第2話 校長室での歓迎?
校長室と書かれた重厚な扉をノックすると、以外にもすぐさま扉が開かれた。そして、チカラをして避けるまもなくその中に引きずり込まれてしまったのだ。
校長室の中には20人くらいの教師が並んでいて、その中心で椅子に座り腕組みをしていた男が立ち上がった。
「チカラ・スズキ君かい?」
これから通う学校でしかも教師相手に問題を起こすことも躊躇われたためとりあえず肯定だけしておいた。
「ふむ、私は第二魔法高校校長ヴァルトシュタイン・ガーリック大佐である。ようこそ、二高へ。」
僕は思わず、敬礼をしてしまった。トリップ前に自衛隊の仕事もしてたからな。一瞬、温厚そうな校長の目が細められた。しかし、元の温厚そうな顔に戻るととなりに立つ教師に何かを促した。
「教頭のリベール・ダラスだ。今、チカラくんに来てもらったのはお願いがあってね。もうすぐ発表があると思うが今年の首席合格者は君に決まった。本年度の初年度ランキング1位として入学式で新入生挨拶をしてもらいたい。」
は?首席?ランキング?というか新入生挨拶って何?
僕が頭にたくさんのクエッションマークを浮かべていると、ダラス教頭は恐る恐る尋ねた。
「もしかして、君は魔法高校のシステムを全く知らないのかい?」
「はい、資料は頂いたんですが、全く読んでいません。というか首席ってなんですか?僕みたいなのが首席になれるはずないじゃないですか。」
冗談じゃない!目立たず、暴れず平穏に中くらいの成績で過ごす予定だったのに。
「だって、確かに試験で全勝しましたけど。でも全く魔法も使いませんでしたし、もっとすごい技ならトルチェリーナさんやマーガレットさんといった方々がどう見ても上ですよ。」
「そう、そうだよ。チカラ君、さすがわかっているじゃないか?魔法を使える者も無尽蔵に使えるわけではない。戦場において対魔法師戦の基本は相手の魔力の枯渇を待つことだからね。だから、魔法師は普通の兵以上に体力、体術を磨かなくてはいけないんだ。チカラ君、君は上手い下手は別として魔法は使えるのだろう?それに肩にのっている精霊くんもいることだしね。」
「はあ。」
「やっぱり君が首席として相応しいようだ。」
「いや、あの。」
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結局、校長室に呼ばれた理由は今年の首席合格者に選ばれた。新入生挨拶をしてほしい。皆の模範となるように頑張って欲しいということだった。なんでも彼ら曰く、毎年首席者は校長室に呼ばれ、訓示を受けるとか。
掲示板前には既にたくさんの人がいた。どうやら、発表前には間に合ったみたいだ。戻ると、すかさずトルチェが隣に来た。それに当たり前のようにメグも寄ってくる。ふたりとも美人だから周りの男どもの視線が痛い。
「もう、ダーリン。遅いわよ。待っている間に何回ナンパされたと思っているのよ。」
「貴様と別れてからやたらと男が寄ってくる。どう責任をつけるつもりだ?しかも、貴様は校長室に呼ばれたらしいじゃないか。入学前から問題を起こしたんだろう?」
なんかこの2人と話しているとすっごくほっとする。僕はさっきの事を簡単に説明した。すると、2人はさっき以上に詰め寄った。
「そんな馬鹿な話があるか。私の親戚が数年前に首席合格したとき、新入生挨拶の任は合格証と一緒に入っていた資料に書かれていただけだったぞ。」
「さすが、ダーリン!もう先生方からも一目置かれるなんて、やっぱり私の未来の旦那様。」
トルチェがぎゅっと抱きついてくると、メグは顔を赤くして破廉恥だーと言って逃げていってしまった。
「あの?トルチェさん?そろそろ、周りの視線が痛いんで離れてもらえます?」
「いや!もう少しこのまま。」
今の僕なら、周りの男の視線だけで殺されそう。(あと、一部女子の)
不意に前方でざわめきが起こった。どうやら合格者が貼りだされたようだ。
私もこれくらい、もてたい。by大九




