなうまく行かないだろうけど、大きな一歩だよね〜
千里の道も一歩から一歩から!
地道にものづくりしますか!(号泣)
アルティフェリスが初の紙に涙している時、大人たちも別の意味で狂喜乱舞していた…。
フェリスのママ視点書きたいと思います。
こんな初心者の小説家を読んでくださって嬉しい限りです。
ありがとうございます(号泣)