ずっと好きだったんだよ。
最終話になります。
陽太と柚葉の甘酸っぱいやりとりを堪能してください!
日が落ちると校庭のあちらこちらにカップルが座り始めた。
この学校のジンクス
【後夜祭の花火を一緒に見た人と結ばれる】
陽太は「柚葉、どこ座る?それにしても、けっこうカップルっているのな」ちょっと驚いたように言った。
「文化祭ってさ、その場の雰囲気でなんとなく、くっついちゃう人たち多いからね」と柚葉は辺りを見回して言った。
「わたしたちもそうなのかな…」
「え?なんか言った?」
柚葉は星空を見上げながら「べつに。なんでもない」
と呟くように言った。
「で、ホントどうする?よさげな所は座られてるし」
柚葉は陽太を見下ろして「ここにちっさい人いるから地べたはやめた方がいいね」ふざけて笑った。
「じゃあ、お前が俺を肩車すればいいだろ?」陽太はちょっとムキになって柚葉を見上げる。
「じゃ、してあげる」柚葉は陽太の前で屈んだ。
陽太は慌てて「バカ。冗談だよ。そんなことされたら学校中の噂になるだろ。ただでさえ、でこぼこコンビなんて言われてるんだからな」
柚葉は立ち上がると少し屈んで陽太と同じ目線で見つめた。
「もうコンビじゃなくて、でこぼこカップルだけとね」少し顔が赤い。
陽太も赤くなって「ま、まぁ。そうだよな。もう友達じゃないもんな」
「体育館の裏の階段からなら綺麗に見えるかも?迫力には欠けるけどね」そういうと柚葉は陽太の手を取って歩き始めた。
体育館裏に着いた。
秋も近く鈴虫が静かに鳴いている。
陽太は「うーん。たしかによく見えそうだけど、真下から見上げる花火には勝てないよなぁ」階段を登ったり降りたりして確かめている。
柚葉は階段に腰かけて「わたしは静かで逆にいいかも」と伸びをした。
『19時より後夜祭花火大会を開始します』
「いよいよか」陽太も柚葉の隣に腰かけた。
柚葉の体温を感じる。そして柚葉の甘い香りも。
陽太は自分の胸の高鳴りが柚葉にも聞こえるんじゃないかと思うほどドキドキし始めた。
柚葉もまた隣に腰かけた陽太の体温を感じていた。
ちょっと近い…嬉しいけど、ドキドキするじゃん。
わたしの心臓の音、聞かれたらどうしよう。そう思えば思うほど柚葉の心臓は高鳴った。
花火が上がった。夜空に赤い花が咲く。
次々と花火があがる度に柚葉の顔が花火色に染められている。
陽太は花火よりも柚葉の横顔に見とれていた。
柚葉も陽太を見ると目が合ってしまった。
お互いにすぐに目を反らして再び花火を見上げた。
陽太は花火を見ながら柚葉に目を合わさずに言った。
「俺さ、ずっと柚葉のこと好きだったんだ。友達みたいに仲良くてもさ、身長が俺の方がずっと低いだろ?柚葉の眼中になんかないと思ってた。きっと身長を言い訳にして柚葉のこと考えないようにしてたのかもな」
柚葉の顔がまた花火色に染まる。
「わたしも同じかも。ずっと陽太のこと好きだった。美鈴と一緒にいる陽太を見るといつも胸がチクチクした。だけどデカイわたしには陽太に釣り合わないって考えてた。わたしも陽太と一緒。身長を言い訳にして考えないようにしてた」
一呼吸おいて柚葉がゆっくり口を開いた。
「こうやって陽太と花火を見られてよかった。ずっと憧れてた。この花火を見るのは陽太しかいないって」
二人は立ち上がった。
時々花火の色で暗い体育館裏が明るくなる。
柚葉は腰を屈めて陽太にキスをしようとした。
陽太は一段、階段を登った。
柚葉と同じ目線になる。柚葉は再び目を閉じた。
陽太も目を閉じて、触れたか触れてないか分からないほどの優しいキスをした。
二人、目を開けるとお互いに赤面した。
「陽太、背が伸びたと思ったら階段のぼってんじゃん」柚葉は気まずさを吹き飛ばすように笑った。
陽太も「デカイ女に合わせるにはこれしかないだろ?」からかうように笑った。
「あ~。またデカイって言った!陽太がちっさいだけだよ!」
いつものやり取りに二人は目を合わせて笑い出した。
笑い終えると陽太は真剣な顔つきに戻り
「ずっとこのままでいたいな。卒業しても、大人になっても…柚葉さえ傍にいてくれれば…」
柚葉は微笑んで
「ずっと一緒だよ。どんなに時が経っても。だから花火一緒にみたんでしょ?」
この学校のジンクス
【後夜祭の花火を一緒に見た人と結ばれる】
きっと嘘じゃない。
柚葉は花火を見上げながら小さな声で呟いた。
完
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