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アルカディアの子ども  作者: 梨香


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アイスクリーム屋とピザ屋も良いけど

 アイスクリーム屋は、とても繁盛した。


「ミルク味とベリー味があります。どちらも銅貨二十枚。ダブルだと、三十枚です」


 強気の値段設定だけど、学舎の友だちも、甘い物が好きなルシウス師匠も迷わずダブルを注文する。


 アイスクリームディッシャーの使い方は、木の家(アビエスビラ)の味見の時に練習済みだ。


 私とサリーがアイスクリームをコーンに乗せて渡す係。ヨシはお金を貰う係。


 ジミーは一番大変な、列を乱す森の人(エルフ)を並ばせる係。


 ルシウス師匠の弟子のガリウスは、アイスクリーム屋をするのを前から知っていたから余裕で並んでいた。


「もう! こんなに美味しいスイーツ、去年の夏も食べたかったわ」と何故か学舎を卒業したエレグレースに怒られた。


 ほぼアルカディアの森の人(エルフ)全員が来たけど、狩人の村から来た子ども達は、銅貨二十枚も持っていない。


『うちも、私の洗礼の為に銅貨三十枚をなんとか貯めたんだ』


 色々と恵まれたアルカディアと違う狩人の村を思うミクだったけど、メンター・マグスが五人分のアイスクリームを買ってくれた。


「子どもが食べないのに、大人が目の前で食べるのは良くないからな」


 狩人の村の子ども達も、初めてのアイスクリームを美味しそうに食べている。サリーとヨシもホッとした顔だ。


 氷を作ってくれたサリーには、銀貨四枚。これは、私もいつかできるようになりたいよ。


 ベリーを取ってきてくれたジミー、そしてアイスクリームを作るのを手伝ってくれたヨシに銀貨二枚ずつ渡す。


「こんなに良いのでしょうか?」とヨシが驚いている。


「だって、アイスクリーム屋を手伝ってくれたんだもの」


 ヨシは、受け取った銀貨を眺めてから、狩人の村から来た子ども達もずっと見ていた。


「狩人の村の森の人(エルフ)も、これからは狩りだけじゃない特産品を作らなければいけないよ」


 オリビィエ師匠が二個目のアイスクリームを欲しいと騒ぐ狩人達に「終わりだよ!」と言いに木の家(アビエスビラ)から出てきた。


 そして、考え込んでいるヨシの頭をぽんぽんと撫でながら話した。


 ここまでは、良い雰囲気だったのに「ピザ屋もやってくれ!」と、オリビィエ師匠にアイスクリーム屋は閉店だと言われた狩人たちが騒ぐ。


「夏休み、アイスクリーム屋とピザ屋で忙しくなりそうだな」


「えええっ、オリビィエ師匠! 私は、薬草採取とひまわりの花から油を絞ったり、石鹸もいっぱい作りたいです!」


 オリビィエ師匠は、笑って「急がなくて良いんだよ」と私の頭をぽんぽんと撫でる。


「私は、火食い鳥(カセウェアリー)のガラスコーティングでオルゴールを作るわ! マリエールと合作にしても良いと思うの」


 風の魔法だけでなく、光の魔法の治療も修業しているのに、サリーは凄いよ。


「私は薬草採取とミクを手伝って石鹸をつくる」


 ヨシと私は、オリビィエ師匠の弟子だから、同じ目標だ。石鹸は、木の家(アビエスビラ)でも使うし、人間の町でも使って欲しいから、増産しなきゃね!


 ジミーは? と皆が見る。


「狩りと放牧」とやはり単語だけで答えるジミーだ。


「山の牧場には、家畜を食べようとワイバーンもやってくる。ヴェルデの指示に従うのだよ」


 私なら、ワイバーンが来そうだと言われたら、嫌だけど……ジミーは目を輝かせている。


 狩人って、本当に狩りが好きなんだね!



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