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25 知識

「はッ!」


 呆然としていたボクは、ハッと意識を取り戻すと、まずはいつものようにホブゴブリンと大型ゴブリンの右耳を回収した。


 ホブゴブリンや大型ゴブリンは、このゴブリンの巣の最高戦力だったのだろう。他のゴブリンとは違い、立派な鉄の装備を身に着けていた。


 でも、その鉄の装備もボクの魔法でバラバラのスクラップになっていた。これじゃあ、鉄屑としての価値しかない。


 特に立派だったのは、やっぱり巨大ゴブリンが装備していた手甲や脚甲だ。でも、分厚いはずのそれもバラバラだ。


 ボクの魔法は強力だけど、装備まで壊しちゃうのはマイナス点なのかも?


 まぁ、倒せないよりよっぽどいいけどね。


 しかし、あんなに分厚い鉄でもスパッと切れてしまうのか。これからは扱いにもっと気を付けないとな。敵だったらいいけど、フレンドリーファイアなんてシャレにならないよ。


 でも、嬉しいこともあった。戦闘中は気が付かなかったけど、なんと大型ゴブリンが装飾品を身に着けていたことだ。金の腕輪やネックレストップ。一番驚いたのが、ミスリルのピアスだ。


 ミスリル。霊銀とも言われることもある金よりも希少な金属だ。その特徴は、まるで虹のように七色に輝くことである。ボクの手の平の上にある丸いピアスも松明の明かりを受けて七色に輝いていた。


「すごい……。綺麗だなぁ……」


 遠い昔には、神様への供物として使われていたらしいけど、この輝きを見れば納得だ。


 『タイタンの拳』として三年間冒険者をしていたボクでも数えるほどしか見たことがないレアアイテムである。


 まさか、ゴブリンが持っているとは思わなかった。もしかしたら、ボクが思っている以上にあの大型ゴブリンは成功したゴブリンだったのかもしれない。


「売ってしまうのがもったいないなぁ……」


 そう思ってしまうほど、ミスリルには不思議な魅力があった。


 ボクはあまり物欲がないと思っていたけど、まさかミスリルにこんなに惹かれるとは思ってもみなかった。


「失くさないように仕舞っておかないと……」


 ボクは時空間を開くと、ミスリルのピアスを大事に時空間の中に仕舞った。


 その瞬間――――!


「え……? いぎッ!?」


 突然、頭が痛くなる。まるで異なる種類の部品を無理やりくっ付けたような痛さだ。


「はえあ!?」


 何かが頭の中に流れ込んでくる。これは――――【時空魔法】なのか……?


 そして、ボクは頭痛と共に覚った。


「そういうことだったんだ……。ボクは、【時空魔法】を誤解していた……」


 頭痛が治まった時、ボクの視界が変わっていた。まるで物差しでも当てているかのように空間の状態が理解できる。いや、それ以上の情報だってわかる。ボクにわからないものなんてない。


 いや、わからないことだらけだ。


 ボクに知識を与えてくれたこの機能は何なのだろう?


 ボクは確かに知識を得た。でも、その知識はまるで虫食いのように穴だらけだ。


「そういえば……」


 時空間を確認すれば、先ほど確かに入れたはずのミスリルピアスが消えていた。


 時空間にミスリルピアスを入れたことが、この現象を引き起こしたと考えてもいいはず。


 以前、『タイタンの拳』でミスリルを手に入れた時は、イグナシオがボクに預けなかったから発動しなかったのだろう。


 この知識を得られる現象が、ミスリルを時空間に入れることで発動するのなら、もっと多くのミスリルを入れれば、もっと知識が得られるということだろうか?


 それさえもわからない。


 だが、それでもわかることもある。


「例えば……」


 ボクは大型ゴブリンの死体の奥の壁を乱暴に蹴った。


 すると、バラバラと土の壁は崩れ、その奥の空間が姿を現す。


 そこには、松明の光を浴びて輝く財宝が隠されていた。


 もし、ボクがこの空間把握能力を手にしていなかったら、たぶんその存在に気が付けなかっただろう。


 ボクは金で装飾された短剣を手に取る。


「少し汚れているけど、これだけあれば、金貨百枚どころか五千枚だって返せるかな?」


 もうあんな約束を守ることにあまり意味は感じないけど、約束は約束だし、とりあえず守ろう。


 イグナシオたちの視線がアベルたちに向いて、ボクのせいでアベルたちが不幸になるのは嫌だし。


「あとは後片付けか……」


 ボクは財宝を残らず時空間に回収すると、今度は違う場所の壁を蹴る。


 ボロボロと崩れる土壁。その向こうから姿を現したのは、ゴブリンたちの子どもだ。


 たぶん、あの大型ゴブリンの子どもなのだろう。もう普通のゴブリンほど体が大きい気がする。


「GAU?」


 不思議そうな顔でボクを見上げるコブリンの子どもたち。ボクはその首を一斉に刎ねた。


 途端に広がる独特な獣臭。


 ボクはもうゴブリンの生き残りがいないことを確認すると、ゴブリンの巣穴を後にするのだった。


 巣穴の出口で待ち構えていたゴブリンたちを蹴散らし、ボクは考える。


「まだ二日目の夕方か。予定にはまだ早いけど、借金を返そうかな?」

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