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爆発寸前な男  作者: ZUNEZUNE
第五章:刺客
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63話

勇義さんも加わったことにより、俺は改めて怪字と対峙する。その屈強な体にそれを守る宝石のような甲殻、更に発光能力と攻撃的な見た目に似合わず何かと厄介な能力ばかりだ。

しかし必ず勝つ方法ある。あの腹部の傷を攻撃を集中させればいつかあの甲殻を打ち破れるだろう。


「あの閃光に注意を払いながら狙撃に集中してくださいよ!」


「分かってる!」


俺は勇義さんの援護を信じて単独で怪字に向かって走っていく。最初はその脇腹を思い切り蹴り払い、その直後に腹部へ正拳をヒットさせた。

すると怪字は右拳を握って下から掬い上げるようにアッパーを仕掛けてきたが、受け流すようにバク転して回避。そして何度も殴りながらこちらに近寄ってくる。俺はそれを後ろに下がりながら避けていき、奴に隙が生まれた時、その首を思い切りキックした。

しかしそれが仇となり、キックの直後体の姿勢を崩している間を突かれそうになるが、勇義さんの銃弾が怪字の顔に命中してそれを阻止する。


「一点集中!ゲイルインパクト!!」


そして奴が顔を押さえている間に、疾風怒濤の連続パンチで腹の傷を集中的に殴り続ける。さっきのゲイルインパクトはその硬さの前ではほぼ無意味に近かったが傷痕を殴ることで少しだけダメージが入っていった。


「だりゃああ!!」


最後の1発はより強く踏み込んで殴り、怪字を少しだけよろけさせる。どんなに重かろうがそう何度も傷口を殴られれば流石の怪字も効いている。

すると奴は右足で薙ぎ払ってきたが屈んでそれを回避、そしてそのまま右足を脇で挟むように掴み、そのまま投げ技で怪字を地面に叩きつけた。


(光が来る!)


そして倒れたところに追い打ちをしようとした矢先、怪字の体が光り始めていることを感知、奴が完全に光るまでに目を瞑って「八方美人」を使用した。

結果目くらましは何とか回避でき、見えない視界からの攻撃も自動回避で対応していく。


(光るのが分かるなら十分対応できる!)


怪字が思い切り拳を振り落とすのを避けた後、目を閉じたままカウンターとして思い切り蹴り飛ばした。

怪字が飛ばされた先には十手を構えている勇義さん、視界も慣れてきた頃には勇義さんと怪字が殴り合っていた。


「だっ!せいやぁあ!!」


次々に来るパンチを十手で防いだり受け流したりしながら隙あらばと奴の体を打っていく。そして十手で怪字の両腕を払いのけ、懐が空いたら銃口を傷口に当ててゼロ距離から弾切れするまで発砲した。最後に蹴って距離を離し、十手の先で傷を突く。


「だああああああああ!!」


そして怪字が仰け反ったところを狙い、後ろから俺が襲い掛かる。奴の太い首を両足で挟みそのまま後ろへ投げ飛ばす。プロレスで言うフランケンシュタイナーだ。

流石に重く逆にこっちの足が駄目になると思ったが何とか投げることができた。投げられた怪字はさっきの崖にまた激突するもすぐに起き上がってくる。


「動きが遅い分こっちが攻めやすいな」


「はい!一気に畳みかけましょう!」


上手く行けばこのまま倒せるかもしれない、そう過信した俺たちは崖元にいる怪字へ突っ込んでいくが……


「光っ!しまった!!」


怪字がお得意の発光をしてきた。すっかり油断していた俺たちは今度は対応できず、その眩い閃光に目をやられる。

目を開けられなくても手探りで「八方美人」を取り出そうとしたが、その前に怪字に殴られてしまった。


「ぐはっ!?」


すると横から勇義さんの声も聞こえる。どうやらあの人も一緒に殴られているらしい。視界を奪われたまま殴り続けられ、最後には勇義さんごとラリアットをぶつけてきた。


「づがぁ!?」


硬い装甲による打撃をもろに受けた俺たちはそのまま吹っ飛ぶ、地面を大いに転がる。横を見ると勇義さんが鼻血を流していた。


「がはっ……大丈夫ですか?」


「何とかな……畜生顔に当てやがって」


勇義さんは顔面にヒットし、そういう俺は胸に思い切り食い込んでいた。肺部分を強く打たれたため軽い呼吸困難に陥る。


(落ち着け……落ち着いて呼吸法を取り戻せ!)


何とか元の息に戻そうとするもそんな時間を怪字が戦闘中に与えてくれるわけなく深呼吸しようとした瞬間、凄まじいアッパーで殴り上げられた。


「ぶげがっ!?」


勇義さんは両手で頭を掴まれ、そのままブンブン振り回され投げ飛ばされてしまう。そして怪字は倒れている俺を何度も踏み続けた。


「ぐはっ!!だぁ!!げほがっ……!!」


途轍もない重量感による踏みつけはこちらの内臓を突き抜けて体に穴を空けてしまうのではと思う位強烈で、踏まれるたびに俺は激しい痛みに襲われた。

何とか脱出しなければ――俺は踏まれている最中何とかポケットに手を入れ「一触即発」を取り出し、奴が足を上げた瞬間それを使用する。


「げほっ……プロンプト…………スマッシュ!!」


そして奴が次に踏んできた時に反応し、その片足を思い切り殴り上げた。足にスマッシュを受けた怪字はバランスを崩すどころかその勢いで思い切り吹っ飛んでしまう。

その隙に俺は何とか立ち上がり、放り投げられた勇義さんの元へ駆けつけた。


「はぁ……はぁ……勇義さん、無事ですか?」


「ぐぐっ……ああ、まだ戦える」


ここで俺たちは一瞬の油断が命取りだと再確認させられる。隙あらば奴は閃光を放ちこちらの視界を潰して殴りかかってくる。あの遅い動きはそれで補っているといってもいい。

すると怪字が今の勢いを忘れないようにとこちらに飛びかかって拳を振り下ろしてくる。


「疾風迅雷!!」


それを俺は勇義さんに肩を貸した状態で疾風迅雷を使用、超スピードで掻い潜って奴の後ろに回り込んだ。


「でいやっ!」


「おらぁ!!」


そして背後から俺は殴り勇義さんは十手で突き押した。2人係で後ろから押されたため奴はバランスを崩し前に倒れそうになるも、右足で倒れる直前に踏みそのまま軸にして振り向きざまに殴ってくる。


「ぐっ……!」


それを両腕を交差させて受け止め、次に怪字の懐に潜り込み腹の傷を思い切り殴った。勇義さんもそれに続き、迫ってくるもう片方の腕を十手で払いのけ怪字の顎を突きあげた。そして最後に2人同時で怪字の腹部をぶん殴り、そのまま吹っ飛ばす。


「まだまだぁ!!」


それでも追撃は終わらず、俺は疾風迅雷で怪字が吹っ飛んだ所に先回りし、殴り飛ばされてこっちに飛んでくる怪字を真正面から受け止めた。


「ゲイルインパクト足バージョン!!」


両足を地面から離し、足代わりとして両腕で体を押さえてそのまま連続キックを奴に食らわせ続ける。そして反対側は勇義さんが十手で突きまくって挟み撃ちにした。


「「うおりゃああああああああああ!!!」」


そうしていると怪字が体を潜めて何かを溜めるような姿勢に入る。恐らく光るつもりだろう、そう何度も引っかかってたまるか!

奴が閃光を放った瞬間勇義さんは腕で目を覆い、俺はバク転することによって怪字を視界から出した。

怪字は今の閃光で俺たちの視界を奪ったと思い込んで目の前にいた勇義さんに殴りかかるが十手で受け止められてしまう。


「だりゃあああ!!」


その隙に俺が後ろから飛び膝蹴りを奴の後頭部に当て、そのまま肩を足場に真上へ高く跳んだ。


「勇義さん奴の足止めお願いします!」


「おう!」


そして落下中に「一触即発」を使用、スマッシュを打つ待機姿勢に入りながら重力に身を任せる。

怪字はそんな俺を見て避難しようとする。2発も食らったのでプロンプトスマッシュを警戒しているのだろう、しかし逃げようにも勇義さんがそれを邪魔した。


「だぁああああ!!プロンプトスマッシュッーーーー!!!」


そのまま俺は落ちて怪字に触れ、その頭部を殴り抜けた。頭の頂点にもヒビが入った怪字は大きく姿勢を崩す。


(まだ仕留められないか……!!)


こっちは頭部を粉々にするつもりで殴ったが腹部同様亀裂が走っただけに終わる。改めてこの怪字の硬さを思い知らされた。


「でいやぁ!!」


そこで勇義さんが拳銃を発砲、銃弾が俺の頭上を通過し怪字の顔に向かっていく。しかし怪字は両腕の並べて盾にし、顔の前にそれを作って銃弾を防いだ。

俺は怪字が両腕を防御に使っている隙に接近し、腹のヒビを何度も殴っていく。


「うおおおおお!!!」


最後に思い切り頭突きし、その傷を更に広げる。それと同時に俺の頭がジンジンと痛み出した。


「づぁあああ痛っ!!」


ある程度あの装甲で頭突きするのは痛いと予想していたが、つい心の高まりに乗せられてやってしまった。逆にこっちがぶっ壊れそうになったがまぁいい。

寧ろ頭の痛みなんかで立ち止まってる暇は無い。


「ぐぉらぁああああああ!!」


俺はそのまま右足をほぼ地面と垂直に上げ、怪字の頭に踵落としを食らわせた。そして左足で顎を押し両足で奴の怪字の頭を挟む形になる。

挟んだまま怪字の首を強制的に後ろへ曲げさせ、俺は奴の額を両拳を握って殴った。

さっきから硬い装甲を殴り過ぎて手から血が出てるが気にしない、そのまま怪字に追撃を続けた。


「はぁああああああ!!」


勇義さんも奴の腹の傷を集中的に発砲してくれていた。このまま行けばいくらどんなに硬い装甲とはいえ限界だろう。

諦めずに攻撃し続けようとしたその時、怪字が光を放つ。


「ちっ……!」


攻撃に夢中でそれに対処しきれず、俺たちは視界を奪われる。しかし怪字が反撃に来ることはなく、それどころか俺たちの目が見えない隙にどこかへ逃げられてしまった。


「糞っ逃げられた!まだ近くにいるはずです!追いましょう!」


「いや、今の俺たちに奴を追う体力はもう無い。悔しいがここは一旦引いて休もう」


「……はい」


今は逃げられたが、次こそは倒してやる。

早く休まなければ、次の被害者が出る前に――。

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