麗しきあなたへ 〜京都三条より〜
『親愛なるマキ
無事に東京での仕事を終え、新幹線を使って西へ下りました。日本の新幹線をはじめ、地下鉄や電車のシステムはとても効率的に作られていますね。一見難しく思えたものの、慣れると外国人のわたしにでも簡単に使いこなせるように計算し尽くされています。
あなたが東京はロンドンやニューヨークと同じと言っていたのを覚えていますが、日本の首都は以前来た時よりもかなり進化していると思いました。
出席したフォーラムは三日間だったのですが、その合間に浅草、明治神宮、皇居へと赴きました。江戸前寿司も食べに行きましたよ。寿司職人の華麗な手捌きに見惚れながら、あなたと食べた手巻き寿司を思い浮かべていました。
目下、京都にいます。こちらへ来ることをすすめて下さり、感謝以上の気持ちをどう表現すればよいのかわかりません。三、四日の滞在で主だった場所を見られる、とあなたはおっしゃっていましたが、それでは全然足りません。ですので、滞在をもう数日延ばしたところです。それでも足りないと感じ、ここに住みたいとさえ思ってしまうくらいです。
京都が昔の日本の都であったことが、その洗練さに現れているとつくづく思いました。寺社の多さもさることながら、街の景観、民家さえも美しい。江戸の職人も素晴らしいと思いましたが、京都の伝統工芸、例えば、着物の小物類、扇子、竹細工など、ため息を漏らしてしまう程ですね。
お恥ずかしながら、わたしは着物を着てみたいと思ってしまい、外国人でもレンタルできる店を探して、着付けしてもらいました。そしてその和装姿のままで一日を過ごしたのですよ。草履で歩くのはいささか困難ではありましたが、これもまた慣れると快適でした。あなたの着物姿は凛として、さぞ麗しいのでしょうね。
ここ数日は市中の神社仏閣巡りをし、明日は鞍馬に足を伸ばすようにしています。それから、奈良へも行こうかと思案中です。
京都は本当に魅力のある街ですし、寺社巡りをしては、京料理からコンビニエンスストアの「オニギリ」などに舌鼓を打ち、それはそれは毎日楽しいのですが、あなたのおっしゃっていた日本の田舎を見てみたいと思っていたので、お隣の奈良だったらそう遠くもないし、いいのではないかと。
加えて、調べて驚いたのですが、奈良は京都の前の都だったのですね。寺社も多く、法隆寺という日本最古の木製建造物や、興福寺、大仏、と、見てみたいものがたくさんあります。奈良でのおすすめがありましたら、またご教授ください。
そういえば、明日は茶道体験をするのですよ。とても楽しみです。あなたと出会ってからというもの、わたしはとても素敵な扉を次々と開いています。
人生とは不思議なものだと感慨深く思わずにはいられません。この年齢になって夢中になることに出会えた幸運を非常に嬉しく感じます。そして、その幸運をもたらして下さったのは、マキ、あなたです。本当にありがとう。
京都三条にて
オリバー」




