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ビューティー  作者: 宇目 観月(うめ みづき)
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伯母さんが亡くなって、僕は彼女が残し

た家に住むことになった。


静岡出身の僕は大学時代に上京し、伯母

夫婦の住むこの家で世話になった。


子供がなかった伯母夫婦は、僕をとても

歓迎してくれた。



就職して数年経つと僕は独立し、住ま

いを変えたものの、盆や正月など年に

数回は必ずこの家を訪れた。


伯母さんは、学生時代の僕の部屋を

今だに手付かずで残してくれていた。



でも優しかった伯父さんが亡くなると、

その一年後、しっかり者の伯母さんも

後を追うように亡くなった。



◇◇



伯父さんの時と同様、伯母さんの葬儀

も身内だけですませた。


伯母さんの弟である僕の父は、葬儀が終

わって静岡に帰る時、僕にこう言った。


「啓太、この家の管理はお前に任せたぞ。

この家は俺が受け継いだが、いずれはお前

の物だ。千代子伯母ちゃんには小さい頃か

ら世話になったんだから、きちんとしてあ

げないとな。あの煩い犬も含めてな」


縁側で、フレンチ・ブルドッグが僕達に

向かって吠えていた。


伯母夫婦が数年前から飼い始めた雄犬だ。



褐色の短い体毛をしたその犬は、大きな

目玉を剥き出し、掠れた様な声で吠えて

いる。


不細工な犬だが、何となく愛嬌があって

憎めない風貌をしている。


醜いのに「ビューティー」と名付けられ

たその犬は、伯母さんによく懐いていた。


「…分かった」


僕は渋々頷いた。

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