011⚫️来た! & 012⚫️絶好調!
011⚫️来た!
濃縮体にナイフを打ち付ける。
何も起きないのか。角度を少し変えよう。
うっ!空間が捻れる!
来た!来たぞ!何かが来る!
男だ!刀を振っているぞ。
アイツか?あのサムライか?
いや、違う!酔っ払っている?
あいつは!
「銃弾をものともしない、俺を逮捕した、あの不気味なやつだ!」
「だあれが不気味だあ?!俺のことかあ?あれ?おまえ、ブリッツ??」
012⚫️絶好調!
ブリッツは銃の使用を考えてはいない。
ピンポイント破壊では、この男に効果はない。
それよりも、刃物で首を切断するほうが確実だ。
ナイフを構えてアキラに立ち向かう。
アキラは刀を持っている。ブレードの長さでは、ブリッツは不利だ。
相手の間合いの中に入らなければならない。
リーチの長いボクサーに挑むような、テクニックが求められている。
いやあ、ブリッツにこんなところで会うとはな。
こんなところって、どこかわからんが。
サヒトが俺とおんなじ人狼だったとは、思いがけなかったぞ。
いいヤツだあ。俺の方が能力は高いけどな。
新三郎も、さすが俺のご先祖様だ。気持ちのいい、ナイスガイだあ。
ともかく、今の俺はゼッコウチョー!
新月期なのに、満月期を超えてるような気分だあ。
なんでもできそうな気がする。‘星河薫風’が手に、全身に馴染んでる。
だれにケンカをふっかけられても、楽勝じゃい!
さあ来い、ブリッツぅ!
ゴォォォォン!!!
あれえ?ブリッツ、もう終わりかあ?!あっけないぞお。
ちょっと叩いただけで、ぶっ飛んで気を失っちまったあ。まあ、いいかあ。
うわお、足元にきれいな石があるなあ。お土産だなあ。
持っていこう。帰ろ、帰ろ・・・。
目を擦っていると、旋風はおさまる。
なんだ、アキラ、普通に立ってるじゃないの。
見間違いかな?気のせい?・・・あなた、手に何もってんのよ?
それって・・・わたしたちが元の世界の祠で見つけた石じゃない?!
眼をさましたブリッツは、珍しくため息をついた。
完敗だ。しかも、濃縮体まで消えている。
エイブのところには、もう十分な‘厄介モン’は残っていない。
他の世界への扉は閉ざされるのか。
ブリッツは立ち上がると、工房に戻ることにした。




