発明品2 城内一斉身体検査 完結編
さて、一通りの調査が終わったならば、次は論考である。
工房にこもり、何百枚ものカードを床に並べ直し、見直し、唸っていた。
「重い物を持ち上げる。いえ、捻る運動かしらね。運動プログラムをそれぞれに作って経過観察かしら。
アリス、ベティー、キャサリン辺りに…
それから、食生活や生活習慣との関連も…これはドリス、エリス、フランシスに割り振って…」
「完全に人体実験するつもりですね」
「今の所役に立つ事ですけど、それ以上は気を付けてお止めしないと」
一人盛り上がる厨二王女の後ろでお付き達の心配は絶えない。
「でもこれで服の発注が早くなるのでは?いちいち服屋を呼び出して採寸からするのではなく、このカードの通り発注するだけですし」
「あぁなるほど。よっぽどじゃなきゃ変わらないでしょうからね。いえ、年と共に激変する人もいるから…それは測り直しですか。定期的にやるなら経過観察も含めて資料になりますか」
お付きが資料の有効活用を色々考えている所で、姫様がなにやら大きな声を出す。
「ん?んんん?これは新発見かも?」
「「「「なんです? なんですか? 今度も役に立つ発見ですか?」」」」
「誰か数学の高等家庭教師を呼んで!急ぐのよ!
それから、あの娘を呼んで、男爵の紹介で来た胸の大きい侍女よ」
「数学の先生はともかく、あの侍女は…」
あの侍女には何か怪しさを感じている取り巻きは難色を示した。
「誰でもいいから、数学の特異な女官か侍女よ。手の空いているを呼ん来て。
文官は男しかいないからいいわ」
「「「 はい。今すぐに 」」」
ボディーガード・イ・ロ・ハが駆けだそうとすると、追加の指示が飛ぶ。
「あぁ。女騎士にそんなのいないって知ってるからいいわ」
「「「 おい! 」」」
思わずコケそうになりながらツッコむ。
★
「男爵からの紹介状に書いてあったけど、事務仕事もできるんでしょ?四則演算は得意?」
「いいえ、大した事はできません」
「謙遜しなくてもいいわ。四則演算って単語が分かるくらいなら充分よ。あっちは数学の高等家庭教師よ。彼女の助手について。先生、この娘お願い」
「…………(しまった!)」
「じゃあ皆、作業内容の説明よ。まず、男女別で身長体重の相関関係を調べるの。具体的な数値でね。身長別と体重別、それぞれ3~4グループに分けて典型例を作るのよ。それと、この資料とこの資料はグラフにして。全カードの数値を表にして。身長順、体重順、B順、W順、H順それぞれ作って…それから……」
王城中から集められた数学な得意な女たちにテキパキと支持を出す。それを数学の先生が具体的にどうするかを指導する。
「(表計算ソフトがあれば一発なのに)あぁそうだ。ファンタジーな手法で…」
そう言うと姫は魔法を使って、それぞれのカードの数値を空中で輪郭だけの絵にしていく。その透明の板を並べていくと、平均値は一目瞭然となる。
「「「「 おぉ~! 」」」」
「これを具体的な数値に直していって」
「透明な板に輪郭線。重ねて見ると平均が解りやすいです。この辺とこの辺で分けてみましょうか」
「それから、これは理想像じゃないからね。それ以前の現実を知るのが目的だから」
「「「「「 はい 」」」」」
★
こうして、服を作る時一人ひとり測るのではなく、予め大量に用意した数種類…S・M・L・LL…の中から合った物を選ぶ事となった。
いくつか服屋の反対と軋轢もあったが、作る側は、分業体制で同じ事を繰り返す事は早く作れる(流れ作業の導入)。新人の教育にも良い。買う側あh発注してから早い。大量生産なので安い。など、両方にメリットも多く、あっと言う間にこちらが主流となった。
この手法は、他の貴族、商人、軍や騎士など、似た服・同じ服を大量に必要とする所に次々と取り入れられていった。
この世界に 『制服』 の概念が誕生した瞬間であった。
☆
「この前、騎士団の閲兵をしていたわね。π乙χд五か年計画。本格的に始動し出したか?いったいどのような軍事計画なのだ?侍女の仕事をしていて見れなかったけど、この私に資料を見せて手伝えだと?なんたる幸運!そして、何たる迂闊な王女!この件は必ず本国に報告してやる」
何やら勘違いしたまんまの人間も紛れていた。
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「おお!そらワシや」 でした




