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エピローグ
『俳優事務所社長、
黒崎隆二さん殺害事件で逮捕された岡部達也容疑者について――』
ニュースの音声が、
静かな部屋に流れていた。
『警察は、
黒崎隆二さん殺害事件以降、
岡部容疑者の行方を追っていたと見られます』
『また、
芸能事務所マネージャー・久保田健司さん殺害事件との関連についても、
慎重に捜査を進めています』
『なお、
公開予定だった映画
『監察医事件ファイル』は、
公開中止が発表されました』
画面には、
何度も同じ映像が流れている。
凛はテレビを消した。
沈黙が部屋に残る。
――
数日後。
凛は芸能界引退を発表した。
理由は語らなかった。
ネットには、
憶測と誹謗中傷が溢れていた。
六年前の動画。
生配信の切り抜き。
橘未央の名前。
全部、
消えなかった。
――
墓地は静かだった。
凛は、
橘未央の墓の前に立っていた。
花を置く。
しばらく、
何も言えなかった。
風が吹く。
長い髪が揺れた。
「……遅くなって、
ごめん」
小さな声だった。
返事はなかった。
凛はゆっくり立ち上がる。
そのまま、
振り返らず歩き出した。
もう、
呼び止める声はなかった。




