PW01-刀と鬼の世界⑧
唐沢も現状に混乱していた。
吉本とカイに話をしながら、唐沢自身も頭を整理していった。
吉本が話をまとめやすい様に順番に質問をする。
「唐沢さん。アナタの立場もわかります。
答えられない事もあるでしょう。
それは答えなくても構いません。
ただ、嘘はつかないでください。」
先程、宿の丁稚が布団を敷きにきた。
布団の上で胡座をかいて、話をすすめる。
「私たちはジパングの調査にきた。
私達が選ばれたのは、ジパングでの記憶があるから…
前提は間違っていませんか?」
「そうです、ね。
ですが、てすね…
私には、ね、世界管理機構から、別のね、任務があります。
詳細は…ね、お話ししても、問題ないでしょう。」
一呼吸おいて、また話し始める。
「世界管理機構は、ね、今回の世界の拡張と、あなた方の同期について、ですね…
幾つかの、仮説を、ね、立てています。
まぁ、その確認みたいな、ものです、ね。」
吉本が指を三本たてる。
「一つは、ジパングの調査。
二つ目は仮説の確認。
私の予想では、もう一つありますよね…?」
「多分、ね。
そうなのでしょう…ね。
私も、ね、知りませんでしたが…」
「鬼来香…鎧塚さんは何を考えているんですか?」
カイはここに来てからの疑問を、唐沢に投げかける。
唐沢は、かぶりを振る。
「わかりません。
あんなに恐ろしい物を、ね。
私に…ね、つけさせるなんて。
鎧塚室長は、部署は違いますが、ね…
仕事もできるし、尊敬をね、していたのですが…」
多分、三つ目の任務は鬼に関する事なのだろう。
「危険がない」などと、よくも言ったものだ。
唐沢は話を続ける。
「ジパングの、情報や資源などの、ね、サンプルを、ですね…集める事も、ね、言われていました。
結晶化した、ね、鬼の…アレ、
…細胞結晶、ですね。
細胞結晶を持ち帰る。
なんかも、ね、その一つです。」
唐沢は懐から、鬼の結晶化した鬼の細胞をとりだした。
いつの間に採取してきたのだろう。
蝋燭の光に照らされてキラキラと小さく光っている。
「唐沢さん。今世界に何が起きているんですか?
…少なくとも世界管理機構は、どう考えているのでしょう?」
吉本の語気は少し強く、問い詰める様になっているが、カイはそれを止めなかった。
唐沢はまた、かぶりを振る。
「世界管理機構…いや、私か…
私も…ね、ほとんど、何も、ね、
知らないんです…ね…」
「無責任な」とも思うが、本当にこれ以上の情報はもったいなさそうだった。
むしろ、鎧塚に騙され、死にかけた事にショックをうけている唐沢を、これ以上責める気にもなれなかった。
パラレルワールドの記憶が流れ込む事を『同期』と呼んでいる。
同期が起こると、パラレルワールドの人間は消えるかもしれない。
その仮説が同行で、ほぼ確実になった。
世界管理機構は、複数名の学者と議論・協議を行い現状について、仮説を幾つか立てているのだそうだ。
その内の一つの仮説に、現状が当てはまる。
仮説をより確実にする為に情報を集める事が、ジパング訪問の目的の一つだった。
唐沢は要約して、仮説の一部を教えてくれた。
『世界は一つに収束されて行く、鯨がいる世界が、収束元、中心点にあたる。
パラレルワールドに対し、収束元である我々の世界の呼称を、C of U【センター オブ ユニバース】とする事とする。』




