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異世界制圧奮闘記  作者: 大九
第3章 入学編
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第8話 会談の続きと自己紹介

バカ国王が長くなってしまいました。

「ああ、そういえば姫様はその存在以外、一切のことを伏せられておられるのでしたね。姫様の御名はトルチェリーナ・バルミカル(・・・・・・)殿下。貴校においてはトルチェリーナ・ルカミルバ(・・・・・)の名で受験をされているはずです。」

「あの、次席合格の精霊持ちの娘ですか?」

ヴァルトシュタインは驚いたような顔で返した。

「そうだ、そして入試に関するデータを拝見させてもらったが、殿下は10戦全勝。他にも全勝の者が数名いたのでその中で殿下が首席ではないとご判断されたのであろうが、何が理由でこのチカラ・スズキと言う者に劣ると判断されたのか?」

「そうだそうだ。うちの可愛いトルチェちゃんがこんなどこの馬の骨とも知らない奴に劣るはずがない。」

親ばかここに極まれりといった風に国王が囃し立てる。ゲーリッヒは再び頭を抱えた。


ヴァルトシュタインは少し考えてから話し始めた。

彼に残された道は2つであった。一つは殿下への非礼を侘び首席と次席を入れ替えること。しかし、ヴァルトシュタインはもう一方の道を選んだ。それにより自分の首が飛ぼうと構わないと思いながら。

「失礼ながら、首席と次席を比較しますれば、その力の差は歴然でございます。何しろ首席の実技成績は全くの無傷での10戦全勝。しかも、一切の魔法を使わずに。その中には、本年度三席、六席、十一席合格者も含まれます。対して、次席は途中数回の回復処置を受けられての全勝。また、対戦相手も最高で七席合格者。その他七割が不合格者との対戦です。」

首席の戦績に国王もゲーリッヒも眼の色が変わった。特にゲーリッヒの眼は数多くの戦場で武勲を立てたヴァルトシュタインでさえ、身震いするほどであった。

「しかし、それだけでは判断材料とは言えまい?直接対決したわけでもあるまいのに。」

国王も娘を溺愛する親父の顔ではない。一国を背負うに値する覇気がある。

「はっ、首席は精霊を一体所有しておりました。風の低位精霊の様体でしたが、私にはもっと高位の精霊かと感じられました。それと、これが一番重要なことでございますが・・・。」

ヴァルトシュタインが言葉を切ると、2人は身を乗り出してきた。

「これが、一番重要なのですが、次席トルチェ殿下がチカラ・スズキの力をお認めになり、彼の首席合格を祝福しておりました。」

この瞬間、せっかく国王として、少しずつヴァルトシュタインからの畏敬の念を取り戻していた国王の顔が崩れた。


「ちょっと待て、ヴァルトシュタイン。今のお前の発言からすると、うちの可愛い可愛いトルチェちゃんはその首席の男と仲が良いように聞こえたのだが?」

つい今しがた、国王としての顔を拝見し、畏敬の念を取り戻しつつあったヴァルトシュタインはあっけにとられた。彼的には、無理押しして首席と次席を入れ替えようとする2人を自らの職責からのプライドでもって押しとどめようと思っていたのに、話が変な方へ逸れた。

国王はそのままヴァルトシュタインの方へ進み、まさに胸ぐらを掴まんとするくらいの勢いであった。ちょっと、視線を逸らすとゲーリッヒが慌てて紙になにか書いてこちらに見せている。

“上手く誤魔化せ。間違っても殿下に好きな人がいるなどということを陛下に思わせないようにせよ。”

瞬時に状況を理解したヴァルトシュタインは慌てて弁明に移る。

「陛下、私から見るにトルチェ殿下は首席をライバルに認定したようです。殿下にとって倒すべき相手として、首席を認め、そして共に切磋琢磨することを宣言しただけのようです。」

国王は少し落ち着いて、恐る恐る聞いてきた。

「で、では別にトルチェちゃんに男ができたとかそういうことでは?」

「ございません!!そのような国家の一大事、陛下に隠し立てするはずありません。」

その後しばらくやり取りをして、ようやくヴァルトシュタインは入学式の準備に加わることができたのであった。

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・


午後からの入学式に備え、新入生たちは先に発表されたクラスで待機することとなった。なお、通常クラスはAからEまでの5クラスで、一クラスあたり10人となっている。首席はA組、次席はB組と順に入っていき、5席がE組に入ると、今度は逆に6席はE組、7席はD組といった順にクラスが決まる。理論上はどのクラスも差のないクラス編成になるはずであった。

しかし、今年は違っていた。例年の5クラスの上にS組が設置されていた。S組には首席から5席までの新入生の名前が書かれ、その他のクラスはそれぞれ一人ずつ少ない9名での構成となっていた。

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・


さて、当然というか、当たり前というか、首席としてS組になった僕は、同じくS組となったトルチェと一緒に教室に入った。トルチェが当たり前のように腕を絡めてくるが、離すのも面倒なのでそのままにしておいた。

教室には既に他の3名のクラスメイトが着ていた。

「相変わらず、ベタベタくっついているな。」

一番に口を開いたのはメグであった。

「さて、全員揃ったことだし、それぞれ改めて自己紹介をしないか?まず、私は三席、マーガレット・サルトル。このリステルプール出身だ。」

「よろしくな、メグ!!」

僕がおどけて言うと、メグがキッと睨んできた。

「メグって言うな。」

まだ気にいていたらしい。

「いいじゃん、友好の証に。だって、マーガレットって長くて言い難いし、親近感がわかない。」

他の3人もそうだと頷いてくれる。しかし、当の本人だけは頑なに良しとしなかった。

「仕方ないな。じゃあ、言い難いけどマーガレットさんにするよ。これでいい?マーガレットさん。」

「ふん、わかればいいんだ。」

メグの自己紹介が終わったので次に横にいた女の子が話し始めた。

「私は、4席セミリア・ブルー。得意魔法はやっぱり水、風系かな。でもでも、炎系も捨てたもんじゃないんだよ。それと、私のことはセミーって呼んでくれると嬉しいな。」

いかにも天真爛漫な感じの子だな。と思っていると、横からトルチェがジトーっと睨んでいたのでごまかす。

「俺は、5席コウシロー・ハマダ。特殊な名前だけど、我が家に代々伝わる付け方らしいから仕方ないんだけどな。俺のこともコウでいいぜ。」

ハマダなんて、元の世界の名前っぽいな。代々って言うから、僕とは別に過去にこっちに来た人間がいたのかもしれない。


3人が自己紹介を終えたところで、トルチェが話し始めた。

「私は、次席トルチェリーナ・ルカミルバ。トルチェって呼んでね。そして、こっちの精霊がリースよ。よろしくね。」

セミーとコウは羨ましそうに精霊を見てる。さて、僕の番か。

「僕は、チカラ・スズキ。でこっちの精霊がサミエスフィール。サフィって呼んであげて。」

『サフィです。皆様宜しくお願い致します。』

自己紹介と、サフィの紹介もしておく。

「えっと、じゃあ、トルチェに、セミー、コウ、そしてマーガレットさん(・・・・・・・・)!これからよろしくね。」

僕がわざとメグのところだけ強調する。

「わかった。私もメグでいい。ふん、慣れ合いなどしたくないんだがな。」

「あれ~、メグ。別に無理しなくてもいいんだよ~?」

少し茶化すと、メグが涙ぐむ。

「いいんだ、私だけ仲間はずれは嫌だ。」

セミーとコウは今度は微笑ましい顔をして僕たちを見ている。トルチェは不機嫌そうな顔をして言った。

「いい、メグ?ダーリンは私のだからね。あんましくっつかないでよ。」

みるみる顔を赤くするメグ。やっぱりこのクラスのいじられキャラはメグで確定しそうだな。

次話更新は相変わらず未定です。今度こそ、7月になりそう。

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