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また、つまらぬものを斬ってしまった……で、よかったっけ? ~ 女の子達による『Freelife Frontier』 攻略記  作者: 一色 遥
第五章『サヨウナラが言えない』

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ゴリラの問い

前回のあらすじ

・ゲートをくぐるとそこは崖でした

・アースウォールカタパルトォ!!

 ドンッと飛んで、途中でまた崖から土壁を生やして着地して……またドンッと飛んでを繰り返すこと、数回ほど。

 私達は無事、崖の上へとたどり着いていた。

 途中で、崖を登ってたゴリラを追い抜いたけど……まあ、気にしないで良いんじゃないかな?

 驚いたような顔で落ちていったけど。


「ひえぇ、たっけーえ」


「あんまりのぞき込んでると落ちるよー?」


「分かってるんだけどにゃー。人間、この恐怖感に……なぜか惹かれちまうもんだぜ」


 いい顔といい声(当社比)で言われてもなー。


「それより、ケート」


「わーかってるにゃー。ちょっとくらい現実逃避させて欲しかっただけだぜー」


「ゲームの中で現実逃避って」


「にゃはー……一周回って現実的みたいだけど、浮いてるゴリラはちょっと違うかにゃー」


 崖に背を向けて、切り取られた大地の中心に目を向ければ……そこには、あぐらをかいて宙に浮くゴリラが。

 遠くて聞き取れないけれど、目を閉じて何かを呟いているみたいで、どこか妙な神々しさを感じてしまう。

 後光とか見えそうな感じ。


「どーみてもアレがボスっぽいよにゃー?」


「まあ、そうだねー。修行僧って感じかなー」


「だにゃー。火を噴いたり、手足が伸びたりしそうだぜー」


「それはなんか違う」


 もしそうなら、あのゴリラはちょっとふくよか過ぎるかなー。

 断食的なやつで痩せ細ってるようなイメージどころか、最初に戦ったゴリラボクサーよりもイイ身体してるし。

 僧は僧でも、破壊僧的な感じだよねー。


『“――人の子よ。汝らは何を越えて此処に来た”』


「――にゃッ!?」


「頭に、直接……声が!?」


『“答えよ。汝らは何を越えて此処に来た”』


 ビリビリとした威圧感のある声が、まるで脳に直接スピーカーを繋いだみたいに響く。

 声だけなら第二層ボスの天空王のほうが神々しさはあるけれど、肌に走る威圧感は、このゴリラの方が圧倒的だ。

 ――私が、咄嗟に刀に手を伸ばすくらいには。


「何を越えて、かにゃー?」


「なにって、崖じゃないの? 登ってきたわけだし」


「んー、たぶん崖みたいな“モノのこと”じゃなくて、“概念的なこと”だと思うんだよにゃー」


「概念的?」


 それってたしか、“物事を抽象的に大まかに見てること”だっけ?


「あんまりいい言葉じゃにゃいんだけどにゃー。今回の答えは正しい答えじゃなくて、私達がここにたどり着くことで、どういったを意味を見いだしたかって聞いてる気がするぜー」


「え、ええと……?」


 話が難しくてよくわからない!

 もっと簡単に、簡単にお願いします!


「えー……? んーとにゃぁ……」


『“汝らは、まだ答えにたどり着いていないと見える”』


「にゃ?」


『“ゆえにまた一度、自らの試練に向き合うが良い”』


「それって、どういう――」


 不穏な気配を感じて、問い質そうと口を開くも遅く……私とケートは、パカッと開いた地面の穴に落ちていくのだった。

 って、嘘でしょおおおお!?


□□


 side.ミシェル


「タコっスね」


「タコ……ですか?」


 カリンから渡された望遠鏡『彼方』を使って、謎の触手を観察すること少し。

 いろいろな情報から、ナインはあの謎の触手が“タコの足”だと結論付けたようだ。

 こういう大型の軟体動物といえば、クラーケンが有名で、クラーケンはイカなのですが……タコですか。


「確定じゃないっスけど、触手の数は8本で、大半のイカにある触腕が今のところ見えないっス」


「触腕はたしか、先端のみに吸盤のある腕でしたか。なるほど、それならタコの可能性が高いですね」


「吸盤の仕組みがわかれば、もっとちゃんと見分けられるんスけど……ここからじゃ難しいっスね」


「それは仕方ないでしょう。それよりも、近づく前に確認できたのが幸運ですね」


 タコであることが確定したわけではありませんが、イカではない可能性ができたことは素直に嬉しいことです。

 タコとイカでは、習性がかなり違いますからね。


「ひとまずタコと仮定するならば、こちらから近づかない限りは、動いてくることはほぼ無いと思います。イカと違い、タコはあまり自分の住み処から動きませんから」


「イカは光に寄ってくるんっスよね?」


「そうですね。イカ釣り漁船などが、大量のライトで照らす理由が、それですので」


 しかし、タコは住み処からあまり動かないのが特徴ではありますが……それは言い換えると、なわばり意識が強いということでもあります。

 近づかなければ良いだけなのですが、仮に“あの二人”がタコの近くまで流されていたとすると……。


「確実に近づくでしょうね」


「ん?」


「いえ、あの二人だったらどうするかと思いまして」


「あー、確実に近づいていくっスねー。そういう意味では、今あの二人がいなくて良かったっス」


 仲間として、その感想はどうなのでしょうか?

 いえ、私も同じことを思っているので、仕方ないのでしょうが。


「ケートさんだったら、“丸焼きにしてやるにゃー!”とか言ってそうっス」


「そうですね……」


「セツナさんは、“柔らかすぎてつまんない”とか言いそうっス……」


 ナインの言葉に、ふと脳内でタコを丸焼きにするケートと、なます斬りするセツナを思い浮かべてしまい、不思議と頭痛がしてくる。

 まったく、これだからあの二人は……。


「せめて、帰ってくるまでは、平穏に過ごしたいものですね」


「そうっスねぇ……」


□□


「へくちっ」


「へくしょい!」


 私とケートは二人揃って小さくくしゃみをする。

 いや、ケートのは小さくなかった気がするけども。


「ふぃー。誰か噂でもしてんのかにゃー」


「いや、ただ単に身体が冷えたからじゃない? ウォータースライダーよろしく、ポーンされたわけだし」


「それもそうかもにゃー」


 鼻をこすりつつ見上げれば、遥か高く伸びる断崖絶壁。

 そう、私達は今……ゲートをくぐって最初に出た、この島のスタート地点に戻ってきていたのだった!

 つまり、落とし穴で落ちる→途中からウォータースライダー→ポーンと吐き出される→ギリギリで落下回避→今に至る……だ!


「まーじ死ぬかと思ったにゃー」


「だねー。あの修行僧ゴリラ絶対ぶん殴る」


「こわ。でもその前に、あの問いかけをどうにかしないとにゃー」


「だねー」


 “汝らは何を越えて此処に来た”かー。

 どうみても崖なんだけど、なんて答えればいいのかなー?


-----


 名前:セツナ

 所持金:99,920リブラ


 武器:居合刀『紫煙』

 防具:戦装束『無鎧』改


 テイム(使用不可):ブラックスコーピオン(幼体)『ハクヤ』(所持スキル:【切断Lv.3】【刺突Lv.3】【神速Lv.2】【蠍蟲拳(かっちゅうけん)Lv.3】)


 装着スキル:【ゴリラ語理解】【ゴリラの枷(現在7枠)】【八極拳Lv.5】【蹴撃Lv.11】


 未装着スキル:【見切りLv.4】【抜刀術Lv.15】【幻燈蝶Lv.6】【カウンターLv.10】【蝶舞一刀Lv.11】【秘刃Lv.2】【符術Lv.3】



 名前:ケート


 装着スキル:【ゴリラ語理解】【ゴリラの枷(現在7枠)】【火魔法】【土魔法】

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