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正義の条件  作者: ありと@
第2章『白い薔薇の少女』
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2.ルミ再び

――夜



 瀬雅達が日中授業を受けている校舎から、10分程歩いたあたりに男子寮はある。ちなみに女子寮は校舎を挟んで反対側だ。

 男子寮3階の角部屋、そこで米村瀬雅は生活している。



『はぁ!?デートじゃんそれ。』


「いや、そういうやつでは……」



 生徒手帳に搭載されている学生同士の通信機能、これを用いて瀬雅は電話口の相手、金堂鐸と先ほどの話をしていた。



『なんだそれ羨ましい!ゴールデンウイークに女の子とスーパーとかタイムセールとか行くっていうんだろ!?』


「テメーそれしかねーのか!」



 何故か喧嘩腰になっているが、瀬雅はつまり魅甘とでかけるに当たって鐸に助言を求めようと電話して数秒で後悔しているのであった。そんな瀬雅をひとしきりからかった後、鐸は真面目なアドバイスを送ることにした。



『まぁ、折角電車があるんだ。東区でウインドウショッピングでもしてから西区にいって気軽に遊んで来いよ。』


「西……西区か。」



 大和町西区は映画館や温泉、ゲームセンターなどの娯楽施設と居住地区が混在するブロックである。食品を中心に様々な店がある東区と合わせれば大抵のものが揃うだろう。

 とはいえ、対極に位置する両区は移動時間にして1時間程かかるため、半日のプランとしては実は全然現実的ではないのだが、女の子とでかけたことのない両名にとっては最善のアイデアのように思えた。



「金堂、お前って運動音痴だしスーパー大好き変態野郎だしギャグもダダ滑りだけど、こういう時頼りになるな……ありがとう。」

『いや全然褒めてないだろそれ!』

「おやすみ」

『いや「おやすみ」じゃないよ!オイ、セガ……』



 いいことを聞いたと電話をさっさと切った瀬雅は早速明日西区へ下見に行こうと決めて床につくのであった。



――――――――――――――――――――――


――大和町西区



「つってもこりゃちょっと違うんじゃねーか?」


 瀬雅は昼下がり、西区の下見にやってきていた。今日は連休の初日、明日は魅甘と遊びに行く日である。めぼしい場所はないかきょろきょろしながら駅から離れている瀬雅であったが。




 西区は上述の通りゲームセンターやパチンコ店、といった娯楽施設が集中している。したがって特有の、他のブロックとは違う層が集まりやすくなっている。



 はっきり言って治安が悪い。




「こりゃ麦町が来ていい雰囲気じゃねーぞ。」



 昼間から色んなところに穴をあけている柄の悪い男が副流煙を撒き散らしている。特にゲームセンター周辺などはひどい。



 駅前であればもっとライトな雰囲気、温泉や健康ランドもあるのだが


「おじいちゃんみたいだな」


 求めるお出かけとイメージが違ったようなので瀬雅は探索しているわけだ。ちなみに、1人ということで特に気取らずラフな服装で来ている彼自身は、強面と相まって治安の悪い西区に馴染んでいるというのは秘密である。



「うーん……。道に迷った。」



 瀬雅の強面と、戦闘技術を本能で察知しているのか、不良たちに絡まれることはない。瀬雅はそれをラッキー程度にしか思っていないが。兎に角、いつの間にか迷っていた彼は人気のない路地裏に入って行ってしまう。



「ん?」


 ふとした時、瀬雅の視界の端に気になるものが目に留まった。路地裏の暗い道に何か(・・)がいるように見えたのだ。



「なんだぁ?」



 建物同士の隙間、狭い道を通っていくとそこにはあり得ない者があった。



「これは、怪人の……死体?」



 そこにあったのは、ひまわりのように大きなタンポポに足が生えた怪人がこと切れている姿であった。



「一体誰が……いや、その前にあり得るはずがない、こんなこと!」



 瀬雅は学園に聞いてみようと思い当たって懐をまさぐるが、いつも端末を入れている制服ではないことに気づく。


 瀬雅の動揺、それは最もなものだった。怪人は命を散らすとき、魔力を霧散させて消える。死体など残るはずがないのだ。



「あ~、寮に置いてきちまった。」


 どうにも引っかかる瀬雅、辺りには電話なんてなさそうだと思った瀬雅は、あることを思い出した。



「そうだ。西区に詳しそうなヤツがいるじゃんか。」



 道に迷った瀬雅は、とりあえずその辺の不良を捕まえて道を聞こうとするのだった。



―――――――――――――――――――――――


――西区留置場



 他のブロックより治安が悪くなりやすい西区には、この留置場をはじめ、犯罪者を拘束しておくための施設もある。屋敷のような建物が有刺鉄線つきの高い柵に四方を覆われている様子を見た瀬雅は「ますます麦町連れてこれないな」と改めて思い、映画なら東区のショッピングモールとかでも見れるだろうと、雑な提案をした鐸に勝手に切れていた。



「こ、ここがその場所です。」


「おーありがとう佐藤君!」

「いや、田中です……」


 瀬雅は路地裏で捕まえた独特な髪型の男にお礼を言って見送った。男は100年以上前に流行ったリーゼントという髪型をして仲間と駄弁っていたところ瀬雅に道を聞かれ、これに突っかかってしまった。



 "話し合い"の結果、道を教えるどころか案内してくれたのは親切で、瀬雅は人は見かけによらないな。と思った次第である。


 男のリーゼントが変な方向に曲がっていたり、服が何故か破けたり汚れているのはきっと気のせいだろう。



 さて、この留置場であるが、表向きには軽犯罪者を捕らえておくところ、ヒーロー関係者にしか知られていないもう一つの顔を持っている。




「面会希望でっす。」


「お、君はこないだの。そこに手を翳してくれ。」



 入口に立っていたゴツイ警備員さんがフレンドリーに言うと、改札口のような造りのゲートの前で手を翳した。



『天野学園2-C 米村瀬雅。特例により通行を許可します。』



 ゲートが開き、警備員に会釈すると|地下行き«・・・・»のエレベーターに入っていった。静脈認証と指紋認証を混ぜたシステムは、古典的ながら偽装の心配がほとんどなく信頼できる。


 通常、機密性の高さから天野学園の学生に出入りは許されないが、確保した本人(・・・・・・)である瀬雅と魅甘は出入りを許されていた。




――刑務所然としている地上階とは打って変わって、地下の施設はビジネスホテルのような空間が広がっていた。壁や天井がやたらと白い以外は1泊で中々しそうなホテルそのものだ。



「うえ、、、、、アイツ俺よりいいとこ住んでんのかよ……」


 悔しそうな瀬雅は、地下にいた軍服の男の案内で廊下を進む。


「ここだ。」


 案内された扉に書かれた文字


『獣族上位種 ルミ・ティイケリ』



 そう、ここは捉えられた、比較的協力的な怪人を軟禁しておく施設でもあるのだ。瀬雅は数回のノックの後、中から鈴のように美しい声で了承されて戸を開けた。



「うわ、ぜーたく。」



 整った家具、質のいい絨毯、綿菓子のような羽毛布団。そして、窓際の方に置かれたアンティークの机と椅子。そこに銀髪の少女がいた。



「来てくれたのか瀬雅、歓迎するぞ。」



 以前会ったときのような自嘲や怒りは微塵も見られない、真っ白な肌に嬉しそうに碧眼を細めて腰掛ける彼女に瀬雅は思わず見とれていた。彼女は特に手錠等をされている訳でもないが、細く長い首についた装置が彼女の自由を制約しているのだと一目でわかった。



「何か聞きたいことでもできたか?」



 座ったまま小首をかしげるルミ、絹のような長髪が動き合わせて揺れた。戦っていたときとは打って変わって艶やかになったルミを前にして、瀬雅は挨拶もせずに要件を切り出していた。







「女の子と出かけるときってどんな服がいいんだ?」


「……ふぁっしょんざっしというのを読むがいい。」


 

早すぎる再登場。


ここまで読んでいただきありがとうございます!

次話投稿は明日15時です!


誤字脱字等ありましたらご指摘ください。

ブクマ等よろしくお願いいたします(^^♪

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