第2話 東へ
その日も、いつもと変わらない日だと思っていた。野戦病院で患者の手当をする。いつも通りの一日だと。
目の前が白い光に包まれた。「白く光った。」そう認識した頃には、私は吹き飛ばされていた。白く光ったと思ったのに、またたく間に、視界が黒く染まっていき、意識が遠のいていった。
アイリスの透き通った青が見えた。ベッドの横に飾ってある。ここは、、、病院、だろうか。
気を失った時、目の前が白く光って、、、吹き飛ばされて、、真っ暗になって、、記憶をたどっていると、点滴の替えとと、花を持ってきた看護婦さんと目が合った。看護婦さんは少しビクッと驚いた様子を見せて、
「スカーレットさんが目を覚ましましたよ!!」
と医師を呼びにいった。
「ふむ、問題ないね。数日経ったら、退院出来るだろう。」
看護婦さんが連れてきた医師が言う。
「キルリスさんは!みんなは!!」
医師に聞く。
「キルリスは生きてるよ。瓦礫に挟まれて、左足を失ってしまったけどね。つい一昨日退院したばかりだよ。」
安堵のため息が口から漏れる
「よかった。みんなは?」
沈黙が訪れ、医師が目をそらす。
「現在確認できている生存者は、君とキルリスだけだよ。」
目頭が熱くなる。それなのに、体中寒気がする。瞳孔が揺れる。喉に重く、どす黒い塊が詰まっている。心拍数が上がる。私は私の心身の変化に、ついていけなかった。
「なぜ、私は四肢、五臓すべて無事なんです。なんで、なんで、、、」
私でもびっくりするくらい、情けない声が出た。
「神様が、生かしてくれたのだろう。他の何でもない。」
医師が目を細め、シワを寄せながらいう。
それから先は、よく覚えていない。頭がボヤボヤしていたから。だけど、泣いていた。それだけは、覚えている。
「気分はどうですか?」
看護婦さんが点滴を変えながらいう。
「かなり、落ち着きました。」
「まさか、北側諸国が病院にまで爆撃するとは、思いませんでした。10年前くらいにに飛行機が発明されて、より一層戦争が酷くなりましたね。あなたが眠っている間に、病院を攻撃されたことに、アルバス軍は激怒して、北側諸国の民間人の殲滅を開始したそうです。それに対抗するように、北側諸国は町や村を片っ端から爆撃していきました。この国、アルバスは、ほとんど焼け野原です。北側諸国も、、、同じでしょう。どうして、どうして民間人まで殺されないといけないのでしょうか、、? 」
看護婦さんの声が震えていた。
「大丈夫、、ですか?」
何と言葉をかけていいか分からない。
「ごめんなさいね。何でもありません。」
廊下から木の軋む音と、ドカドカと急いで、こちらに向かう足音が聞こえてきた。こっちに向かってくる。勢いよくドアの開く音がした。そこに立っていたのは。
「キルリスさん。どうかなさいましたか?」
キルリスさんは血相を変えたまま、私に早歩きで向かってきて、
「東にとても大きな爆弾が、落ちてきたそうだ!東、東は死体の山だそうだ!!」
目を血走らせながらいった。相当焦っているのが私にもわかった。私は体を、「人を救う」その信念を、上げキルリスさんに言った。
「すぐに向かいましょう。東へ。」




