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タルキの道具屋日誌  作者: くらげまなこ


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2/2

後編

日差しが段々熱を帯び、暑さが増してきたある日、俺は行商のラハサさんのもとへ向かった。

いつものように、仕入れをしていた時にふと以前のフードの客を思い出して聞いてみた。


「なあ、ラハサさん。前に虹のウロコにめちゃくちゃ興味を持った客がいたんだけど、

 仕入れ値って薬草とかとそこまで変わらないだろ。これって他所だと珍しいのか?」


色使いが派手な衣装に身を包んでいるラハサさんは、見た目とは違って物腰は穏やかに答える。


「おや、結構長いこと仕入れをしているけど、タルキ君はこのウロコの価値については、

 そこまで知らなかったのかい?」

「いやあ、何かキレ―なオマケってぐらいの認識しかなかったからさ。」

「ふふ、先入観というのは怖いものだね。常識は時に人の視野を狭くする。」

「え?じゃあやっぱ何かあるの?」

「そうだねぇ、聞かれた上に私は知っているから、答えてあげようか。実はこのウロコはね、

 とある薬を調合する時の素材になり得るんだ。」

「とある薬?」



「蘇生薬さ」



そ、蘇生?それって人を生き返らせるってこと…?


「驚いた顔をしているね。」

「え、そりゃそうだよ。そんなすげーものをこんな価格で仕入れてほいほい配ってたの?

 俺と親父は。」

「いやあ、親父さんは知っているんじゃないかな。君が知るの待ちだったかも。」

「確かに意味も無く勿体ぶるところあるからな。うちの親父は。」

「それが楽しくて仕方ないんだろうね~」


ラハサさんもまあまあ嬉しそうだな。


「とは言え、別にこれ単体でどうこうってことは無いからね。他にも必要な素材は幾つかある。

 ただ、必要な素材の中で一番入手困難と言えるのがこのウロコさ。」

「ラハサさんは、どうやってこんなもの手に入れてこんな価格で売ってんの?」

「詳しくは言えないけど、それこそ売る程手に入れてるから売ってるだけさ。

 安く売ってるのは、君の店だけだよ。親父さんとの仲だからね。」


ラハサさんは親父に弱みでも握られてんのか?普通に仲良いだけでそこまでするかね。

でも、ラハサさんにとっては珍しく無いのか…


「聞いたこと無かったけど、親父とラハサさんってどこで出会ったの?」

「そう言えば話してなかったね。ナラハト山辺りだったと思うよ。」


ナ、ナラハト山!?この国からかなり離れたところだ。

単身赴任で行っていた国より遠いぞ。そんなところで親父は何してたんだ?


「親父さんは目利きでね。今の私のような行商といった形で勇者一行として旅をしてたんだ。」

「!!そうなの!?初耳なんだけど。」

「親父さんが話してないなら、私ぐらいしかこの辺で話せる人はいないからね~」


親父が国に居なかったのは単身赴任していた2年だけだ。それ以外はずっと家に居たのは俺が知っている。

じゃあ、その2年間で2つ隣の国に居ただけじゃなく、勇者と旅をしていたってのか…


「ラハサさん…何か急な情報過多で混乱してしまってます…」


俺は片手で頭を押さえる。ラハサさんは聞いたら教えてくれたけど、自分から話すことはなかった。

親父は恐らく意図的に俺にその情報は伏せていたんだろう。多分、自分で気づいて欲しかったんだ…

自分で得意気に話すより、実はそうだったと相手に驚かれたい、そういうことなんだろう。

まんまと驚いちまったよ…大した親父だ。


親の背中なんて、あと数年もすれば軽く越えてしまえるだろうと高を括っていた。

俺の親父は俺の想像以上に、それに世間一般の親父より頭一つ抜けて偉大だったってわけだ。


「ふふ、すっきりしたねぇ。私も自分からは積極的に話さない分、もどかしさのようなものが

 あったからさ。」

「そ、それは何より。親父とラハサさんと他にも何人かで旅を?」

「6人での旅だったから他に4人いたよ。勇者、賢者、戦士、大道芸人、そして魔法使いの私と行商の親父さんってとこだね。」

「だ、大道芸人…その人も中々気になりますね。」

「私以外は結構遠くに散っちゃってるからねぇ。全員で集まる機会も中々無いね。」

「じゃあ、俺がそのうち同窓会でも企画しますよ。」

「へぇ、それは楽しみだね。」


今日は物以上にとんでもない話を行商から仕入れた日だった。



ガチャ…



仕入れから帰ると、ドアの鍵が開いていたのか鍵を挿しても手ごたえが無かった。


「………」


俺は間違いなく鍵を掛けて仕入れに向かったはずだ…


ダンッ!!


足で蹴りを入れて勢いよくドアを開ける。但し、俺自身は中に入らず後ろにスッと下がる。


「ぬおぅ!」


開け放したドアの向こうでこん棒下に向けてよろめいている男が居た。

多分、そのまま入った俺をブン殴ろうとしたのだろう。


「ふんっ!」


俺は仕入れた商品の中から、ドネーザの種を3粒掴んで男に向かって投げた。


キシャアアア!!


「うおぉわあああ!!」


種は男に全て当たると当たった箇所から発芽して一気に成長し、男を複雑に絡めとる。

人の頭より少し小さな大きさの花が3つ咲き、人より大きな口を開けて叫んでいた。


いわゆる植物系の魔物の種だ。相手を拘束する時に便利でうち以外の店でも、

防犯のために使われることが多い。


「なんだお前は、こんな小さな店に強盗か?」

「痛てて…くそ!放せ!」

「言える立場か、犯罪者が。」


商売をやっていると良からぬ者も近づいてくる。親父は昔そういって俺に幾つか身を守る方法を

教えてくれた。親父の教えは俺の中にしっかり根付いていると実感できた。


「まったく…がっ!」


という油断が良くなかったのだろう。俺は右に大きくよろめいた。側頭部に強い痛みが走る。


ドサッ


肩から派手にこけてしまった。犯人はどうやらもう1人居たようだ。


「まったく、非力な商人相手に何を手こずっているんだテメーは。」


もう1人の男が文句を言いながらやってくる。


「わりぃな。ちょっとここいらで景気のいい話聞いたもんでよ。ホントならめっけもんさ。

 なあ、お前さん。虹のウロコってのはここにあんのか?」


こいつら!虹のウロコを狙って…じゃない、俺のバカ!顔に出すな!


「ほう、その反応を見るに当たりのようだな。あることが分かりゃ問題ねぇ。

 せめぇ店だ。すぐに見つかんだろ。おいジャカス!とっとと手伝え!」

「そんなパッセさん…これ外して下さいよぉ。」


パッセと呼ばれた男が店に入ろうとする…が、俺は這いつくばりながらもその足を掴む。


「お、俺の店に手を出すな…」

「あん?放せやクソが!」


ガン!


「ぐっ…!!」


足を振り上げて俺の手を振り払い、パッセは俺に蹴りを入れる。

俺は振り払われた手を見る。こんな緊急事態の中で思うことでは無いが、少し不思議だった。



俺、この店が大事だ。



いや、前から普通に大事なんだけど、殴られた後に相手の足掴もうとするぐらい大事だったのだと、

行動の後にその感情を知った。何というか泥棒に抵抗する程大事だとは思ってもみなかった。


「タルキ!ナイスファイトだ!後は任せろ!!」


少し離れたところから親父の声が聞こえる。何だ、今日はやけに早いじゃないか。

釣りはどうしたんだよ…こんなところを見られるとは。


「うぉわ!!」


ドゴン!!


パッセの短い声が聞こえたと思ったら、近くの木にパッセが吹っ飛ばされていた。

俺の位置から良く見えなかったが、親父がやってくれたのか。何て強さ…


「マジで助かったよ。ラハサ!!」


いや、ラハサさんかい。


「礼には及ばないよ、今日も色々買ってくれたしね。」


ラハサさんが涼しい顔で応じる。この人ホントすげぇな。


「でも、危機を察したのは親父さんだよ。ここ最近は旅人や冒険者の間で、

 この店のウロコのことがちょっと噂になってしまっててね。君もそんなお客さんを見ただろう。」


確かに、フード女が一番露骨だったが、他の客の中にもウロコに対するリアクションが大げさな人、

強い興味を示しているであろう人は客の中にちらほらとはいた。


「あんまり噂になり過ぎると店が悪目立ちしちまうからな。隠れ家的名店でいるために、

 逆にガッカリするような噂も撒きつつ、評判の中和をしてたんだよ」


親父はそう言いながら片手間でパッセを縄で拘束していく。相変わらず手際の良いことで。


「そしたら、怪しい2人組がうちを狙う計画を話しているって聞いたもんでな。

 ここしばらく警戒してたんよ。ただ、殴られる前に来れなくて悪かったな。」


申し訳なさそうに親父が謝る。


「謝ることないよ。本当に助かった。ありがとう。」


俺は素直にお礼を言う。何か噂になっているな、という程度しか見えてなかった俺とはえらい違いだ。

やはり、親父は偉大だ。




強盗を退治してしばらくしたある日、俺は親父に釣りに誘われた。

いつもは勝手に一人で向かっているが、今日は俺と釣りたいらしい。


「今日は定休日にしようや。」


親父はそう言うと、海に向かって開けた景色の見える釣りスポットに俺を連れてきた。

海面から4~5メートルはある波打ち際の崖の上からは、視界一杯に海が良く見える。

天気が良いから海面もきらきらと輝いている。遠くで少し大きな魚が跳ねたのか飛沫と次いで波紋が広がる。街中以外にあまり外出しない俺にとってはかなり新鮮な光景だ。



「タルキ、釣りはしたことあるか?」

「そう言えば、初めてかも。」

「どら、俺が針にエサつけてや…痛った!!」


親父は針を派手に自分の指に刺した。ああ、そうか。


「親父、良く釣りに行ってくる、って言ってたけど、本当は店の噂とか情報収集とかしてたのか?」

「お、分かっちまった?まあ強盗の時のこともあったしな。でも、本当に釣りをしている時もあるぞ。

 何が釣れるか分からないワクワク感が俺は好きだ。市場じゃあまり見かけない魚が釣れた時、

 世界は海で繋がっているって実感出来るものさ。」


別に隠していたのは自分の来歴だけじゃない、市場調査みたいなことも日々やっていて、

俺には伏せていたのか。そして、俺に気づいても欲しかったと。


「なあ、俺、親父ってもっと裏表のない奴だと思ってた。隠し事何て出来るタイプじゃないとも。

 でも実際は違った。隠し事だらけの謎だらけだった。もしかしたら、まだ俺が知らないことも、

 あるのかもしれないな。」

「あるかもよ~探し甲斐があるなぁ!楽しいな!」

「何でそんな色々隠してるんだ。家族なんだから教えてくれたっていいじゃねぇか。」

「タルキの周りには居なかったか?『俺は○○をやった!俺はこんなに凄い!』って言って回る奴が。」

「まあ、クラスに2~3人は居たかもな。自意識過剰だったり、自慢好きだったり。」

「俺はそういう親にはなりたくなかったんだよ。イヤだろ自分の自慢話ばっかりする親父って。」

「まあ、そうかもしれんが…」

「それに、お前は俺より学ぶことが好きそうだった。だったら、めいいっぱい学ばせてやりたいし、

 せっかくだから楽しく学んでほしい。俺の思いつく最高のエンタメも提供したってわけだ。」


親父は本当に自分思う楽しさに正直で忠実だったんだ。そしてそれを俺にも味わって欲しい、

ただ学ぶだけなら学校でも出来ることだ。だけど、「自分で見つけて」学ぶ、というのは、

中々意図的に出来るものじゃない。それに、その方が楽しいのは確かにそうだ。記憶にも残った。 


「楽しい親父を持てて、俺は幸せ者だよ。」

「そうか、そいつは良かった。」

「強盗にはもっとカッコ良く立ち向かって欲しかったけどね。あれなら俺の方がカッコ良かったよ。」

「一介の道具屋にヒーローっぽさを求めちゃいけねぇよ。旅してた時も俺と大道芸人は、

 基本的に戦わねーんだから。」

「…大道芸人気になるな。まあ、いいか。武力だけが『カッコいい』じゃないわな。」

「そういうことだ。」


その後、俺は小さな魚を釣った。近くの市場では見ないタイプで、鮮やかな青が綺麗な魚だった。

親父は俺よりも大きな魚を釣ったが、毒を持っている魚だったので、海に帰した。

そう言えば、釣りって毒のある魚や食べ応えの無い魚は基本的に釣っても逃がすと親父が言っていた。

逃がさずに何か別の形で利用出来たら「俺の」看板商品に出来るかもな…

こういうヒントもあると思うと街中以外にも色々見て回る必要があるな。


お互いの釣果を讃え合う帰り道で俺は言う。


「親父、俺はさ道具屋が好きだ。」

「おう、それは何よりだ。」

「好きだからこそ、道具のことをもっと色々知りたいと思う。俺も、世界を見て来ていいかな?」

「ははっ!聞かれるまでもねぇ。何のために早くに店を継がせたと思ってる。

 タルキがいつ旅に出たいと思ってもいいように、またこの店に戻れるように、と考えてのことだ。」

親父は満面の笑みで言う。



「何が楽しいって、世界を知った後にやる道具屋が世界で一番楽しいんだからよ。」



親父が一番好きなことを、俺にもやれるように、か。俺もこんな親父になりてぇと思っちまうな。

冒険に出るヤツの気が知れなかった。何が楽しくて命懸けになっているのかが分からなかった。

でも、今は確かに俺の中にも「その衝動」がある。


知る前と知った後で虹のウロコの見え方が変わったように。ラハサさんと親父の見え方が変わったように。

俺にとっての世界は変わった。皆から見た俺も変わっているかもしれない。

旅から戻ってきたら、この道具屋の見え方もまた変わるのだろう。それが、凄く楽しみだ。



とは言ったものの、今日明日ですぐに旅立とうとする程、俺は無計画ではない。

しっかりと準備をして行くつもりだ。だから、まだしばらく俺は店に立っている。

そして、久しぶりにルアさんが訪れた。


「タルキちゃん、久しぶり。強盗が出たんですって?やあねぇ、大丈夫だった?」

「ええ、ラハサさんにも治療して貰って割とすぐに復帰したんで。」


蘇生薬ほど大げさなものではないが、少量の虹のウロコを応用することで回復力の強い治療薬が作れる。

ラハサさんはそれを俺に処方してくれて、すぐに元気になった。


「ルアさんこそどうしたの?最近あまり見なかったけど?もしかして強盗騒ぎで怖がらせちゃった?」

「ああ、違うのよぉ。孫娘が長旅から帰って来てね。最近はすっかり買い物はあの子が済ませちゃって。

 あたしの出る幕があんまり無いのよ。」


ルアさん、今は孫と暮らしているのか。常連が足を運ぶ頻度が減るのは寂しいけど、

家族との時間を持てているなら良いことだな。


「そういやお孫さんって何の旅をしてたの?何か昔ちょっと聞いた感じじゃ、

 魔王倒すってわけでも無かったんでしょ?」

「それが、聞いてよ。あの子何か珍しい素材?ってのを探していたみたいでねぇ。

 だけど、一番探してたものが中々見つからなくて諦めかけてたらしいんだけど、あったのよ。ここに。」

「ここに?」

「ほら、たまに綺麗なウロコくれるじゃない?あれが欲しかったみたいでね。

 あたしが1つ部屋に飾っているの見るなり大きな声で『どこで見つけたの!』って詰め寄っちゃって。」

「虹のウロコね…」


以前の俺なら変な客扱いだが、今となってはお孫さんの切実さが分かる。

普通あんなものがこんな道具屋で買えるとは思うまい。ましてや自分の祖母の手元にあるとも。


「そんなに欲しいならあたしのあげるよ、って言ったんだけどね。1つあればいいってものでもないみたい

 で。ここでオカリナやら何やら買い込んで沢山持って帰ってきてたわ。迷惑じゃなかった?」


オカリナ…あのフード女がルアさんのお孫さんか!


「ルアさん、もしかしてお孫さんがまだ旅に出る前ってちょっと体調悪かったりした?」

「そうね。お医者さんによると結構まずかったらしいんだけどね。今はもう元気よ。」


そうか。お孫さんはきっとルアさんのために…


「でもお父さんに聞いたよ。今度はタルキちゃんが旅立っちゃうんだって?

 あなたも孫みたいなものなんだから、ちょっと寂しいわ。」

「まあ、でも俺も別に魔王倒すってわけでもないんで。戻ってきたらまた店に立ちますよ。

 もしかしたら、今あるやつより、もっといい薬草をルアさんに売ってあげられるかも。」

「それは楽しみね。孫と一緒に買いにいくわ。」



ラハサさんが店にやってきた。今日は親父も店に居る。


「やあ、この間は大変だったね。はい、これ。」


ドサッと大量のお金が入った袋を親父に渡すラハサさん。


「うっひょー。儲け儲け。」

「うっひょーって親父…」

「先日ここに来た2人組の強盗がいただろう?彼らから巻き上げた損害賠償金だ。

 ここだけじゃなくて他の店でも似たようなことをしていたらしい。彼らは今回のウロコのような、

 とにかくかさばらなくて高価な品を集めて正規価格より高値で売り捌いていたそうだ。」


コスパ重視の強盗団か。きっと宝石とかも狙っていたりしていたのだろう。

うちの店には親父の目玉商品に価値の高いものも混ざっているが、往々にしてデカい角やら杖やら、

かさばるものが多い。これらは選ばれなかっただろう。


「いやでもこれ、店の修繕費や俺の治療費足してもお釣りが来るほどありません?」

「ふふ、優しいね。タルキ君は。被害者は君達なんだから、経費以上に貰うのは当然の権利だよ。

 勿論、僕も手伝ったから少し貰ってはいるし、他の店にも色を付けて渡している。

 綺麗なお金じゃあないけど、流石に国外の被害者を探してまで渡すってのは難しいからね。

 ありがたく貰ってあげてくれ。」

「そうだ、タルキ!余った分はお前の旅費に使え。餞別とも言えるし、お前が戦った報酬でもある。」

俺は少し申し訳ないとも思ったが、旅費を浮かせられるなら好都合とも思い、ありがたく頂いた。




半年後、俺は旅に出て、今はナラハト山の麓の村に来ていた。

親父とラハサさんの足跡をなぞるように旅をしつつ、自分で気になったところに寄り道もしている。

旅先では、道具屋で見ていた品の数々や親父の目玉商品の製造元や採取地などを巡り、

商品理解を深めていった。俺の知らないことが沢山あって驚いた。


村の酒場で同じような旅人、あるいは地元の人と情報交換をしつつ交流を深める。

隣の席の旅人に話かけてみる。


「やあ、俺も旅人なんだけどさ。あなたが旅先で出会った良い道具って何かある?」


ガタイが良く、筋肉がしっかりしている旅人が答える。


「そうだなぁ、ここからは結構遠いんだけどさ。面白い道具屋があってよ。

 そこでは何と沢山商品を買ったらこういうのが貰えるんだ。」


そう言うと男は自身の道具袋から、虹のウロコを取り出して俺に見せてくれた。


「キレイだろ?実はこいつは貴重品でさ。一介の道具屋で中々お目にかかれるもんじゃねぇんだ。」


嬉しそうに語る男を見て俺も少し嬉しくなる。俺も道具袋から1つアイテムを取り出す。


「奇遇だな。俺もこういうの持っててさ。」



道具にまた1つ想い出が刻まれていく。



END

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