033●立ち上がる巨竜
艦橋に入る。薄暗い空間に、わずかな計器灯だけが浮かんでいた。
エンジンを始動させなければならない。
人工知能はまだ沈黙している。
エネルギーを艦全体に行きわたらせる必要がある。
「バッテリー残量から見ると、一発で始動しないといけないな。」
「わたしがやるよ。こう見えても、船舶免許もってるのよ。」
それは聞いてなかった。サラ、すごいな。
「宇宙艦艇っていうのは、初めてだけどね。」
「それって小型船舶免許ってこと?」
「なによ、文句ある?」
ありません。僕に操縦はできません。
「ジム、始動方法、概略を教えてちょうだい!」
ありったけの知識を短く伝える。サラは頷く。コックピットに座る。
「やるよ!」
サラの手が動く。
レバーを力いっぱいに押し上げる。
・・・エンジン音が・・・しない。ダメなのか?!呻く。叫びたい!
胸の中から、悲しみと苦しみが噴き出す。
「ジム。だいじょうぶ。静かにしてね。」
その声が終わるか終わらないかのうちに、床や壁が震える。
ドッ、ドッ、ドッ・・・。
規則正しい鼓動が、だんだん強くなって来た!
「やった!こいつ、動くぞ!」
「出力上昇中!エネルギー伝達、全域へ!臨界まで、あと10秒!」
サラの隣のコンソールに座る。メーター類のチェック。
「人工知能、起動するぞ!」
「動力系、生命維持系、オールグリーン!探知系、防御・攻撃系、間もなく準備完了よ!」
「よーし、行こう。発進だ!」
「了解!」
コロニーの住民が右往左往している時、近くの丘が盛り上がる。
揺れが彼ら彼女らの足元まで伝わってくる。
こんな時に地震まで!
全員が絶望に打ちひしがれた時、丘がゆっくりと崩れ始めた。
その中から、黒い巨大な影が浮かび上がってくる。
なんだ、あれは?自分たちは何を見ているんだ?




