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31 『冒険彗星』ってよくね?

 場所を移して冒険者ギルドの個室の中。


 普段は会議室として借りられる個室の中央にはテーブルがあり、その周りに椅子が配置されている。


 ボクたちは椅子に座りながら、お互いの顔を見合っていた。


「そういや、俺とクレトのパーティ名は『双星』ってのがあるけどよ、このパーティの名前考えてなかったな」

「あたしとセシリアも『月と太陽』って名前は考えてたけど……。みんなのパーティ名はどうしようね?」


 それがアベルとダリアの答えだった。


 二人ずつのパーティ名はあるみたいだけど、全員を含めたパーティ名はまだないみたいだ。


 それに、どちらのパーティ名も二人パーティっぽい響きがある。ここは新しいものを考えてみたらどうだろう?


「どちらもパーティ名に星が入ってるんだね」


 なんだかおしゃれだなぁ。


「みんなが気に入るかどうかわからないけど、彗星なんてどうかな?」

「すいせい、ですか?」

「何それ?」


 セシリアとダリアが不思議そうな顔で訊いてきた。


 まぁ、知らなくても不思議じゃないかな。言い出しておいてあれだけど、ボクもあまり詳しい方ではないし。


「聞いた話だから本当は違うかもしれないけど、彗星って星は、何百年とかけて空を旅してまたここに戻ってくる。そういう星なんだって」

「なんだか縁起のよさそうな名前だね。またエスピノサに戻ってくるって願掛けにもなってるし」


 うんうんと頷いているクレト。その横でアベルがガバッと立ち上がった。


「じゃあ、今日から俺たちは『冒険彗星』だ!」


 『冒険彗星』。いい名前かもしれない。ボクはセシリアとダリアの反応を見る。


「『冒険彗星』、いい名前ですね」

「いいじゃん! 冒険者っぽい!」


 どうやら二人にも好評なようだ。


「ペペはどう思う?」

「ボクもいいと思うよ」


 アベルに問われ、ボクは頷いて答える。


「じゃあ、『冒険彗星』で決まりだな! これって冒険者ギルドに報告したりするのか?」

「うん、そうだよ。冒険者ギルドにパーティの名前とメンバーを報告して、正式にパーティとして認められるんだ」

「よし! 行ってくる!」

「あ……」


 アベルが善は急げとばかりに駆け出して個室を飛び出していった。


 クレトが仕方がないなぁとばかりに苦笑していた。


 パーティ登録はちゃんと専用の用紙に書かないといけないんだけど、アベルにメンバーの名前を全員書けるだろうか?


「貰ってきたぜ!」


 しばらくすると、アベルが個室に帰ってきた。その掲げられた手には、パーティ登録の用紙があった。そこにはアベルの名前だけしか書かれていなかった。


「さあ、みんな自分の名前を書いてくれ!」


 たぶん、自分の名前だけ書いて、他のメンバーの名前が書けないことに気が付いて、戻ってきたのだろう。


 やっぱり、アベルとクレトには文字の読み書きを覚えてもらわないとなぁ。


 ボクは苦笑しながらペンを握るのだった。



 ◇



 そうしてボクたちのパーティ名は『冒険彗星』に決まった。


 冒険者ギルドに提出して、正式に認められ、ボクたちは正式に第十級冒険者パーティ『冒険彗星』になった。


 アベルとクレトは冒険彗星と書けなくて悔しがっていたっけ。これが文字を覚える原動力になればいいなぁ。


 ちょっとややこしいのだけど、個人に与えられる冒険者ランクとは別に、パーティにもランクがある。生まれたばかりのパーティである『冒険彗星』は、まだ最初に与えられるランクである第十級だ。


 パーティに与えられるランクを付ける基準と、個人に与えられるランクを付ける基準だけど、詳細は冒険者ギルドからは教えてもらえない。だけど、周りの冒険者を見ていればだいたいのところはわかる。


 たぶん冒険者ギルドは、モンスターにもランク付けをしているのがだいたいの冒険者の予想だ。


 例えばオーク。これは第九ランクへ上がるための関門と言われている。


 第九ランクの冒険者パーティなら、パーティで戦えばオークを倒せるレベルの強さを持っていると冒険者ギルドに認められたということだ。


 それに対して個人ランクが九の場合、個人でオークを倒せるレベルであると冒険者ギルドに認められたという形だ。


 まぁ、冒険者はだいたいパーティで行動するし、冒険者ギルドの職員がパーティに同行するわけでもない。だから個人の強さなんて正確にはわからない。個人ランクは冒険者ギルドからの信用など、いろいろな要素が加味されて決定されるので、個人ランク三の人がランク三のモンスターを個人で倒せるかというと答えはノーだったりする。


 冒険者ギルドは冒険者にランクを付けて管理しているけど、その基準はけっこう曖昧なんだよね。ボクだってパーティから追放されたら個人ランクまで十級まで落ちたし。


 まぁ、あの時のボクはオークなんて倒せなかったし、冒険者ギルドの判断は、妥当な判断と言えば妥当な判断だったのかな?


 ちょっとショックだったけどね。


「じゃあ、行こうぜ!」


 アベルが号令を出し、ボクたちは冒険者ギルドを出て城塞都市エスピノサの大通りを歩き出す。

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