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オタク同士なら、仲がいいと思ったか!?  作者: 岩戸 勇太
サブカルチャー部にいらっしゃいませ
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五十家を誘う

 さて……五十家いそや しょうか……

 見るからにどこかでアイドルでもやっているイケメンといった感じで、社交性だってあり、俺だって何度か話した事がある。

 昼休みや放課後なんかは、友人たちに囲まれており、とても近づけるような感じではない。というのが俺の印象だ。

 確か渉はバスケ部に入っていたな……

『今から練習試合をするんだって』『渉君とか活躍するかな?』『どうでもいいじゃん、見に行こうよ』

 などという会話をしながら、体育館に向かう女子の姿を見たことがある。

 部活に入っている人間を他の部に誘うんだ。かなり難しい事をしようとしているんじゃ……

 サブカル部に入ってくれる確率って低いよなぁ……

 引き受けたはともかく、かなり難解な事であるのに気付いた俺だが、今更引き下がるわけにもいかない。五十家の友人の輪がなくなった瞬間を見計らって、俺は五十家の机に向かっていった。

「五十家君。ちょっといいかい?」

 俺は五十家に話しかけていった。

「この前、君がマンガを読んでいるところを見てさ」

 そう言うと、五十家は明らかに顔をこわばらせた……これは、自分がオタクなのを周りに悟られたくないって感じか?

「場所を変えようか?」

 俺が申し出ると、五十家は返事もせずに立ち上がって廊下の方に歩いていった。


 五十家の事を追って、廊下までついていく。教室から少し離れたら、五十家はクルリと向き直って俺の方を見た。

「マンガを読んでいるって……何を読んでいるところを見たんだ……?」

 体をこわばらせながら聞いてきた五十家。

 俺も気持ちはわかる。

 昔は、周りにオタクとバレないようにしていた。もちろん、周りから奇異の目で見られる事になると思っていたからだ。

 とうの昔にバレてしまっている俺だが、バレる前と、バレた後で、周りの目が変わることなんてなかった。

 実際、オタクなんてものは、一度バレてしまえばそれまで。バレる前と、バレた後で、変わった事なんて、全くないものだ。

 今の俺のように、バラしてしまえば、楽になるというのに……俺から見たら、五十家の行動は、無駄な努力にしか見えなかった。

「何を読んでいるところを見たんだ?」

 俺が余所事を考えている間に、しびれを切らせた五十家は、続けて聞いてきた。早く答えるべきだな。

「乙嫁語りだよ。あれは俺も読んでいるけど、絵が綺麗でいいよな」

 俺がそう言うと、五十家は、ほっ……とした顔をした。

「なんだ……あれかぁ……」

 この反応は何なんだ? 気にはなったが、藪をつついて蛇がでてもつまらないので、俺は要件だけを話す事にした。

「なあ。サブカルチャー部に入らないか?」

 そう聞くと、五十家はドキリとした顔をした。

「そういう話かぁ。マンガは好きだけど、サブカルチャー部に入る気まではないよ。ボクはバスケ部員だしね」

 やっぱりか……こう返答が帰っているのは予想済みだ。

 もうちょっと粘ってみよう。そのためにいくつか言葉も考えてきている。

「近くに調理室もあって、俺はそこで淹れたコーヒーを飲みながらマンガを読んでいるぞマンガ喫茶みたいなつもりで……」

「まあ、誘ってもらって断るのも悪いし、ちょっと、部室に顔を出してみてもいいかもね……」

 俺の言葉を待たずに、五十家は続けてきた。なんか、いい返事が返ってきたぞ。

「それじゃあ、今日の放課後にまた言いに来る。部室まで案内するか……」

「部室の場所は知ってるからいい。放課後になったら向かうよ」

 俺の言葉を最後まで聞かずに話をまとめた五十家。

 拍子抜けだ。実際こんなもんなのか? 話がうまくいきすぎて、逆に達成感が無い。

 俺は、頭を掻きながら、教室に戻っていった。


 放課後になり、俺と鳥は、サブカルチャー部 Bの部室で、五十家と咲さんが来るのを待っていた。

 

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