078●やるといったら、やるんだよ!
惑星アウレリアの空は、赤い稲妻のような磁気嵐で裂けていた。
送電網は沈黙し、都市は闇に沈む。
対消滅発電所’ヘリオス・プラント’の封止コイルが限界値を割り込んだ。
自動制御は沈黙し、非常電源も応答しない。大規模爆発まで時間がない。
残された手段はただひとつ。炉心区画に入り、手動で磁場を再起動すること。
だが隔壁は閉ざされ、誰も近づけない。
電子制御のあらゆるメカロイドは停止している。
交通網も完全にシャットダウンしている。
・・・と、つまり、そういうことだな。
それなのに構造図もマニュアルも端末から立ち上がらん!
おい、何かないのかよ?!
「いや、それがですね・・・無いんですよねえ。」
資料ゼロ。どうすんだよ!
「あっ、確か倉庫に、’非常時用’って書かれたボックスがありましたよ!」
それを早く言え!
「うーん、ダメだな。分厚い’紙’のマニュアル・・・索引を見るだけで一苦労だぞ。」
「そうですねえ。しかも重い!こんなの抱えて防壁を突破して現場に行って、読み込んで操作なんて無理ですよ!」
待てえ!
要は中身を憶えて、行く手を塞ぐモノを物理的に破壊して
潜り込めばいいんだよな?
「理屈はそうですけど。そんなの不可能ですよ。」
できる。俺たちなら。
ヒロ、いいか?
「もう半分は頭に入った。あと少し・・・。」
諦めムードの技術省職員を横目に、ヒロはページをパラパラとめくり続ける。
「本気ですか?脱出に取り掛かった方がいいんじゃ・・・。」
今から全市民を宇宙空間に退避させる方が無理だろ!
避難対応、そっちはそっちでやれ!こっちはこっちでやる!
「情報部に一任と指示は来てますが・・・行くんですか?」
うるさーい!ヒロの邪魔するな!
俺はな、俺たちはな、やると言ったらやるんだ!
出来ないとでも思うのか?!
惑星上の五十億人の命。
すべての生命の存在。
それ以上のあらゆるものが、懸かっているんだからな!




