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四十七話 第三階層中層域 探索中

 第三階層中層域のモンスターと戦い慣れてきたので、徐々に休憩部屋から離れた場所へと移動を開始する。

 目的は、中層域のマップ埋めと、宝箱がないかを探すこと。

 第三階層の宝箱に不老長寿の秘薬が入っているとは思わないけれど、可能性はゼロじゃないからな。その可能性を潰す意味でも、宝箱の捜索はしておいて損はない。

 それに中層域の通路は、迷路状に入り組んでいない普通の通路なので、宝箱があっても一つか二つぐらいじゃないかと直感している。

 モンスターと戦い、戦いの中で怪我を負い、治療方術で怪我を治し、さらに通路の先へ。


「バトルで減ったHPを回復魔法で治すなんて、まんまRPGゲームだよな」


 単独でダンジョンに入っている俺は、差し詰めドラゴンぶっ倒しRPGゲームの初代勇者といったところか。

 ごく普通の家庭出身の俺の格の方が、勇者の役割に不足しているだろうけどな。

 そんなことを考えながら、通路を進んでいくと、とうとうモンスターが三匹一度に出てくる区域に入った。

 じっくりと戦い慣れてきて、どのモンスターの弱点も把握できているため、三匹相手でも勝つことはできる。

 しかし、一対三の状況になると攻撃にも防御にも手数が足りず、どうしても怪我をする割合が増えてしまう。

 そんな状況なので、治癒方術で倒せてしまうスケルトンランサーが出てくると、ちょっと安心してしまう。


「フォースヒール」


 スケルトンランサー三匹を、フォースヒールを使って瞬殺する。

 本来なら、たぶんこのスケルトンランサー三匹が、この区域で最も出会いたくない組み合わせなんだろうな。

 なにせスケルトンランサーは、槍のリーチを活かし、こちらを近づかせないように動く。しかもスケルトンランサー同士で連係してだ。

 だから既存チャートに従って日本刀装備だと、そのリーチの差を埋めるために、槍の間合いの内側に潜り込んで攻撃する必要があるが、その潜り込みも他のスケルトンランサーが槍を振るってきたら中止せざるを得なくなる。

 そんな連係をさせないためには、日本刀持ちが三人同時に、それぞれのスケルトンランサーに打ち掛かりにいく必要がでてくる。

 同時に打ち掛かるということは、つまり探索者側が連係の有利を捨てて、一度に三人を高い危険に晒す決断をするということでもある。


「ここら辺の通路のマップが埋まっていない理由も、スケルトンランサー三匹組の危険が大きいからなのかもしれないな」


 なにせスケルトンランサーを倒しても、通常ドロップはボーンアクセサリーで、レアドロップは骨槍だ。

 ボーンアクセサリーはさほど高くは売れない。骨槍は需要が高い武器だが嵩張るため、拾ってしまうと移動の邪魔になる。

 そんなわけで、スケルトンランサー三匹を同時に倒す危険度と見合う報酬が得られるかというと、疑問符がついてしまう。

 それにモンスターが三匹出てくる区画は、言ってしまえば、次の階層に行く道とは関係のない脇道でしかない。

 次の階層に行くだけなら、一匹だけモンスターが現れる場所を、浅層域、中層域、深層域と通っていけば済む話だからな。

 そんな脇道に命を懸けるぐらいなら、より先の階層のモンスターを一匹ずつ倒してドロップ品を得た方が、危険度と収入が釣り合うってもんだろうし。

 

「しかし俺の目的は、不老長寿の秘薬を入手すること。まだ見つかっていない秘薬は、誰も探索していない場所にこそあるってもんだろうしな」


 だからモンスター三匹一組で出てくる区画を踏破する必要があると、俺は自分に言い聞かせつつ、通路を先へと進んでいった。



 怪我を治すヒール。戦闘疲れを癒すリフレッシュ。不意打ちに備えるためのリジェネレイト。スケルトンランサーを倒すフォースヒール。

 モンスターが三匹一組で出てくる区画に入ってから、治癒方術が大活躍だ。

 武器についても、メイスだけじゃなく、戦槌も活躍している。ワイルドドッグ相手に、投げつけるだけで戦闘不能に陥らせるだけの重量があるからな。

 だから今の俺の探索スタイルは、左手にメイスを持ち、右手に戦槌を持つという、鈍器ごり押し戦法っぽい見た目になっている。

 そんな格好で、モンスター三匹と出くわす。内訳は、ワイルドドッグ一匹に、スケルトンランサー二匹。

 ワイルドドッグが勢い良く駆け出して、俺に近づいてくる。スケルトンランサー二匹も、槍を構えながら、スケルトンが出せる全速力でワイルドドッグの後を追っている。

 モンスター側の戦法としては、ワイルドドッグが俺と戦っている内に、スケルトンランサー二匹が槍の間合いまで接近し終えるというものだろう。

 しかし俺は、そんな戦法に付き合ってやる気はない。

 俺は右手の戦槌を一度後ろに引いてから、ハンマー投げの要領でワイルドドッグへ投げつけた。

 重いヘッドを中心に、長い柄が横回転しながら、戦槌がワイルドドッグへ飛んでいく。

 しかし、そこまで速度があるわけじゃないので、ワイルドドックは飛んでくる戦槌の上を跳び越えて避ける。

 その飛んだ先の着地位置目掛けて、俺は左手のメイスを両手で構え直しながら走る。


「空中に跳んだら、避けられないだろ!」


 俺はワイルドドッグが地面に着地する前に、メイスで強打した。ヘッドがワイルドドッグの首元に当たり、骨が折れる感触がした。そしてワイルドドッグは薄黒い煙と化し、牙を残して消えた。

 ワイルドドッグを即効で倒し終え、俺はスケルトンランサー二匹に片手を向ける。


「フォースヒール。フォースヒール」


 一度ずつ、それぞれのスケルトンランサーに。それでスケルトンランサーたちは、地面に骨を散らしてから薄黒い煙と化した。


「おっ。骨槍と魔石だ。やっぱり一匹より二匹、二匹より三匹が一度に出る区画の方が、レアドロップ率が良い感じがあるな」


 俺はワイルドドッグの牙とスケルトンランサーの骨槍を次元収納に入れ、魔石はメイスの強化に使った。

 

 

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― 新着の感想 ―
MP消費的にどうなんだろう
[良い点] 面白くなってきた
[一言] 今後の課題で話の筋のワンパターン化をどう変化して行くか? 山無し意味無しオチ無し、やおい化するか?はたまた変化に飛んだ物語になるか? 分岐点ですね。私小説は難しいよ
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