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23 実験と洞窟

 ボクはすぐに試してみることにした。


 的は村の外れにある大きな木だ。


「まずは、矢から……」


 ボクは目の前に時空間を展開すると、矢を外に出す。


 すると、矢はまっすぐ飛んでいき、木に突き刺さる。


「おぉ! 飛んだ!」


 矢を収納できるとは思っていたけど、まさか収納した後にまた飛ばせるとは思わなかった。これは新しい発見だ。


 ボクは今まで自分のギフトについてなにも知らなかったんだなぁ……。


 マジックバッグの下位互換なんてとんでもない。これはすごいギフトだ。


「次は魔法だ……!」


 魔法は外に出した瞬間、爆発することも考えられた。


 ボクは二重に時空間を展開すると、時空間からファイアボールを外に出す。


 すると、少し遅れて爆発音が響き渡る。


 時空間を解除すると、的にしていた大きな木がその中ほどから折れているのが見えた。


「やった! 成功だ!」


 魔法を収納できるだけでもすごいのに、その威力を消耗することなく保存して、しかも任意に発射できる。


「これ、魔法使い相手には無敵なんじゃない……?」


 無敵は言い過ぎかもしれないけど、それぐらいすごい能力であるというのは鈍いボクでもわかった。


 正直、ソードやショット、シールドの能力も底が見えないのに、新たにすごい能力がわかってしまった。ここまでくると、ボクに使いこなせるかわからない。


 でも、がんばって覚えて、アベルたちの役に立ちたいなぁ。


「さて」


 振り返ると、青い海に沈んだゴブリンとオークの死体が無数に転がっている。無視したいところだけど、ゴブリンとオークの右耳は必要だ。


 むせ返るような独特の獣臭の中、ボクはゴブリンとオークの右耳を切り取り始めた。



 ◇



「ふぅ……」


 ずっと中腰だったから、すっかり痛くなってしまった腰を伸ばす。数が数だったからね。かなり時間がかかってしまった。


 ゴブリンとオークの右耳はもちろん、オーク袋やゴブリン袋も回収したよ。それと、鉄製品や他にも売れそうなものも。


 途中、何度かゴブリンの部隊が襲ってきたけど、すべて返り討ちにした。回収する右耳が増えてちょっとうんざりしたけど、ちゃんとすべての右耳を回収したよ。


「それにしても……」


 ボクがオークの村を襲ったら、けっこうすぐにゴブリンとオークの混成部隊が救援に来ていた。たぶん、近くにゴブリンの巣があるのだろう。


 ここまで来たんだ。どうせなら片付けておきたい。まだ金貨百枚には足りないしね。


「こっちかな?」


 ボクは一方向を見つめる。ボクがゴブリンとオークの右耳を集めている時、ゴブリンの部隊はいずれも同じ方向から来ていた。たぶん、こっちにゴブリンの巣があるのだと思う。


 ボクの予想を裏付けるように、そこには踏み固められた道ができていた。これをたどって行けば、ゴブリンの巣があるだろう。


 踏み固められた道の終点。そこは崖の下のようになっており、そこには意味深な洞窟があった。たぶん、ゴブリンの巣だ。


「洞窟タイプか……」


 ゴブリンの巣としてはオーソドックスなものだ。


「洞窟ということは、松明がいるね」


 ボクは落ちている太い枝を拾うと、ささっと松明を作って火打石で火を着ける。


「さあ、行くか」


 ボクは洞窟に向かって歩き始めると、いきなり二匹のゴブリンだ飛び出してきた。その手には弓が握られている。ゴブリンアーチャーだ。


「シールド!」


 ボクはすぐに時空間を展開すると、すぐに矢が放たれた。時空間に二本の矢が収納される。


「ショット!」


 ボクはさくっとゴブリンアーチャーを片付けると、洞窟の中に侵入する。


 あのゴブリンアーチャーの右耳は後で回収しよう。そう心に決めながら。


 洞窟の中は当然ながら真っ暗だった。松明の明かりだけでは不安を感じるほどだ。


 でも、それよりもゴブリンたちの叫び声がうるさくて堪らない。


 たぶん、侵入者であるボクの存在を知らせているのだろう。さっきからひっきりなしにゴブリンたちが襲ってくる。


 だけど、巣の規模にしてはゴブリンが少ない気がする。


 たぶん、外に採取に出ているゴブリンもいるだろうし、ボクがかなりの数のゴブリンを殺してしまったからだろう。


「あぁ……」


 ある突き当りの部屋に入ると、そこには珍しいメスのゴブリンたちが棍棒を持ってボクを威嚇していた。それだけで、わかってしまった。ここは子ども部屋だ。


 あまり気分のいいものじゃないけど、それでも殺さないわけにもいかない。


「ソード」


 ボクはメスのゴブリンたちを切り裂くと、予想通りメスのゴブリンたちが守ろうとしていたものとご対面した。


 合計十匹ほどの子どものゴブリンだ。中にはまだハイハイもできない赤ちゃんゴブリンもいる。


「はぁ……」


 重い溜息を吐くと、ボクは子どもゴブリンたちを一匹ずつ片付ける。


 冒険者って因果な商売だなぁ。


 でも、ボクは見つけてしまった。子ども部屋には不釣り合いなそれを。


 たぶん、人間の女性の骨だ。それが小山になっている。


 ゴブリンは人間の女性を攫うことがある。そして、ゴブリンを産ませるのだ。


 そして、子どもが産めなかったら食べてしまう。ここにある骨は、そんな女性のなれの果てだ。


 悲しい運命の女性がこれ以上増えないように、やっぱりゴブリンは徹底的に処分しないと。子どもだからと許すわけにはいかないのだ。

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