070⚫️それはカンベン & 071⚫️誰そ彼
070⚫️それはカンベン
「なんでボクたちが、また、ドミナ宙域にもどらなきゃならないの?」
「こっちが勝ちすぎた、ってことだな。向こうで何が起きているか、調べてこいということだ。」
「でも、そんな任務なら他に担当者がいるんじゃないの?」
「そうなんだけどな。俺たちも’やり過ぎた’ってことだ。悪い意味で頼りにされてるのさ。」
「まあ、ヤマトと一緒なら、ボクはいいけど。」
「じゃあ、今回の調査でトマトを食べる特訓もしようぜ、ヒロ!」
「いや、それはカンベンしてよお!」
071⚫️誰そ彼
あら、観光客なの?こんな田舎に、めずらしいわね。
大人たち?なんだか騒がしいのよ。勝った、いや、負けた、って。
みんな自分の勝手な妄想で叫んでるんだから。
情報がちゃんと入ってこないのは、もう慣れっこよ。
ニュースでは、優勢で少し被害が出た程度だって。
でも、それを信じる人たちもいれば、疑う人たちもいるの。
えっ、わたし?よくわからない。
だけど、兄さんが宇宙軍にいるのよ。
ちょっと前に、しばらく連絡できなくなる、って。
きっとなにか、秘密の作戦があるのよ。そうに決まってる。
勝ち負けなんて、どうでもいい。
無事で兄さんが帰ってくれれば。
わたし、学校の成績があがったの。ぜったい褒めてくれる!
早く帰ってこないかなあ!
ヒロとヤマトは、その場を離れる。
ふたりも’兄’の無事での帰還を祈りながら。
静かな黄昏である。
ただ、夕陽が血のように赤かった。




