ゴリラの問い
前回のあらすじ
・ゲートをくぐるとそこは崖でした
・アースウォールカタパルトォ!!
ドンッと飛んで、途中でまた崖から土壁を生やして着地して……またドンッと飛んでを繰り返すこと、数回ほど。
私達は無事、崖の上へとたどり着いていた。
途中で、崖を登ってたゴリラを追い抜いたけど……まあ、気にしないで良いんじゃないかな?
驚いたような顔で落ちていったけど。
「ひえぇ、たっけーえ」
「あんまりのぞき込んでると落ちるよー?」
「分かってるんだけどにゃー。人間、この恐怖感に……なぜか惹かれちまうもんだぜ」
いい顔といい声(当社比)で言われてもなー。
「それより、ケート」
「わーかってるにゃー。ちょっとくらい現実逃避させて欲しかっただけだぜー」
「ゲームの中で現実逃避って」
「にゃはー……一周回って現実的みたいだけど、浮いてるゴリラはちょっと違うかにゃー」
崖に背を向けて、切り取られた大地の中心に目を向ければ……そこには、あぐらをかいて宙に浮くゴリラが。
遠くて聞き取れないけれど、目を閉じて何かを呟いているみたいで、どこか妙な神々しさを感じてしまう。
後光とか見えそうな感じ。
「どーみてもアレがボスっぽいよにゃー?」
「まあ、そうだねー。修行僧って感じかなー」
「だにゃー。火を噴いたり、手足が伸びたりしそうだぜー」
「それはなんか違う」
もしそうなら、あのゴリラはちょっとふくよか過ぎるかなー。
断食的なやつで痩せ細ってるようなイメージどころか、最初に戦ったゴリラボクサーよりもイイ身体してるし。
僧は僧でも、破壊僧的な感じだよねー。
『“――人の子よ。汝らは何を越えて此処に来た”』
「――にゃッ!?」
「頭に、直接……声が!?」
『“答えよ。汝らは何を越えて此処に来た”』
ビリビリとした威圧感のある声が、まるで脳に直接スピーカーを繋いだみたいに響く。
声だけなら第二層ボスの天空王のほうが神々しさはあるけれど、肌に走る威圧感は、このゴリラの方が圧倒的だ。
――私が、咄嗟に刀に手を伸ばすくらいには。
「何を越えて、かにゃー?」
「なにって、崖じゃないの? 登ってきたわけだし」
「んー、たぶん崖みたいな“モノのこと”じゃなくて、“概念的なこと”だと思うんだよにゃー」
「概念的?」
それってたしか、“物事を抽象的に大まかに見てること”だっけ?
「あんまりいい言葉じゃにゃいんだけどにゃー。今回の答えは正しい答えじゃなくて、私達がここにたどり着くことで、どういったを意味を見いだしたかって聞いてる気がするぜー」
「え、ええと……?」
話が難しくてよくわからない!
もっと簡単に、簡単にお願いします!
「えー……? んーとにゃぁ……」
『“汝らは、まだ答えにたどり着いていないと見える”』
「にゃ?」
『“ゆえにまた一度、自らの試練に向き合うが良い”』
「それって、どういう――」
不穏な気配を感じて、問い質そうと口を開くも遅く……私とケートは、パカッと開いた地面の穴に落ちていくのだった。
って、嘘でしょおおおお!?
□□
side.ミシェル
「タコっスね」
「タコ……ですか?」
カリンから渡された望遠鏡『彼方』を使って、謎の触手を観察すること少し。
いろいろな情報から、ナインはあの謎の触手が“タコの足”だと結論付けたようだ。
こういう大型の軟体動物といえば、クラーケンが有名で、クラーケンはイカなのですが……タコですか。
「確定じゃないっスけど、触手の数は8本で、大半のイカにある触腕が今のところ見えないっス」
「触腕はたしか、先端のみに吸盤のある腕でしたか。なるほど、それならタコの可能性が高いですね」
「吸盤の仕組みがわかれば、もっとちゃんと見分けられるんスけど……ここからじゃ難しいっスね」
「それは仕方ないでしょう。それよりも、近づく前に確認できたのが幸運ですね」
タコであることが確定したわけではありませんが、イカではない可能性ができたことは素直に嬉しいことです。
タコとイカでは、習性がかなり違いますからね。
「ひとまずタコと仮定するならば、こちらから近づかない限りは、動いてくることはほぼ無いと思います。イカと違い、タコはあまり自分の住み処から動きませんから」
「イカは光に寄ってくるんっスよね?」
「そうですね。イカ釣り漁船などが、大量のライトで照らす理由が、それですので」
しかし、タコは住み処からあまり動かないのが特徴ではありますが……それは言い換えると、なわばり意識が強いということでもあります。
近づかなければ良いだけなのですが、仮に“あの二人”がタコの近くまで流されていたとすると……。
「確実に近づくでしょうね」
「ん?」
「いえ、あの二人だったらどうするかと思いまして」
「あー、確実に近づいていくっスねー。そういう意味では、今あの二人がいなくて良かったっス」
仲間として、その感想はどうなのでしょうか?
いえ、私も同じことを思っているので、仕方ないのでしょうが。
「ケートさんだったら、“丸焼きにしてやるにゃー!”とか言ってそうっス」
「そうですね……」
「セツナさんは、“柔らかすぎてつまんない”とか言いそうっス……」
ナインの言葉に、ふと脳内でタコを丸焼きにするケートと、なます斬りするセツナを思い浮かべてしまい、不思議と頭痛がしてくる。
まったく、これだからあの二人は……。
「せめて、帰ってくるまでは、平穏に過ごしたいものですね」
「そうっスねぇ……」
□□
「へくちっ」
「へくしょい!」
私とケートは二人揃って小さくくしゃみをする。
いや、ケートのは小さくなかった気がするけども。
「ふぃー。誰か噂でもしてんのかにゃー」
「いや、ただ単に身体が冷えたからじゃない? ウォータースライダーよろしく、ポーンされたわけだし」
「それもそうかもにゃー」
鼻をこすりつつ見上げれば、遥か高く伸びる断崖絶壁。
そう、私達は今……ゲートをくぐって最初に出た、この島のスタート地点に戻ってきていたのだった!
つまり、落とし穴で落ちる→途中からウォータースライダー→ポーンと吐き出される→ギリギリで落下回避→今に至る……だ!
「まーじ死ぬかと思ったにゃー」
「だねー。あの修行僧ゴリラ絶対ぶん殴る」
「こわ。でもその前に、あの問いかけをどうにかしないとにゃー」
「だねー」
“汝らは何を越えて此処に来た”かー。
どうみても崖なんだけど、なんて答えればいいのかなー?
-----
名前:セツナ
所持金:99,920リブラ
武器:居合刀『紫煙』
防具:戦装束『無鎧』改
テイム(使用不可):ブラックスコーピオン(幼体)『ハクヤ』(所持スキル:【切断Lv.3】【刺突Lv.3】【神速Lv.2】【蠍蟲拳Lv.3】)
装着スキル:【ゴリラ語理解】【ゴリラの枷(現在7枠)】【八極拳Lv.5】【蹴撃Lv.11】
未装着スキル:【見切りLv.4】【抜刀術Lv.15】【幻燈蝶Lv.6】【カウンターLv.10】【蝶舞一刀Lv.11】【秘刃Lv.2】【符術Lv.3】
□
名前:ケート
装着スキル:【ゴリラ語理解】【ゴリラの枷(現在7枠)】【火魔法】【土魔法】
評価とブックマークをいただければ、モチベーションアップに繋がります!
ぜひぜひ、お気軽にどうぞー!





