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こんな夜は 熱燗で
グツグツ
大きな鍋に色んなネタが煮込まれている
また オデンの季節になったのだ
寒さから逃げるように
暖を取りに客がやってくる
「いらっしゃいませー」
いつものようにタマコさんが御客様のお出迎えをする
「いつものお願いね」
ここ最近御贔屓にしてくれてる御客様である
オーダーがくる前に カウンターにオデン種を置く
当たり前のように そのままテーブルに運ぶタマコさん
この御客様は 来店いらい 同じオデンしか召し上がらないのだ
そして 心得た流しの女の子が 何も言われてないのに 頷いた後
演歌を歌いだす ゆっくりと熱燗をお猪口に注ぎ
仰ぐように飲む
そして歌い手が未成年なのを 毎回残念がるのだ
きっと飲んべえなのだろう
一緒に飲めないのを残念そうな顔をして 歌声を聴く
その心境には まだ到達してない俺には理解できないのだが
人寂しいんだろうと 考えてる
いつも通りのペースで食事を終えた御客様は
「この店に通えるのも今日が最後なんです
明日からは違う街での仕事になるんです」
そう告げて出ていった
また この街に来て欲しいと感じる御客様だった




