混沌フィッシング
思わぬところで遭遇することとなった異質な存在であるカオスメサイアだが、その名前に関してウルペクラには聞き覚えがあった。
少し前に香織の店で雑談をした際に、その名前が出てきた覚えがある。
「……ああ、話だけは聞いてるっす。エヴォルカイザーさんと同じ世界の方っすよね?」
「エヴォルカイザーさんって……ああ、あの白くておっきいアイアンゴーレムみたいな方にゃ!」
エヴォルカイザーがこの世界に来た際に快人に連れられてあちこちを回っており、アイシスの居城も訪れていたので死王配下とも面識があるためアルシャもエヴォルカイザーについては知っている。
「ああ、同じ世界の出身でマスターに仕えているところも同じだ。厳密には違うが、同種族のようなものと認識してもらって問題ない」
「了解っす。ご存じみたいっすけど、アタシはウルペクラ……死王アイシス様の配下で、いちおう幹部っす」
「私はアルシャにゃ、よろしくお願いしますにゃ!」
快人にエヴォルカイザーという共通の知り合いも存在するため、スムーズに自己紹介することができた。そして、互いの自己紹介が一段落したところで、ウルペクラがカオスメサイアに尋ねる。
「……それで、カオスメサイアさんはこんなところでなにしてたんすか?」
「うん? ああ……ここで会ったのもなにかの縁だな。では、説明しよう。既に知っての通り、我は異世界からこの世界に移住してきた存在であり、この世界の品々は我にとって目新しいものが多いのも必然ではある。とりわけ、我はこの世界で食した鰆の西京焼きこそ最高の料理だと考えている」
「確かに最強焼きは美味しいにゃ。最強って言うだけあるにゃ」
「その最強じゃなくて、異世界の西京味噌ってのが名前の由来っすよ」
「そうなのにゃ!? し、知らなかったにゃ……」
ここでなにをしていたかという質問に対して、唐突に鰆の西京焼きに関して語り始めたカオスメサイアに、なんとも言えない表情を浮かべつつ、とりあえずは話を聞くことにしたウルペクラとアルシャ。
「しかし、やはり元は敵同士ということもあって相容れぬのか、カイザーは鮭の塩焼きこそ正道であり最高であると譲らず、我他の意見は度々対立してきた。無論、戦闘はマスターの迷惑となるため、あくまで議論で対立する形ではある」
「たしかに……鮭の塩焼きも美味しいにゃ」
「ふむ、参考までに貴公らの意見も聞いてみたい」
「にゃ!? 私たちにゃ? ええっと……」
そして唐突に求められる、鰆の西京焼き派か鮭の塩焼き派かの意見……しかも聞いてきているのは、西京焼きを強く推すカオスメサイアであり、尋ねられたアルシャは戸惑ったような表情で隣のウルペクラを見る。
「……う、ウル先輩はどう思うにゃ?」
「アタシはブリの照り焼きが好きっす」
「……ここで、第三の選択肢を出すとか有りなのかにゃ? じゃあ、私もホタテのバター醤油焼きがいいにゃ……」
鰆の西京焼きか鮭の塩焼きか……どっちと答えても面倒なことになりそうだと判断したウルペクラは別の料理を挙げ、それを聞いたアルシャも別……魚ですらない料理を挙げた。
「ふむ、好みは千差万別ということか……さて、話を戻すが、幾度か議論を交わすうちに、我もカイザーも共にまだまだ見識が浅いという結論に達した。それぞれが主張する料理を至高であると語るには、この世界の食に対する知識も経験も足りていない。そんな状態で、己の主張を押し通したところで、それが唯一絶対の正解とは言えぬだろうとな……」
「議題に関してはツッコミたい部分も多いっすけど、言いたいことは分かるっす。それで、その考えになった結果、どうなったんすか?」
「うむ。細かな経緯は省くが、最終的にならば互いに見識を広めるために、それぞれが好む西京焼きと塩焼きを、鰆と鮭ではない別の魚を使って作ってみて再び議論を行おうという結論になった」
ロボット二機が、好みの魚料理で議論し合っている光景は想像するだけで奇妙なものではあるが、異世界出身であるエヴォルカイザーやカオスメサイアが、この世界の食べ物に関する知識不足というのには納得できる部分もあるし、そこを解消しようと考えるのも理解できる。
「そして、調べた結果この川に生息する魚が、西京焼きに適していると判断し足を運んだ形だ」
「この川にゃ? ウル先輩、この川にはなにが居るのにゃ?」
「この川はたしか……ああ、エレガントフィッシュっすか……確かに、淡白で上品な味わいの白身魚っすし西京焼きには適してるかもしれねぇっすね。時期的にも今が旬っすし……」
アルシャの質問に答えつつ、ウルペクラはなんとも言えない微妙そうな表情でカオスメサイアの方を向いて口を開く。
「……え? つまりここに来た理由は……」
「うむ……釣りをして魚を調達にきた。最低四匹は確保したいところだ。我の分、マスターに献上する分、カイザーに食べさせる分、店主への礼として持っていく分だな」
「なるほどっす……異世界のロボットってのは、変なのしかいないんすかね?」
美味しい魚を釣りに来たと真顔で言う人型に姿を変えている異世界のロボットを見て、ウルペクラはなんとも言えない呆れたような表情で呟いた。
~ちょっと小ネタ~
【某ロボットシミュ風ステータス】
混沌機カオスメサイア
HP:666666
EN:666
運動性:550
装甲:6000
照準値:420
サイズ:M
地形適応:陸A空A海A宇S
移動:9
・特殊能力
【混沌機】
ターン終了時に全ステータスが10%ずつ上昇する(永続)。5マス以内に存在する相手の精神コマンド無効・バリア及び特殊装甲を無効。
毎ターンHPとENを50%回復、精神コマンド及び特殊攻撃の効果を受けない。
敵にエヴォルカイザーが存在する場合、この能力は無効化され、エヴォルカイザーの運動性+100、装甲値+1000、照準値+100(永続)
【カオスフィールド】
攻撃を受ける際、相手の精神コマンドを無効化してダメージ計算を行いダメージを1/5にした上で、5000までの全属性ダメージを無効化。
5マス以内にエヴォルカイザーが敵として存在する場合は、この能力は無効化され、エヴォルカイザーの全武装の攻撃力+1000(永続)。
【破滅の混沌】
毎ターン全ての敵ユニットの気力を-10、自身の気力+30。敵にエヴォルカイザーが存在する場合この能力は無効化され、エヴォルカイザーの気力+30
【無限機構】
毎ターンHPとENが10%回復
【次元跳躍】(気力130)
50%の確率で攻撃を完全回避、エヴォルカイザーの攻撃に対してはこの能力は発動しない。
【カオス・クライシス】(気力150)
気力の最大値が300になる。運動性+10、標準値+10、敵を撃墜した場合に再行動可能(1ターンに1度まで)、敵を撃墜するごとに気力+10
【カオス・インフィニティ】(気力200)
運動性+50、照準値+50、移動力+2、全ての武器にP属性付与、全武器がバリア貫通となりクリティカ率+30%、与ダメージ1.2倍、敵を撃破するごとに気力+30
【終焉の混沌】(気力300)
毎ターン全ステータスが50%上昇(永続)、HPとENを100%回復。自身以外の全ての精神コマンド、特殊能力を無効化。
※正面切って撃破する敵ではなく、エヴォルカイザーありきのギミックボスの側面が強い。HPを30%以下にするとイベントが発生し自動勝利となる。
※気力300に到達した時点で、自中心射程無限のMAP兵器が解禁されて、それを連発するモードに移行するので事実上のゲームオーバー。




