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晴天の霹靂9

部屋に入ると

俺の方を見て 一瞬だけ顔を綻ばせ すぐに思い詰めた顔になる有美(ユーミ)

先程聞いた『御主人様』が何度も頭をよぎる

そのきつく閉じた唇で 俺を店長(おとうさん)と呼んでほしい

そんな事を考えながら 俺は口を開く

「さっきは済まなかった」

そうじゃない こんな事じゃなく有美(おまえ)を失いたくない

それが言いたいんだ

有美(ユーミ)の事を家族と思ってたから

あんな事を言われて悲しかったんだ」

確かに悲しかった でも それは…

有美(ユーミ)の事を一番に考えてた

だから本当の親が現れた今…」

言葉を続けれない…


「さっきはご免なさい 店長(てんちょう)がお父さんだったらいいなと

私は思うように なってました…」

有美(ユーミ)はがぶりをふる


「おかあさんが病気なんだそうです

記憶に埋もれてたおかあさんです

私は父に付いていき おかあさんに会ってきます」

この世が終わる

そんな顔をして 言いきった有美(ユーミ)

俺も きっと同じ顔をしてるだろう

これで凄く楽しかった有美(ユーミ)との日々が終わる



我知らず有美(ユーミ)を抱きしめた

自分も こんな事すると思わなかった

有美(ユーミ)も同様なのだろう

今起きてる事が信じられない顔をしてる


でも…もっと信じられない事が俺の頭に浮かぶ

有美(ユーミ)は娘じゃない 家族でもない

俺は一人の女として有美(ユーミ)が好きなんだと

有美(ユーミ)を抱きしめて その想いの深さに気付かされた


何を どう言えばいいのだろう

こんな感情を有美(ユーミ)にぶつけてはいけない

今すぐ 抱擁を止めるんだ

頭の中に警報が鳴り響く

だけど 感情が 今まで眠り続け 燻り続けた想いが

ずっと体温を感じていたい

吐息を聞いていたい


俺に抱きしめられながら有美(ユーミ)が口を開いた

「私は今店長(おとうさん)に抱き締められた瞬間

わかった事があるの 魔王に拐かされて店長(おとうさん)が助けてくれた時

目の前で店長(おとうさん)は無数の剣で貫かれたの

店長(おとうさん)が死んじゃう

そう想った私は 必死に店長(おとうさん)を助けなきゃと感じたの」

俺の背中に手をまわしながら有美(ユーミ)は続ける

「そうしたら私の中に力が芽生えた 何をすれば

店長(おとうさん)を助けられるか わかったのね

私は龍種 人の気持ちも少し読み取れるみたい」

そして俺をまっすぐ見つめてくる

「私も貴方が好き」

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