表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

Person 2

※この小説には同じ漢字で違う読みの男女が出てきます。読み間違えにご注意ください。(一応、全てにおいてルビをふってあります)


カラン コロン・・・


「いらっしゃいませ。相沢(あいざわ) (れい)様。こちらへどうぞ。あなたのお好きなものを既にお作りしております。」

私がその店に入ると、私と同じ年ぐらいのマスターがそう言った。

「な、なんで私の名前知ってるんですか・・・・?」

不思議に思ってそう聞くと、

「それは秘密です。 あ、こちらをどうぞ。ヨーグルトシェイクです。」

「あ、ありがとうございます。」

私は本当に好きな飲み物が出てきてビビったが、そのヨーグルトシェイクはとてもおいしかった。


チリン・・・・


ふとそんな音が聞こえた気がした。

「あ、故人さまがお待ちですよ。」

「え・・・・?」

私がそう聞くとマスターはこう言った。

「この喫茶店は浮世(うきよ)天界(てんかい)をつないでいまして、故人様と生き人が強く引き合った時にしか、はいれないようになっ

ているんですよ。」

「・・・私、だれと・・・?」

「では、行ってらっしゃいませ。」

そうマスターが言うと私は何もなかったところにできていた扉のなかに吸い込まれていった。


*   *   *    


「  (れい)、 」

「あなたはミオ・・・?」

「久しぶり。(れい)。君のことをここでずっと待っていたんだ。」

そうだ。彼は私のイマジナリーフレンド。現実にいるはずのない友達のはず。なのになんでここにいるの・・? もう二度と会えるはずなんて無いと思っていたのに。

「え、ミオは、もともとは人間だったの・・・?」

「僕はっ・・・、ごっ、ごめん。自分の口からは言えないよ。」

「・・・・そっか。言えないこと聞いてごめん。」

私は少しがっかりした。気づくと私たちの机の上には二つのヨーグルトシェイクが置いてあった。それを手に取って飲んでいると

「そういえば、(れい)は来月から大学生だよな? 受験どうだった?」

「ちゃんと頑張ったかいがあって、第一志望のとこに受かったよ。」

「そっかぁ。よかったなぁ・・。」

そんな他愛もない話をしているとまたどこからか ピピピピピピピピピピピ・・・  という音が聞こえてきた。

すると突然ミオが話をさえぎって言った。

「あ、もう時間か。じゃあね、またいつか、」

「え、ミオ?」

そしてまた突然私は壁の中に吸い込まれていった。


(れい)、 ごめんなぁ・・。 兄ちゃん、生きていられなくって。 ・・・・ほんとは(れい)と一緒にいきていたかったよ・・。」


     *   *   *


「ただいまぁー。」

やっぱり今年も誰もいない。毎年毎年この日は必ず親は家に帰ってこない。

あ、なんか置いてある。


(れい)、おかえりなさい。今日は夜みんなで外食だから服を必

ず着替えておきなさい。大事な話をするからね。十九時頃に

迎えに行くからすぐ行けるようにしとくのよ。

                   お母さんより“


え、なんで今年はこんな置手紙があるんだろう・・?

     *   *   *

(れい)~。」

「ママ、」

「行くわよ。早く車のって。」

「うん。」

「ねぇ、ママ。」

「なに?」

「今日って何の日?」

「・・・・・・(みお)の命日。」

「ミオ? え、な、なんでママ、ミオのこと知ってるの・・?」

「あとで話すから。」

そうママは強く言ったが、心なしか泣いているようにきこえた。・・ほんとミオって何者なんだろう。


     *   *   *


(れい)、お母さん、こっちだぞ。」

「あ、パパ。」

案内された席は四人掛けだった。三人しかいないはずなのに四席とも水が置いてある。私は不思議に思って

「誰かもう一人来るの?」

と聞くと

「きっともう居るとおもうよ。・・・・(みお)が。」

とパパが少しうつむきながら言った。 やっぱりパパも知ってる。なんでなの?

「ねぇ、なんでママとパパはミオのこと知ってるの?」

「逆になんで(れい)が知ってるかお父さんの方が知りたいよ。」

「え、小さい頃、ミオは私のそばにずっといてくれたよ?」

そう私が言うとパパは身を乗り出してこう言った。

(みお)のことがみえるのか?」

「見えるも何も一緒にいてくれたって言ったじゃん。」

パパはそっとため息をついた。そして

「・・・・・そばにいるなら顔見せてくれよ、(みお)。」

と半泣きで言い、ママも

「本当、そうよね。生みの親に顔見せずに・・・。」

と半泣きで言った。

「   ねぇ、 (れい)?  」

そう私の耳元で囁いたのは・・・(みお)だった。いつの間にか(みお)は私の隣に立っていたのだ。

「ミオ、いるじゃん。」

私がそう言うとパパが

「そこに・・(みお)がいる‥のか?」

と言い、

「ねぇ、(みお)に座っていいよって言ってあげて。」

と、ママは言った。

「座っていいってさ。ミオ。」

私がそう言うとミオは

「あ、これ、僕の席だったんだ。」

と私に言って椅子を引いて座った。その椅子の動きは見えたようでパパは、

「本当にいるのか‥‥。」

といい、ママは

「本当に見えたら・・・よかったのにね・・。」

と悲しげにそっと小声でつぶやいた。私は両親の顔をゆっくりと眺めていた。するといきなり左肩を叩かれて、

「少しの時間だけですがご希望にお答えできますよ。」

と恐らくあの喫茶店で私の接客をしてくれたマスターだと分かった。なので振り向こうとすると、

「いけませんっ!」

といきなり言われて慌てて振り向くのをやめた。すると

「突然失礼しました。ここで振り向いてしまうとご両親に気づかれてしまいます。私たち死人(しびと)はあなた方SeaGrass以外には見えないので仕方ないですが。なので一時的に見えるようにすることもできますがどういたしましょう。・・・あ、そのままじゃ答えられませんよね。えっと、見えるようにしてほしいなら右手で、やらなくてもいいなら左手で、背中を掻く、とかどうでしょう?」

と言われたのですぐさま右手で背中を掻いた。

「承知いたしました。では気づかれないように私が隠れてから術をかけます。」

そう彼女が言った数秒後、やけにミオがはっきり見えるよう

になった。

(みお)・・・・・・? あなた(みお)なの・・?」

「ほんとに(みお)なのか・・?」

「父さん、母さん、久しぶり。二十年ぶりぐらいかな。毎年毎年このレストランで供養してくれているのに顔を見せれなくてごめんなさい。」

(みお)っ! こんなにおっきくなっちゃって、」

「・・・・今生きていたらこうなってただけだよ。すぐまた母さんたちは僕のこと見えなくなるから(れい)にほんとのことを言うなら今だと思うよ。」

「・・・そうね。」

そう頷いてママは重い口を開いた。

(みお)(れい)の五つ上の実のお兄ちゃんで、生まれてすぐに亡くなったの。生まれつき心臓の弁と壁がなくてね。その当時でも今の医療技術でも治すことが出来なくって。それからしばらくして(れい)が生まれたのよ。その時はね(みお)がもう一回帰ってきてくれたんだと思ってね、あなたに同じ漢字でれいって名前を付けたの。・・・・・それがまさか(みお)(れい)のこと見守ってくれてたなんてねぇ。」

「父さんは(みお)(れい)のこと見守ってくれていてうれしいよ。・・・・最後に(みお)が消える前に抱きしめてもいいか?」

そうパパが言うとミオはにっこりとほほ笑んで

「もちろん。  ほら、母さんも。」

とママとパパと抱きしめ合っていた。私はその三人を外から部外者のように眺めていた。

最後にミオは私のほうを向いてにっこりと笑い、「ありがとう、(れい)。」と言い、今度は私にも見えなくなった。


*  *   *


カランコロン・・・


「いらしゃいませ。・・・あぁまたいらしたんですね、相沢 (れい)様。」

「この前はありがとうございました。・・・・・何といえばいいか、ちょっとわからないんですけど。」

「いえいえ、それがSeaGrassのマスターの務めですから。」

「あのっ!、そういえば、」

「はい、何でしょう。」

「マスターの名前・・・教えてもらってもいい・・ですか・・・・?」

「もちろんです。私はRei(れい)と言います。」

マスターは自分の名札をつまんで見せてくれた。

「・・・Rei(れい)っ⁈ え、私とおんなじ名前じゃないですか。」

「正確には名前ではなくマスターコードネームですが。」

「マスターコードネーム・・?」

「ええ。私たちSeaGrassのマスターはすでに亡くなっている死人(しびと)です。なので生きていたときの名前から少し名を取ってこのようなコードネームが付けられるのです。必ず大文字アルファベット一個+小文字アルファベット数個+小文字のⅠ(アイ)によってあらわされます。」

「そうなんですか。」

「確かにそう言われてみれば名前、一緒でしたね。・・・・・・・・私みたいな人生は送ってほしくありませんが。」

「・・・・え。」

「ほんとうの話ですよ。・・・・・・でも、まあ、良かったです。色々と。」

「そっ、そうですか。 そういえば前回ここに来た時にお会計してなくて、」

「あぁ、すいません。私が慌ててて説明していませんでした。ここは心に傷を負った人、故人様に招待された人、故人様と通じ合った人しか入れないようになっているので、基本的にはその方たち、通称SEAGRASS(シーグラス)の方々からはお代はいただきません。ですが、REDMAKER(レッドメイカー)、いわゆる死因の原因となった人からはその罪の重さに応じてSEAGRASSの方々のお代を払ってもらってるので大丈夫ですよ。」

「そうなんですね! よかったぁ、食い逃げしたかと思っててひやひやしてたんです。」

「誠に申し訳ございませんっ。」

「いえいえ、大丈夫です。・・・・・そういえばミオは?」

「相沢 (みお)様は・・・・・もうこの世界にはいらっしゃいません。」

「え、」

「未練が消えた今、ここ、無限(むげん)回廊(かいろう)にいる理由はありませんので。」

「・・・・・ここってそういう場所なんですか?」

「ええ。反対にある死人(しびと)側のSeaGrassの入り口は無限回廊という未練がある人が半強制的に送られる場所につながっていて、未練がなくなったら天界(てんかい)、いわゆる天国と地獄にいけるようになってるんです。」

「ということは・・・・・・私が未練だった・・・?」

「あ、伝言を預かっています。」

「え、なんて、」

「“父さんと母さんには気の毒だが僕のことは忘れてもらう。これからは澪としっかり向き合ってほしいから。これからもずっと見守ってるからな。じゃあな。(れい)。“ だそうですよ。」


*  *   *


今日も大学へ行く。なぜか懐かしい気配を覚えて授業中にふと横を見る。そこにはあの日と同じ笑い方をしたミオがいて、

泣きだしそうになる私に向かい、フフッと笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ