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アルカディアの子ども  作者: 梨香


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秋は忙しい!

 ヨナ、ヨシ、ジミーがアルカディアに来て一月が過ぎた。

 夏の終わりだったけど、狩人の村より北のアルカディアの秋は足早にやってくる。

 夏野菜のトマト、きゅうり、ナスは収穫したし、玉ねぎ、ニンジン、とうもろこしは納屋に吊るしている。

 

 今は、冬野菜! 蕪に芋、それと葉もの野菜! 秋蒔きの小麦も蒔いたけど、寒いのに大丈夫なのかな? 


「秋は、トレント狩りよ!」


 普段は、ソファーで寝転んで本を読んでいるアリエル師匠だけど、ドラゴン狩りが趣味だと公言している。


 普通の魔物を狩るのは飽きたそうだけど、この季節は別だ。


 特に甘い樹液を貯めたトレントは、スイーツ好きのアリエル師匠は見逃さない。


「おー!」とジミーは斧を掲げている。


 弓スキルのジミーだけど、トレントは斧が効果的だ。同じく弓スキルのヨナも手斧を持っている。

 サリーは、風の魔法で攻撃するみたいだね。でも、トドメを刺す為に手斧装備だ。


「ミク、私たちもトレント狩りに行こう!

樹液の甘いのも良いが、油が取れるのが欲しい!」


 今年の春までは、木の家(アビエスビラ)にはオリビィエ師匠とアリエル師匠だけだったのに、私とサリーが増え、晩夏からは三人も増えたからね。


 洗濯する動物性石鹸も身体を洗う植物用石鹸も品薄状態なんだ。夏にいっぱい作ったけど、三人増えると思わなくて、売っちゃったからね。


 秋にもう一度西の国の行商人が来るまでに、いっぱい作っておかなきゃね!


 三人が来てからも、集会所に置いてある脂を買っては、動物性の石鹸はかなり作ったよ。ヨシは、私と共にオリビィエ師匠の弟子だから、一緒に作った。


「ねぇ、植物性の石鹸の方が良い香りなのに、何故、動物性の石鹸もいっぱい作るの? 皿を洗う時と掃除にしか使わないのに?」


 ヨシと動物性石鹸をいっぱい作ったんだ。かなり、うんざりするほどね。

 煮ている時、凄く臭いんだ。でも、夏に作った時よりはマシだったけどさ。


「ヨシ、人間の町で石鹸を使って貰いたいんだ。不潔にしていると病気になりやすいからね。植物性石鹸は高価だから、庶民は買えないんだよ」


 木の家(アビエスビラ)では、身体は植物性の石鹸で洗うけど、人間の町では裕福な商人や貴族しか使えないんだってさ。


「そうか! じゃあ、どちらもいっぱい作らなきゃね! でも、僕はトレントを討伐できそうにないよ」


 ションボリするヨシの頭をオリビィエ師匠がぽふぽふする。


「ヨシは、上級薬草と香りの良いハーブを採取して欲しい。植物性石鹸に良い香りのハーブを混ぜると高価買取になるのさ」


「それならできます!」


 ヨシも光の魔法を習いだして、前よりは体力がついてきた。まだ、マスターはできていないけどね。

 それは、私も一緒! 前より長く守護魔法は掛けられるようにはなったけどさ。


 それに、ヨシは、何とか木から木へ飛び移れるようになったんだ。とは言え、遠くの木にはまだ無理だけどね。


 ちょっと前の森歩きし始めた頃の私みたいだ。

 サリーは風の魔法で、遠い木に飛び移れるようになったけど、私は近い木だけだったなぁ。


「ヨシ、焦らなくて良いんだよ。今日はトレント狩りだからね」


 そう言いながら、ヨシの首に笛を掛ける。


「これって……魔物が来たら笛を吹くんですよね!」


 森歩きもできなかったヨシは、笛をもらって喜んでいる。


「ああ、私や狩人が近くにいたら、吹かずに枝の下に隠れているんだよ。遠くだったら、吹くんだ。魔物が木を倒す時は、別の木に飛び移るんだよ!」


 ヨシは、木に登る時から、近くに木があるのを選んでいる。だから、大丈夫だよね?


 自分が飛べる距離を把握して、進むルートを考えているんだ。賢い子だから。


 だから、そんなに遅いわけじゃないし、師匠と私も上級薬草を探しながらだから、進むのもゆっくりだ。


 因みに、アリエル師匠達は、すごいスピードで森の奥へと消えちゃったよ。

 アルカディア付近のトレント、特に樹液が甘いのは討伐し尽くされたそうだ。皆、甘いものが好きだからね!


 油が取れるトレントは、一頭討伐したら、それで灯りは良いだろうって感じなんだ。

 アルカディアでも、基本は早寝早起きだからね。ただし、アリエル師匠は、夜遅くまで本を読んで、朝寝坊したりするけどさ。


 動物性の蝋燭、植物性の蝋燭もあるけど、これまではあまり使わなかった。

 夏は、寝る前まで明るい感じだったし、秋になって早く暗くなりだして、蝋燭を使いだした感じなんだ。


 因みにランプもあるけど、それはガラスについた煤を毎日掃除しなくちゃいけないので、アルカディアでは不人気だ。


 サリーとかは簡単にライトの魔法を使えるし、アルカディアの森の人(エルフ)は、蝋燭もあまり必要性を感じないのかもね。


 それと、あまり使う人はいないけど、魔導灯とかもあるみたい。これには、大きな魔物の魔石が使われるので、普段の生活では使わないそうだ。


 そう! 私達は子どもなので竜の解体とかも、触らなかったけど、魔石があるんだよ! 


 その貴重な魔石を使わなくても、蝋燭や魔法で灯りは付けられるからさ。


 つまり、私達はアルカディアを出て少し経ったら、杉っぽいトレントにでくわしたって事! アリエル師匠達は、私達もトレント狩りに行くのを知っているし、甘い樹液目当てだから、スルーしたのだろう。


「ヨシ、木に登れ!」


 ヨシは、枝から枝へと登っていく。


「ミク、一人でやってみなさい!」


 ゲッ、一人で? でも、やってみよう!


「根よ、枯れろ!」


 トレントは、多分、オリビィエ師匠が強敵だと悟って逃げようとしている。


「根よ! 枯れろ!」


 逃げるトレントの根っこをドンドン枯らしていく。


「ミク、守護魔法だ!」


 怒ったトレントは、枝を振り回す。守護魔法を掛けながら、枝を避けながら、根を枯らしていく。


「逃げられるぞ!」


 半分以上の根を枯らしたら、攻撃をやめて森の奥へと逃げようとする。


「逃がすものか! 根よ、枯れろ!」


 残った根の半分を枯らしたら、ズドン! と倒れた。


「今だよ!」とオリビィエ師匠に言われて、手斧でコブを攻撃する。


「はぁぁ、やっと討伐できた!」


 ぜぃぜぃと息が切れている。


「ミク、よくやったね!」


 木に登っていたヨシも降りてきて「凄いよ!」と褒めてくれた。


 でも、これを切ってマジックバッグに入れるのは、オリビィエ師匠とヨシに手伝って貰った。疲れたよ!

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