御客様は神様です2
犬頭先生視点です
現実世界には四季がある
暑かったり 寒かったり
まるで冗談のようだ
ファンタジー界では
寒い所は いつで寒いし
暑い所は いつでも暑い
そんな分野も いつか研究したいものだ
日本酒を飲みながら 秋刀魚をつつく
隣ではタマコさんが慌ただしく客をさばいていた
新しく吟遊詩人の少女が聞き慣れぬメロディーで歌ってる
現実世界側の人間は聞き入ってる
肴が美味いので 深酒をしそうになるが
今日は そういう訳にはいかないのだ
店長に無理を言って この後の貸し切りの客に用があるのだから
壁には 『本日21時以降貸し切りになります』と注意書きがなされている
ファンタジー界の住民ではあるが 現実世界の文字も読む事が出来る
そんな彼である
やがて彼のお目当ての人が入ってきた
店長自らが頭を下げながら
「「お待ち致しました」」
とタマコさん共々お出迎えする
「実は どうしても貴方様にお願いがある御客様が居るのです」
紹介された
「…というわけで どうしても現実世界の身分証明が欲しいのです」
貸し切りの客は神様だったのだ
研究のためには どうしても現実世界での身分が必要なのである
それをクリアしない事には研究は進まない
必死でお願いした
途中に現実世界の神様もやってきていた
もしかしたら神罰を与えられるかもしれないのだが
研究の為に死ぬなら本望である
旧知のタマコさんも 流石に固唾を飲んで見守ってる
「「条件付きで認める」」
ふたりの神様は こう宣告した
ひとつは あくまで研究のためだけに身分を使う事
もうひとつは…今日の酒代はお前が持つ事
自分は今尻尾がちぎれんばかりに振っているだろう
願いは叶えられたのである
礼を言って退席する
これで研究は躍進するであろう
いつか本当の願いを叶えるために また研究を進めるのが出来るのだ
意気揚々と店を出た
ー案外セコイ神様であるー




