石鹸をつくりながら、西の商隊を待つ
今日は、油の取れるトレントとよく遭遇する日みたいだ。
もしかすると、アリエル師匠達が樹糖が取れるトレントを盛大に狩っているから、逃げ出したのかもね。
「私のマジックバッグはいっぱいです!」
前のトレントを討伐して疲れていたので、オリビィエ師匠がサッサと討伐してくれた。
「もう少し大きなマジックバッグにした方が良さそうだ」と簡単に言うけど、私かサリーにあげたマジックバッグの数倍は入る。
それと、これは私が初めてバッグに縫ったんだけど、やはり縫う時も魔力を籠める必要があるんだよね。
オリビィエ師匠は、魔法陣を描くのは得意だけど、バッグを縫うのが苦手なので、買ったバッグで試したけど、爆発して破れたそうだ。
サリーにあげたマジックバッグは、私が縫って、魔法陣も描いたんだけど、まだまだ魔法陣に魔力を注ぐ描き方がマスターできていないんだ。これをマスターできたら、人間の町で暮らせる資金になる。
三人で、二本目のトレントをなんとか収納して、アルカディアに戻る。
枝を切ったりするのは、ヨシも手伝ってくれる。体力も少しついてきたからね。
「そろそろ、ヨシは木の家に戻って休むんだよ」
オリビィエ師匠は、常にヨシが疲れ過ぎないように注意している。
「まだ疲れていません!」
ヨシは真面目だからね! こう言う時は、用事を頼む。
「だったら、薬草や香りの良いハーブを乾かしておいて」
籠に入れて渡すと、ヨシは木の家に帰った。
「アリエル達が帰って来る前に、一本分は絞っておこう!」
人数が増えて、植物性の石鹸は品薄状態だ。売る分はない感じだ。
「今日のは、木の家用だから、香りは付けなくても良いだろう」
水車小屋で油を搾る。少しスーッとした香りだ。
搾りかすのトレントは、油気が残っているから、よく燃える。
枝も大きいのは袋に入れて搾る。これも残りは、薪にするよ!
これを石鹸にするのは、明日だね! だって、アリエル師匠達が戻ってきた。
「今日は、トレント三本とビッグボアを討伐したわ!」
ビッグボアは、ヨナ、ジミー、サリーで討伐したそうだ。
「油を搾るのは明日にして、この子達に解体を教えるわ!」
もうかなり疲れていそうなサリー、同情しちゃうけど、水車が使えるのは嬉しい。
「二本目も油を絞っておこう! こちらは西の商隊に売っても良いな」
いつ商隊が来るか分からないから、本当はこちらから作るべきなのかも。
油を搾るのは師匠に任せて、香りの良いハーブを干すのを手伝いに戻る。
「ああ、もう洗って干してくれているのね!」
ヨシは私が帰ってきても、一緒に作業を続ける。
「後は、明日にするから、居間で休んでいて」と言っても、料理を手伝いたいと言うんだ。
本当は、かなり汚れて帰ってきたアリエル師匠組、その上解体したら臭くなりそうだから、お風呂を用意するべきなんだよね。
「お風呂は……ナイス! ジミーがお水を汲んでいるじゃん! ヨナ、沸かしてくれる?」
「うん! ポンプで水を汲むのは大変だけど、お湯を沸かすのはできるよ」
「疲れない程度にするんだよ!」と言い聞かせて、料理をする。
きっと、皆、腹ペコだからマジックボックスに残っている竜の筋肉のシチュー、それに付けて食べるパン、あっさりとしたきゅうりのサラダ!
マジックボックスって、超便利! オリビィエ師匠は、バッグを縫うのが苦手なら、ボックスにしたら良いのでは? あれっ、これも魔力が籠っていないと駄目なのかな?
木の家にあるボックスは、アルカディアの森の人が作った物だ。作っている時に魔力を籠めているのかな?
今度、ヘプトスに聞いてみよう! 狩人には、マジックバッグの方が便利だけど、家で使うならマジックボックスの方が便利なんだよね。
シチューの良い香りがし出した頃、じゃがいもを何個も入れた。ジミーとか、本当によく食べるから、かさまししなきゃ駄目なんだ。
「解体、終わったよ!」と賑やかに戻ってきた。
「お風呂、沸いているよ!」とヨシがドヤ顔で皆に言う。出来ることが増えて嬉しそう。
「ジミーが水を汲んでくれていたからだよ! ありがとう!」
それに、ちゃんと分かっているのは賢いからだよね。
オリビィエ師匠も二本目の油を絞って帰っきて、ヨシの頭をポンポンしていた。
「ビッグボアの脂を貰っても良い?」
「うん、勿論だよ! 皮と牙は売るつもりだけど、肉はミクに料理して欲しい!」
どうやら、今回はヨナが仕留めたみたい。ジミーは、トレント狩で疲れていたのかもね。
師匠達がお風呂に入ってからは、男子と女子に分かれてお風呂タイムだ。
「ええっ、木の家の石鹸にはハーブを混ぜないの? まぁ、このままでもスーッとした良い香りだけど……」
サリーは、試しに作ったハーブ入りの石鹸がお気に入りだ。
「ハーブを採るの協力するよ!」とヨナもそちらに一票を入れる。
「明日は、植物製の石鹸を作る予定だけど、一本分だけにするよ。そちらにハーブを入れておくから、後はどれぐらいハーブを集められるかだね!」
「やったね! 明日も森に行ける!」
「ヨナ、勉強もしなきゃ駄目だし、光の魔法ももうちょっと頑張らなきゃね!」
サリーが魔法関係は一番優等生だ。勉強面は、私だったけどヨシに追いつかれている。抜かされそうな予感!
「樹糖は、冬場のキラービーの餌にする分も必要なのよ。餌が少なかったら死んじゃうんだって……」
ああ、それで樹糖を集めていたんだね。
「樹糖も搾ってから、大きな鍋で煮詰めるのよ! だから、明日は二班に別れると思うわ。ハーブを採取する班と鍋で煮詰める班!」
ヨナとジミーは、森に行きたいって顔だ。サリーは、今日で疲れたから、森よりも木の家にいたい感じだ。
「私達も木の家で石鹸を作るから、一緒に作業しよう!」
風呂から出て、シチューを温めなおしながら、明日の計画を立てる。
師匠達も森に行くのはアリエル師匠、石鹸と樹糖を煮詰めるのを監督するのは、オリビィエ師匠と決まった。
「夕食だよ!」
竜の筋肉のシチュー、きゅうりのサラダ、柔らかなパンが山盛り!
「いつもミクの料理は美味しいわ」とアリエル師匠は、ワインを片手に美味しそうに食べる。
ジミーの山盛りにしたシチューが一瞬で消えた。
「お代わりあるよ!」と言ったら、鍋に突進していたよ。
「本当にミクのシチューを食べた後で、若者小屋に帰れるか不安になるわ」
ヨナは、光の魔法を少しずつ習得している。それに、風の魔法を使って矢をより遠くに飛ばせるようになった。
はっきりとは言わないけど、弟のヨシがアルカディアでやっていけるのか心配でついてきた感じなんだよね。
学業面では、ヨシはヨナをすっ飛ばして四の巻を勉強している。
体力面も、光の魔法を学んで、少しずつ改善されているし、オリビィエ師匠が薬師として無理をさせないのも分かっている。
「光の魔法の使い方をマスターしたら、ラング村に戻るの? ここで、風の魔法を修業したら良いのに」
サリーは、ヨナと仲良くなっているから、一緒にアリエル師匠の弟子になろうと誘っている。
「そうしたい気持ちもあるけど、やはり狩人として一人前に早くなりたいの。それと、私の両親に光の魔法を教えたいのよ! 私が光の魔法を習得して村に戻ったら、狩人だって習得できる! と皆も考え直すと思うのよ」
それを言われると、反対できない。私もサリーも家族に光の魔法を習得して、長生きして欲しいからだ。
「でも、時々は木の家に遊びに来ても良い? アリエル師匠にもっと森に連れて行って欲しいんだ!」
「うん! 大歓迎だよ!」
とは言うものの、まだヨナは光の魔法を完全には習得できていない。
私は、早く習得して、狩人の村の人達に「ふうん、そのくらいで習得できるなら、やってみるか!」と思ってもらいたい気持ちと「ヨナがずっと木の家にいてくれたら楽しい」という気持ちでいっぱいだ。
「ミク、あなたは頑張って光の魔法を習得しなくてはね! あと少しなんだから!」とヨナに激励されちゃった。




