三十二話 普通の休日
役所でドロップ品を売り、再びダンジョンに戻って次元収納の中に台車を入れてから、一日空けた自宅に戻り、備え付けのシャワーを浴びて、就寝。
翌日に起きたら、一日休日にすることに決め、部屋着の状態でコインランドリーへ行き汚れた衣服を洗濯する。
洗濯が終わるまでの待ち時間を利用し、スーパーへ行って朝食にカット野菜とプレスハムに総菜パンとコーラを購入。
コインランドリーに戻り、洗い終えて止まっていた洗濯機から乾燥機へと服を入れ換える。そして乾燥が終わるまで待つ間に、割り箸でカット野菜をハムで巻いてもしゃもしゃ食べ、パンをコーラで流し込む。
食べ終えたゴミをランドリーのゴミ箱に分別して入れつつ、俺は自分の腹に手を当てる。
「ちゃんとカロリーある食べ物を入れたのに、まだ入りそうな感じがあるな」
探索者になってから、よく運動しているからだろうか。それとも筋肉痛を修復するのに、カロリーを多く消費しているからだろうか。
どちらにせよ、身体がカロリーを欲しているのなら、昼食は焼肉の食べ放題だな。
乾燥を終えた衣服を持って自宅アパートへ。
スマホで、焼肉食べ放題の店にネット予約を入れてから、アニメ鑑賞へ。
最新のアニメもネット配信されるため、一々テレビ配信の時間を調べて録画を設定しなくてもよくなったなんて、子供の頃に比べて良い時代になったもんだ。
視聴継続しているアニメを粗方見終えた頃、店を予約していた時間まであと少しという時刻になっていた。
移動して店に到着すると、二人掛けの席に案内され、食べ放題の設定時間の許す限り食事を楽しんだ。こういう店でしか、アイスクリームをコーンに可能な限り高く乗せる楽しさは体験できないしな。
自宅アパートに戻り、思い付きで身体のストレッチをしながら、ソシャゲを起動して遊ぶ。
筋肉痛で身体が張っているからか、普段よりも曲げられる距離が短い気がする。
そこで焦らず、ゆっくりと慣らすように伸ばしていくと、すぐに元のところまで伸ばせるようになった。
身体が張っている部分を探し、そこをストレッチで伸ばす。
その運動をしつつ、ソシャゲのデイリーミッションを終わらせ、無料ガチャを回す。もちろん、当たりは引けない。
探索者として稼いだ金を突っ込めば、天井で最上レアを手に入れることはできるが――現在のピックアップは、そこまでして欲しいものじゃないから、スルー安定だ。
ストレッチで全身を解し終わり、布団の上に寝転ぶ。
食べ放題で摂取したカロリーと栄養素が、ストレッチで良くなった血行を通じて、全身に運ばれていく感触がする。そして運ばれた栄養によって、筋肉痛を修復しようという身体の機能が動く予兆を感じた。
俺は自分の体が頑張って生きようとしている感触を得つつ、窓から差し込む温かな日差しを受けながら、布団の上で目をつぶる。
そこで、すっと寝入ってしまったようで、次に目を開けたら日差しが夕日に変わっていた。
布団から起きて、水を飲み、便意を感じてトイレへ。
身体の中がスッキリしたところで、空腹を感じた。
「うむむむっ。昼にあれだけ食べたのに、次の催促とは……」
高校生時代に、運動部の友人が食べても食べても腹が減ると言っていたことを、当時の俺は信じられなかった。
だが俺が二十歳を越えてから、その友人の言葉を信じられるようになってしまうなんて、不思議なもんだ。
「でも、なにを食べようか……」
焼肉の食べ放題では、焼肉以外にも色々な料理があった。それこそスーパーで売っている定番惣菜は、確実にあった。
それを昼に堪能した後だと、スーパーで夕食を買うことに魅力を感じられない。
「店に行くか、それとも出前を頼むか」
俺は自分の身体に何を食べたいのかを問いかけながら考え、そして『寿司』という選択が浮かんだ。
「よしっ。回転寿司にいく」
そうと決めた俺は、アパートから移動を開始しつつ、ネットで席を予約する。
回転寿司の店に到着してから十分ほどで、一人掛けの席へ。
昼に肉を食べたので、今回は変わり種なしの、純粋な魚と貝の寿司だけ選ぶことに決め、タッチパネルで注文。
運ばれてくる皿を受け取り、醤油をちょっとつけてから握り寿司を口へ。
腹八分目になるまで寿司を頼み続け、食べ続け、そして締めには粗汁を飲む。
汁物の温かさと、汁気で酢飯が膨れていく感触を、胃に感じつつ会計する。
十分に腹が満ちたため、自宅へ直行し、歯を磨きシャワーを浴びて、眠気がくるまでスマホでネット小説を熟読。
小説の続きが気になるが、眠気で目が落ちてきたので、スマホを充電器に繋いでから、俺は目を閉じて眠りに入った。




