晴天の霹靂8
有美視点です
店長に呼ばれて食堂に顔を出した
前に幾度か見掛けた御客様だ
御客様と二人きりになってから御客様は口を開いた
「ずっと探してた お前は花畑で遊んでて
拐われたんだよね
先日覚醒した時に魔力を感じて
お前を探し出せた
お前のお父さんだよ」
遠い記憶を思い出す
あの日行っては行けないと言われてた場所で起きた悲劇を…
父や母の私を呼ぶ声を…
忘れてしまってた両親の顔を…
苦労したのであろう
心配したのだろう
すっかり面相が変わってしまったが
この御客様の顔は記憶に眠ってた父親の顔だ
「母さんは少し身体を壊してしまってな
そうじゃなければ 一緒に迎えにきてたよ
会いにいって…
戻ってきてくれないか?」
「店長と話をさせてください」
父親は困惑してる
奴隷主をおとうさんと呼ぶ娘を
「店長と話をさせてください」
私は同じ事を繰り返した
父親が傷つくのはわかってる
それでも私は こういうしかなかったのだ
「また会いにくるよ」
そう言って父親は店を出た
私は応接間に戻った
店長が居る
これからも店長なのだと思ってた店長だ
なのに店長は父親と私を会わせた
店長と思ってたのは私だけだったのかも
そう思うと悲しくなった
そんな事無いのは解ってるのだが
心に浮かんだら それが胸いっぱいに広がっていく
「ご…御主人様は私を捨てるのでしょうか」
言ってはいけない事を口にしてしまった
後悔する前に頬に傷みが走った
そんな傷みより店長の顔だ
悲しそうな 辛そうな顔だ
そんな顔にさせてしまった自分が嫌で
小さな頃のように泣いてしまった
そして今私は独りで部屋に居る
タマコさんが店長を連れて来てくれるからと
ちいお姉さんは言ってくれたが
捨てられた猫のように不安で押し潰されそうだ
本当に来てくれるだろうか




