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あなたに全てを捧げてきたけれど…これからは自分の為に生きます  作者: Karamimi


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第43話:久しぶりの自由な時間

「サリー、おはよう。さあ、朝食にしよう。今日も君の好きな料理を準備したから、沢山食べて」


 朝、いつもの様にルーカス様が私の部屋にやって来た。意識を取り戻して、早3ヶ月。すっかり体力も回復し、もう日常生活も普通に送れるくらい、元気になった。


 とはいえ、魔力はまだ完全に回復していないらしい。2人もの人間に魔力を提供したことで、もしかすると私の魔力が完全に戻る事はないかもしれないと言われている。


 ただ、普通に生活をしていく分には、全く問題ないらしいのだが、なぜか未だにルーカス様が、甲斐甲斐しくお世話をしてくれるのだ。


 よほど私に、恩を感じているのだろう。だが、そこまでしてもらうと、逆に申し訳なくなってくる。そろそろ彼を、解放してあげないと。


「ルーカス様、おはようございます。私はもうすっかり元気になりましたので、食堂に参りますわ。お医者様からも、ある程度は動いた方がよいと言われておりますので」


「いいや!君は異例とも言われている2人の人間に、魔力を提供したのだよ。それに魔力も完全に戻っていない。万が一無理をして倒れたら大変だ。とにかくしばらくはここで…」


「おはよう、サリー。あら?ルーカスもここにいたのね。さあ、今日は食堂でご飯を食べましょう。いつまでも部屋に閉じこもっていてはいけないわ。


 ルーカス、今日はローレン(叔父)と視察に行く予定なのでしょう。サリーに構っている暇はないわよ。早く準備をしないと」


「その件は叔父上に話しをして、別の日に…」


「ルーカス、ここにいたのか。ほら、早く準備をしてくれ。早く行かないと、夜までに帰って来られなくなるからな。さあ、行こう」


「叔父上、僕は…」


 有無も言わさず、叔父様がルーカス様を連れて行ってしまったのだ。


「ルーカスがいると、いつまでたっても普通の生活に戻れないでしょう。サリーの世話を焼いてくれるのは嬉しいのだけれど、ちょっと過保護なのよね。


 お医者様からも、ある程度運動する様にと言われているし。それで今日、連れ出してもらったの。元々ルーカスは、公爵家を継ぐ人間だし。そろそろ本格的に、領地経営などを教えていく事にしたのよ」


「そうだったのですね」


 確かにルーカス様は、少し心配性なところがある。起きている時はずっとルーカス様が傍にいて下さって、移動はいつも抱っこだったし…ただ、それだけ私の事を妹として大切に思ってくれているという事でいいのかしら?


 妹…


 何だかその言葉に、胸がチクリと痛んだ。何だろう、この痛みは…


「さあ、サリー。ベッドからおきて、食堂に行きましょう」


 叔母様と一緒に、食堂へと向かい、朝食を頂いた。食後は久しぶりに中庭に出た。自分の足で、ゆっくりと中庭を見て回る。


 あら?このお花、まだ私が見た頃はつぼみにもなっていなかったのに、もう咲いたのね。綺麗だわ。


 こうやって自分の足で見て回れる事は、幸せな事だ。いつもの場所でお茶とお菓子を楽しむ。ルーカス様と過ごす時間もいいが、たまにはこうやって1人の時間も悪くはない。


 中庭でゆっくり過ごしていると、あっという間に昼食の時間になってしまった。


「サリー、今日は午後からデザイナーが来るの。あなたがこの屋敷に来てから、一度もあなたの意見を取り入れたドレスを作った事がなかったでしょう?せっかくだから、サリー好みのドレスを作ろうと思っているのよ」


 ドレスか…正直私は、あまりドレスにこだわりがない。とはいえ、なんだか楽しそうだ。


「分かりましたわ。楽しみにしておりますね」


 叔母様にそう伝え、昼食を頂いた。食後はデザイナーが来てくれた。


「まあ、グラッサム公爵夫人にそっくりで、お綺麗なお嬢様ですね。本当によく似ていらっしゃるわ」


「双子の姉の娘なの。この子に似合う素敵なドレスを作りたくてね」


「かしこまりました、それでサリー様は、どんなデザインが好みですか?」


 優しそうなマダムが、声をかけてきた。好みのデザインか…そういえば少し前、ミレンズ王国ではスカートの部分がふんわりとしたデザインが流行っていた。あのドレス、とても可愛かったのよね。


「あの…もし可能でしたら、スカートの部分がふんわりと膨らんだ感じのドレスがいいかと。少し前に、我が国で流行っておりまして」


「スカートの部分をふんわりですか?こんな感じでしょうか?」


 マダムがすかさずデザインをする。


「もう少し膨らんでいたような気がします」


「それですと、こんな感じですか?」


 マダムがさらにドレスに膨らみを持たせた。


「はい、こんな感じですわ」


「ミレンズ王国では、斬新なドレスが流行っていたのね。でも、素敵ね。マダム、こんな感じのドレスを作ってもらえるかしら?」


「承知いたしました。このドレスとですと、ここに刺繍やちょっとしたリボンを飾ると素敵ですね。なんだかいいアイデアがうかんで参りましたわ!」


 何だか嬉しそうなマダムが、色々とデッサンし始めた。私もだんだん楽しくなってきた。

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