第1話 合格発表前のひととき
第3章、本格スタートです。
「サフィ、僕の受験番号って何番だっけ?」
いつもの定位置である僕の肩に座っているサフィに向かって、僕は尋ねた。僕たちは今、二高の合格発表掲示板前に立っている。あと、一時間ほどで発表されるのだが気が逸っていてこんな早くから待つことになった。僕たちの他にも既に20人くらいが発表を待っている。
『432番です、ご主人様。』
サフィが、預かってもらっている受験票を片手に答える。その後、サフィと他愛のない話をしていたら後ろから急に声をかけられた。
「お前、来るのが早いな。どうせ、その実力なら合格間違い無しなんだし、もっとゆっくり来れば良かったんじゃないか?」
「あれ?メグじゃん。おはよう!」
「だから、メグって呼ぶんじゃない。」
試験の後の尾行事件以来ぶりである。
「それを言うなら、メグだって合格間違い無しだろ?こんなに早く来ることはないんじゃない?」
「う、うるさい。そんなの人の勝手だろう。」
いや、それを言うならこっちこそ僕の勝手だし。ん?ああ、そうか!
「メグ、なんか眼の下に隈ができているみたいだけど?」
「そ、そんなの気の所為だ。」
「もしかして、今日の発表に緊張して、昨夜眠れなかったとか?」
ニヤニヤしながら僕が追求すると、メグは真っ赤になりながら必死に弁解を始めた。
「べ、別に普通だろう。お前だってきっとそうだったんだろ?この二日間一睡も出来なかっらからって誰にも迷惑かけているわけでもないし。」
あ、その前から寝られてなかったんだ。ここは、もう少しいじってあげるのが礼儀ってものだろう。
「ふふふ、メグはわかってないなぁ~。いい?ここが戦場ならメグは真っ先に殺されちゃうよ。兵士にとって睡眠も仕事のうち。睡眠くらい自分でコントロールできなくちゃ一流とはいえないね。いざというときは歩きながらでも寝なくちゃいけない。一人が睡眠不足でいると、それにより隊の一体感が乱れ、結果全滅しちゃうこともあるんだからね!」
あれ、メグが泣きそうになっている。
「うるさい、うるさい、うるさ~い。私に勝ったからって調子に乗るな~!!」
あ、逃げた。やっぱりメグって面白いな。最後の方なんか精神年齢下がってきたし。
「全く、あのマーガレットって子は面白いけど、私という女がありながら他の女とイチャイチャするなんて許さないわよ、ダーリン!」
後ろにはいつの間にか青筋を耐えたトルチェがなぜか笑顔で立っていた。こわひ!
「で、なんで僕が校長室なんかに呼ばれなくちゃいけないわけ?入学前から悪い事した覚えはないんだけど。」
「知らないわよ。放送で呼び出しているからダーリン見つけたら教えて上げようと思って探したんだから。まぁ、ダーリンは別の女とイチャイチャするので忙しかったみたいだけどね?」
「だ、か、ら、僕とトルチェは別に恋人関係ってわけでもないだろ?」
腕を絡ませてくるトルチェに向かって少し無愛想に言うと、トルチェは口でヨヨヨと言いながら、更にくっついてきた。
「いいじゃない。もうすぐそうなるんだし。これで今日からダーリンとひとつ屋根の下で暮らすんだからね。」
「ふたりとも合格してたらね。」
それから、しばらく歩いて行くとトルチェがやばっと言って僕の後ろに隠れた。
「どうしたの、トルチェ?」
「何でもない、なんでもない。ちょっと、知り合いがいたから隠れたの?そ、そうだ私また掲示板の前で待ってるね。校長室はそこだからもう大丈夫だよね?」
そう言うと、トルチェはピューと元きた道を戻っていった。賑やかな子なんだよな。そう思いながら、僕は校長室をノックした。すぐ、どうぞという声がしたので僕は中に入っていった。




