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異世界制圧奮闘記  作者: 大九
第3章 入学編
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第7話 入学式前の会談

久々の更新です。なんとか投稿できました。

結局、初日に盛大にバトったサラとトルチェであったが、その後はミルテさんの睨みもあるのか大人しくなった。もともと、お互いの仲は良かったので、なかなか友好的な印象である。(僕のことを除けば)


昨日は、サラとキャニの入学式であった。ミルテさんが保護者として(事実、保護者だが)行ったので僕とトルチェが留守番として残った。その時の顛末については・・・、まあ、触れない方向で。


そして今日は一日遅れて僕とトルチェの二高の入学式である。結局、ミルテさんは今日も保護者役として来るらしい。普段、サフィを連れているので、クリスにはミルテさんの護衛をお願いしている。それと、トルチェのアドバイスでサラ、キャニ、ミルテさんには認識魔法をかけた。(かけたのはサフィだけど)

なんでも、3人、特にミルテさんはこの国では、わりと顔が知られている。それに帝国のスパイが潜入している可能性もあるので、用心のためだ。

認識魔法についてサフィに話を聞くと、光魔法の一種らしい。光の屈折がどーとか言っていたけど、よくわからなかった。


朝一番でトルチェと二高に向かうと、二高ではすっごくバタバタしていた。入学式なんて毎年やってんだからこんなに慌てるのはおかしい。

「なんでこんなバタバタしているんだろうね?」

僕が隣のトルチェに尋ねると、トルチェはため息をついた。

「そんなの決まってるじゃない。パパが来るからよ。」

パパ?

トルチェは僕がよくわからないって顔をしていると、更に大きなため息をついた。

「だから、パパ!国王陛下!」

なるほど!・・・って?ええ!国王陛下!!確かにトルチェは王女だからその父親ならば国王だろうけどさ。それだけで来ちゃうものなの?

「せっかく、私が王女だってバレないようにしているのに、なんでパパはこういうことをしちゃうかな~。」

トルチェが一人憤慨している頃、二高の一室、具体的には校長室では空気が凍りついていた。


「うちの可愛い、可愛い一人娘が貴校に入学することになった。親としてはぜひ一高に行って欲しかったんだが、あいつがわがままを言ってな。代わりに『パパ、大好き!』と10回言ってくれたので、二高の受験を許した。」

「はあ・・・。」

校長室には、3人の男がいた。その部屋の主であるはずの男は、今は下座で居心地悪そうにしている。そして、本来部屋の主が座るはずの椅子に一人の男が座っていた。残りの男はこの座っている男の護衛であろう。

「あの子はな!『パパ、大好き!』ということに対し、頬を赤らめながら言ってくれたんだぞ。あんな顔をされたら、朕でなくともこの世のすべての男はノックアウトだ。それほど可愛い!!」

「左様でございますか。」

既にこの忙しい中、陣頭指揮に当たらなくてはいけないのに、2時間もこの惚気話に付きあわせられている下座にいる男、二高校長ヴァルトシュタインは、今までの国王への畏敬の念がガラガラと音を立てて崩れていくことを感じていた。

「陛下、そろそろ本題に入りませんと。これ以上娘自慢をされては、ヴァルトシュタインというこの国の忠臣を失ってしまいますよ。」

結局、護衛の諫言をもってしても、国王が本題に入れたのはこれから更に15分の時を刻まなければならなかった。


「と申しますと、なぜ姫様を首席に据えなかったのか、ということですか?」

「そうだ!うちの娘はただの可愛い女の子なんかじゃない。強くて可愛い女の子なのだ!!」

「はいはい、わかりましたから陛下はしばらく黙っていてくださいね。話が進みませんから。」

国王は恨めしそうに護衛を睨みつける。

その様子を、ヴァルトシュタインは冷や汗を掻きながら見ている。

国王護衛官ゲーリッヒ・フラーベル。王家を20代にもわたって、影から日向から守ってきた名門フラーベル家の当主。権力を望まないこの一族が一つだけ決して他に譲らないポストがあった。それが王家の護衛官である。フラーベル家が王家を守り始めて20代400年、ただの一人も暗殺された王族はいない。その当主であるゲーリッヒは、まさに国王の懐刀と呼ばれていた。(これまでに、暗殺阻止だけで20回にも及んでいる)


「それで、ヴァルトシュタイン大佐。姫様の実力は私が認めるレベル。少なくとも同年代でそれに匹敵する実力者はいないと思いますが。」

「すると、ゲーリッヒ殿は私が入試で不正をしたと?」

既に国王への畏敬の念は崩れ、入学式の準備までも邪魔されて、ヴァルトシュタインは少し苛ついていた。だから、ここで棘のある言葉が出ても仕方ないであろう。

「ほら、ゲーリッヒ。ヴァルトシュタインが拗ちゃったぞ。お前が失礼な言い方をするから。」

ゲーリッヒはあからさまに白い目を向けて国王を見た後、ヴァルトシュタインに向き合い謝罪した。

「申し訳ない、大佐。他意あってのものではない。しかし、姫様以上の使い手がいるとしたら、当方としてもそれなりに情報収集しておかなければならないのでな。それと、そこの陛下の態度だがな。こんなアホな態度は本当に信頼している臣下にしか見せない。いいか、陛下はこれでも姫様の教育に関しては、大佐に全幅の信頼を置かれているのだ。」

「これは、失礼をば。ところで、質問にお答えする前に、小官からも一つお伺いしてもよろしいでしょうか?」

国王が頷いたので、ヴァルトシュタインは一番重大な事を聞いた。

「姫様のお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか。他の貴族と同じく、小官も姫様に関する情報がありません。当校にご入学されるのも、陛下が入学式にご臨席いただけると伺ったことによります。」

国王とゲーリッヒはポカンとして顔を向きあって固まってしまった。

次話は多分、7月に入ってしまうと思います。

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