不可解な御客様
「いらっしゃいませー…あらーお久しぶりですー」
タマコさんが今日も明るく御客様を出迎える
しかし いつもと違い 親しげに話してる
御客様は第一扉からだ
元々ファンタジー界の住民のタマコさんである
現実世界からの御客様に親しげに話すのは 本当に珍しい事なのである
しかも…今日は食堂に有美も居るはずなのに
有美がお出迎えの声を出してない
有美は 俺との話し合いで高校進学する事に決めた
その代わりに この夏休みが終る迄 お店のお手伝いをするのを
認めさせたのである 血の繋がりが無いのに頑固者なのが遺伝したような
そんな力強く 何か自信を持ったかのようである
話が逸れたが
そんな有美は口を押さえて 蒼い顔をして厨房に入ってきた
変な態度である
「どうしたー」
余りに気にかけずに声を出して
タマコさんからの注文を待つ
有美は何も答えず 厨房の隅で固まってた
「オムライスが一人前でーす」
調理助手の仕事が入った
俺がチキンライスを作ってる間に 玉子を割り 殻がはいってない事を
確認してから渡してくる 実に便利な調理器具である…
チキンライスを玉子で包み ケチャップで絵を書く
実は 大人と子供でオムライスの仕様を変えているのである
御客様が御子様の場合にはタマコさんは とある合図を出してきりのだ
その合図とは…
営業秘密である
カウンターにオムライスを置いて
「オーダーあがったよ」
タマコさんがテーブルに運び
御客様が御食事を開始する
「有り難う御座いました」
御愛想をして御客様が退店した
返却された食器に手付かずのオムライスがある…
おきに召さなかったのだろうか?
それでも 一口くらいは味をみるよな
まったく手付かずのままである
俺が難しい顔をしていると
「ちゃんと味わってたわよ」
タマコさんは悪戯な笑みを浮かべて教えてくれた
では 何故手付かずのままなのだろ?
その答は 有美が教えてくれた
「だって幽霊だったもの」
盆が近づいた 暑い日の御客様でした




