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Elevator_Girl  作者: 深町珠
12/66

バス



胸の奥に、光が宿っているかのようだ....。




僕は、軽い足取りで地下道を下り、国道の向かいにある

丘の上キャンパス行きの直通バス乗り場に向かった。


時間がまだ早いせいか、バス乗り場にいるのは1年生ばかりだ。

1年生は、教養過程の講義があるのでこんな時間から出なくてはならない。



なぜ、3年の僕がこんな時間に出るのか?ちょっと、大学の図書館で探し物があったからだ。




「柳先輩。」


バスを待っていた列の中ほどから、可愛らしい声がして僕ははっ、とする。


この声は.....。



そう、1年の夏名ちゃん。軽音楽サークルに入ってきた子だったっけな。


小柄でよく弾む声、丸顔で色白。よく笑う可愛らしい子で

サークルでとても人気の子だった。文系らしく

いつも、何か文庫本を持っている子だった。




「ああ、カナちゃんおはよ。」




「おはようございます(ッ)」、と、(ッ)が、入るような感じの喋り方が独特で

なーんとなくアニメキャラっぽいところが、1年の男子学生の間で人気だった。

特に、ご本人がアニメキャラを意識してる訳ではないのだけれども

これは世代、と言うか...子供の頃にそういうアニメを見ていたから

そういう刷り込みがあるのだろうか、とも思う。


誰にでも愛らしく振舞う子なので、皆に人気があった。

僕も、この子と話している時には「可愛いな」と思う。



そういうものだと思う。

生態学の本を見たり、文化人類学や比較行動学の本を斜め読みすると

どうやら、男の僕から見る女の子の可愛らしさ、と言うのは

若年の個体に対する庇護の性質から来る物だろう、と思う。

喩えて言うなら、赤ちゃんを可愛いと思うようにプログラムされているのと同じだ。

年を重ねた女の人が、何時までも若々しくありたいと願うのも道理だ。



だから、大抵の女の子にはそう思うように出来ているのだろう.....。



そこまで考えて、はた、と思う。

僕にとって、昨日のリョーコさんは何なのだろう?どういう存在で惹かれるのだろうか、と。



解らなくなり、ふと考えこむ。


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