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むつら☆ぼし  作者: 灯台


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22/27

番外編・天魔創生エヴォルカイザー

いいよね、外伝だし……謎のロボで一話使っても……。


【外伝作品における閑話と番外編について】


閑話……死王陣営及びウルペクラに関わりがあるもの(死王配下の過去話等)


番外編……死王陣営及びウルペクラ及び今後の展開に対して特に関係がないもの



 始まりはひとつの流星からだった。隕石と思われていたそれは、非常に高度な技術によって作られたカプセルであり、中には作りかけの機体がとメッセージが記録されていた。

 彼方、外宇宙より来る破滅の混沌……星々を滅ぼし、世界を終焉に導く存在である混沌機カオスメサイア、その驚異的な情報がメッセージに記されていた。


 そしてこのカプセルにある機体は、カオスメサイアによって滅ぼされた高度な文明を持つ星が託した最後の希望であり、数多の星を渡りながら紡がれてきた希望のバトンリレーだった。

 最初にこのカプセルを受け取った星の者たちが機体の開発を進め、カオスメサイヤによって星を滅ぼされる前に次の星にメッセージと共に希望を託す。

 それが繰り返され、いくのもの星と数多の人たちの技術が集結した世界最後の希望……カオスメサイアに唯一対抗できる可能性のある自立型最終決戦兵器、天創機エヴォルカイザー。


 そのメッセージを受け取った人類は、国の垣根を越えて一致協力し……数多の星々を渡り、紡がれてきた希望は辺境の宇宙の星で完成することとなった。


 まるで、エヴォルカイザーの完成に呼応するかのように辺境宇宙に襲来したカオスメサイア。それを迎え撃つために人類最後の希望たるエヴォルカイザーは人々の期待を背に宇宙に飛び立ち、辺境の宇宙にて破滅の混沌と最後の希望が激突した。


 ……そして、希望は……混沌によって打ち砕かれた。


 カオスメサイアの圧倒的な力の前にエヴォルカイザーは敗れ、両者の激突によって出来た次元の裂け目に飲み込まれて消えていった。

 人類最後の希望は、あまりのもあっけなく宇宙より消え去ってしまったのだった。


 だが、まったくなんの成果も無かったかと言えばそうでもない。さすがのカオスメサイアもエヴォルカイザーとの戦いにおいてはかなりのエネルギーを消費したらしく、一時的にエネルギーチャージのための活動休止状態になった。

 紡がれてきた人類最後の希望が勝ち取った成果は、次の対策を講じるだけの余裕などないほんの僅かな機関の静寂だけであり、再びカオスメサイアが起動した際には人類は滅びを迎えるのが確定しているといってよかった。



****



 ところ変わって次元の狭間に飲み込まれたエヴォルカイザーだったが、自力で動くことすら叶わないほどに損傷したエヴォルカイザーは……別の世界に遊びに行った帰りに、妙な感覚がしたという理由で次元の狭間を訪れた特異点、宮間快人によって発見され、トリニィアにて快人の知り合いたちの協力を得て修復された。


 修復は完了している。次元間航行機能も有するエヴォルカイザーは、その気になればすぐにでも元の世界に戻ることはできた……だが、戻ったところでカオスメサイアに勝てるビジョンが見えなかった。

 己の力では破滅の混沌を退けることはできないのかと苦悩するエヴォルカイザーを、快人は様々な場所に連れて行って知り合いなどを紹介した。


 エヴォルカイザーにとっては初めてが多い体験であり、様々な人と言葉を交わし、多くのものを見て、万能物質変換機能を応用して食事なども行った。

 そして、エヴォルカイザーは快人にこう語った。


『……私は、なにも知らなかった。己が守るべき存在も、託された希望の意味も、この背に背負ったものの重さも、なにも知らないままで戦っていた。それでは、勝てるはずも無かった』


 エヴォルカイザーは快人に深くお礼の気持ちを伝え、己が生まれた世界に向かった。今度こそ世界を破滅の混沌から守り抜くために……。



****



 時をほぼ同じくして、カオスメサイアのエネルギーが完全に回復し、破滅の混沌は再び活動を開始した。もはや障害はなく、待つのは人類の滅びのみ……その、筈だった。

 突如時空を裂いて飛来する白き流星、それは一度は潰えた筈の希望……天創機エヴォルカイザー。異世界の住人に救われ、己の戦う意味を理解したエヴォルカイザーは、再びカオスメサイアと激突した。


 凄まじいとしか表現できないほどの激しい戦いの中……押されていたのは、カオスメサイアだった。一度目の戦いではエネルギーの消費こそ大きかったが、ほぼ無傷で圧倒したはずのエヴォルカイザーを相手に少しずつではあるが確実に押され、機体にダメージが蓄積していた。


『なぜだ……なぜ、一度は我に敗れた筈のお前が、これほどの力をっ!?』


 純粋な機体性能ではカオスメサイアの方が上のはずだった。だが戦いの天秤は確実にエヴォルカイザーの側に傾いている。

 まるで理解ができなかった。数値としての性能で上回っている筈なのに、数値ではないなにかによって己が追い詰められているという現実に、思わずカオスメサイアが叫んだ。


『……カオスメサイアよ。貴様は知らないだろう。貴様が滅ぼそうとしているもののことを……人々が生み出す輝きを、大地を撫でる風の感触を、透き通る空の蒼さを、他者を思い慈しむ人の心の温もりを……そして、焼き鮭定食の味を!!』

『くだらん! そんなも――え? 待って、焼き鮭定食? いま、焼き鮭定食って言った?』


 エヴォルカイザーも思いを込めて叫んだ。己が異世界で学んだものを、いまの己の背を押してくれている様々なものを……。


『貴様の知らぬそれらが、私の背を押す力となって、いま! 貴様を追い詰めているのだ!!』

『え? 我、焼き鮭定食に追い詰められてるの!?』

『さぁ、決戦の時だ! 覚悟しろ、カオスメサイア!』

『ちょっ、ちょっと待った! い、一旦落ち着こう……その、負けるにしても、焼き鮭定食が原因とかはその……嫌だから……一旦ちょっと……話し合いをしないか?』


 それはエヴォルカイザーの気迫がカオスメサイアを動かしたと表現すべきだろうか、強い思いに晒されたカオスメサイアは対話を望み……エヴォルカイザーもそれに応じた。

 その先両者がどのような会話を行ったのか、人類の持つ映像機器では遠い宇宙での会話まで聞き取ることはできなかったために不明だが、ほどなくしてエヴォルカイザーに導かれるようにカオスメサイアも次元の壁を越えて去っていった。


 まるで己の役割を終えたと言わんばかりに、カオスメサイアと共にいずれかへ消えたエヴォルカイザー……その行き先こそ分からないが、人々の心には破滅の混沌を退け世界を救ったその白い機体の名は、いつまでも残り続けていった。



****



 ところ変わってトリニィアにある宮間快人の家の庭には、エヴォルカイザーとカオスメサイアの姿があった。破滅の混沌として恐れられているカオスメサイアも、役割を終えたエヴォルカイザーも元の世界に戻る気は無く、快人の協力を得てこの世界に移住することを決め、いまは快人の家に住んでいた。


 そして、ある意味では和解という形で戦いを止めた破滅の混沌こそカオスメサイアは、現在……。


『おや? マスター、お出かけですか? お買い物に? よろしければ我が足になりましょうか……え? 目立つから遠慮しておく? ……畏まりました。あ、はい。今度のピクニックの際ですか、ええ、お任せください! 我がどこへでもお運びいたします! はい、それでは、いってらっしゃいませ!』


 ペコペコと非常に腰の低い様子で、買い物に向かう快人を見送っていた。そんな様子を見て、エヴォルカイザーが近付いてきて、カオスメサイアに声をかける。


『あの破滅の混沌が、マスターにはすっかり従順なものだな』

『……我は、この世界に来て気付いたことがある』

『うん?』

『……この世界には、というかマスターの周りには……我より強い存在が多すぎる』

『それはそう』


 エヴォルカイザーに連れられてこの世界に来て、快人を紹介され……快人の知り合いによって機体を修復してもらった際に、カオスメサイアはあることを悟った。

 それは……「あっ、これ叛意でも抱こうものなら秒でスクラップだ」という確信に近い予感であった。


 カオスメサイアは賢いロボットである。勝率0%の戦いに臨むはずもなく、早々に快人に尻尾を振る方向で方針を固め、すっかり従順になっていた。


『あと、我がマスターは、我よりよっぽど混沌であるからして、お仕えするのに異論もない』

『それもまぁ、たしかに……』

『しかし、先日マスターにお連れいただいた店で食した。鰆の西京焼き定食は素晴らしかった』

『ふむ、私としては焼き鮭定食の方が……いや、よそう。マスターに叱られる。どちらも素晴らしく、無理に優劣を付けるべきではないな』

『然り……さて、ピクニックの際にマスターをお運びする形態を考えておくことにしよう』

『それなら、私も協力しよう……音楽再生機能は欲しいところだな』

『……動画再生もできたほうが良いか?』


 かつてひとつの世界の命運をかけて激突したとは思えないほど穏やかに言葉を交わすエヴォルカイザーとカオスメサイア……実に平和な光景であった。


 強いて平和でない部分を上げるのであれば、数日前に突然ロボ二体を家に住ませることになったと紹介を受けたリリアの胃に強烈なダメージが入ったことだが、それはある意味いつも通りである。




~ちょっとキャラ紹介~

【天創機エヴォルカイザー】

【混沌機カオスメサイア】

別世界における、破滅の混沌と人類最後の希望。エヴォルカイザーが白でカオスメサイアが黒のSF感満載のロボットであり、次元航行機能も搭載しているため、自力で別世界への移動も可能。ただし世界間の移動にはかなりのエネルギーを消費する。


両機共に無限動力を搭載しており、基本的な運用範囲ではエネルギー切れを起こすことはないが、全力での戦闘などを長時間行った場合はその限りではなく、回復優先の活動休止モードに入ることもある。

活動休止状態中は常に次元障壁を展開しているので、通常の方法では攻撃不可能。


あらゆるものをエネルギーに変換する機能が付いており、食事なども行えるし、食事でエネルギー補充もできる。

サイズだけでなく形態なども割と自由に調整できるので、快人の足になる際には車を模した形態になったりもする。


人型になる事も可能で、エヴォルカイザーは高身長な女騎士風にカオスメサイアは地雷系幼女みたいになる。


エヴォルカイザーは破滅の混沌を退け、人類を守ることによって役目を終えたのか、お嬢様の胃は特に守ってくれなかった。

ついでに、カオスメサイアは思った「あれ? このマスター我より混沌って呼び名が相応しいのでは?」と……。

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― 新着の感想 ―
要するに野良犬拾って餌付けしたら次の日違う犬も連れてきたと… でその後自動車コースですか
更新お疲れ様です!最初はシリアスな雰囲気だったのに焼き鮭定食に吹いてしまったw 香織さんの所から影響がもろ入っててこれは香織さんや後のリリアさんの胃痛がヤバいなw 次も楽しみに待ってます!
カイト君の功績なんだろうけど大半の要素が香織さんの日本の定食ってのがジワる(笑) 個人的には焼き鮭定食派です
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