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ホエイルホエル  作者: たろ
一幕

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19/62

PW01-刀と鬼の世界⑧


唐沢も現状に混乱していた。


 吉本とカイに話をしながら、唐沢自身も頭を整理していった。


吉本が話をまとめやすい様に順番に質問をする。


「唐沢さん。アナタの立場もわかります。

答えられない事もあるでしょう。

それは答えなくても構いません。

ただ、嘘はつかないでください。」


先程、宿の丁稚が布団を敷きにきた。


布団の上で胡座をかいて、話をすすめる。


「私たちはジパングの調査にきた。

私達が選ばれたのは、ジパングでの記憶があるから…

前提は間違っていませんか?」


「そうです、ね。

ですが、てすね…

私には、ね、世界管理機構から、別のね、任務があります。

詳細は…ね、お話ししても、問題ないでしょう。」


一呼吸おいて、また話し始める。


「世界管理機構は、ね、今回の世界の拡張と、あなた方の同期について、ですね…

幾つかの、仮説を、ね、立てています。

まぁ、その確認みたいな、ものです、ね。」


吉本が指を三本たてる。


「一つは、ジパングの調査。

二つ目は仮説の確認。

私の予想では、もう一つありますよね…?」


「多分、ね。

そうなのでしょう…ね。

私も、ね、知りませんでしたが…」


「鬼来香…鎧塚さんは何を考えているんですか?」


 カイはここに来てからの疑問を、唐沢に投げかける。


唐沢は、かぶりを振る。


「わかりません。

あんなに恐ろしい物を、ね。

私に…ね、つけさせるなんて。

鎧塚室長は、部署は違いますが、ね…

仕事もできるし、尊敬をね、していたのですが…」


多分、三つ目の任務は鬼に関する事なのだろう。

「危険がない」などと、よくも言ったものだ。


唐沢は話を続ける。


「ジパングの、情報や資源などの、ね、サンプルを、ですね…集める事も、ね、言われていました。

結晶化した、ね、鬼の…アレ、

…細胞結晶、ですね。

細胞結晶を持ち帰る。

なんかも、ね、その一つです。」


唐沢は懐から、鬼の結晶化した鬼の細胞をとりだした。


いつの間に採取してきたのだろう。


蝋燭の光に照らされてキラキラと小さく光っている。



「唐沢さん。今世界に何が起きているんですか?

…少なくとも世界管理機構は、どう考えているのでしょう?」


 吉本の語気は少し強く、問い詰める様になっているが、カイはそれを止めなかった。


唐沢はまた、かぶりを振る。


「世界管理機構…いや、私か…

私も…ね、ほとんど、何も、ね、

知らないんです…ね…」


「無責任な」とも思うが、本当にこれ以上の情報はもったいなさそうだった。

 むしろ、鎧塚に騙され、死にかけた事にショックをうけている唐沢を、これ以上責める気にもなれなかった。




パラレルワールドの記憶が流れ込む事を『同期』と呼んでいる。


同期が起こると、パラレルワールドの人間は消えるかもしれない。


その仮説が同行で、ほぼ確実になった。


 世界管理機構は、複数名の学者と議論・協議を行い現状について、仮説を幾つか立てているのだそうだ。


その内の一つの仮説に、現状が当てはまる。


 仮説をより確実にする為に情報を集める事が、ジパング訪問の目的の一つだった。



唐沢は要約して、仮説の一部を教えてくれた。


『世界は一つに収束されて行く、(モビーディック)がいる世界が、収束元、中心点にあたる。

パラレルワールドに対し、収束元である我々の世界の呼称を、C of U【センター オブ ユニバース】とする事とする。』






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