第1話 ダメヒーラーは追放されました
お久しぶりです。
名前を変えたついでにこちらでも投稿します。
カクヨムにも投稿しております。
私は頭が悪いし、運動神経は悪いし、性格も悪い!
なので言っておきます、私は___
「いい加減にしろッ!この無能回復術師!」
異世界、ファトュウミ。
剣と魔法、ドラゴン、勇者や魔王。
まるでラノベのテンプレのような世界である。
はっきり言わせて欲しいんだけど、こんな世界に
実際に行きたいかと言われると、全然嫌です。
私、は高校へ通学中に召喚され、
なんか偉い人達に色々されて、あれよあれよと言う間に
勇者、桜井水帆魔法使い、盾使い、弓使いのパーティに
入れられ、魔王討伐に向かってました。
まぁなんか、逃げられないし仕方ないかなって
諦めてしまっていたけど中々やだな、この状況。
で、今は何が起きているかと言うと。
勇者パーティに入れられたはいいものの、
私の能力は中々…うぅん、かなり、ダメダメらしくて。
私なりに、皆さんと生き残る為にも頑張ってはいたけれど
やっぱりどうしようもなかったらしい。
それから、成長しない私に痺れを切らした皆さんは
私を宿の部屋で叱責と言うか、罵倒してるって訳です。
…でもさぁ、仕方なくない!?
召喚特有のチートとかなんも無いんだよ!?
鑑定すらないもの!どうにもならないんだよ!?
まぁ私が無能なのは事実だから…って言っても!
「お前さ、毎回やってるフリやめない?
ただでさえ女だからお荷物なのによ」
「少しは頭を使ってくださいませんか?」
「少ない魔力だって、工夫すりゃいけるだろ?」
こんな罵倒されるんだよ!?
辛くなるくない!?おかしいよ!!
「もういい…お前のお守りはウンザリだッ!
追放だ!追放!出ていけ!」
とうとう、追放、と言われた〜…追放?
の言葉に必死に下げていた頭を上げた。
追放って言ったよね!?
もう居なくていいよね!よーし出ていこ!
「あ、じゃあ、お世話になりましたー!」
もう罵倒されない!怒られない!
それが凄く嬉しくて、私はうっきうきで宿の部屋を
出て行った。
「え、お、おい?」
「放っておきましょう、あんな者が勇者パーティに
居るなど、前々から不快に思っていましたし」
「そうそう、どーせ後で泣きついてくるんだし」
「女なんて穴しか用がないしさぁ」
「お前、それは言い過ぎだろ」
「は、え?」
「お前も追放な、弓使い」
「はぁ!?!?」
とにかく、宿から離れたくて力の限りに走ってたら
森の近くに来ちゃった…。
………いや、でもいいか。
なんかずっと、酷いことばっかり言われてたせいか
疲れてるんだよね。
死んじゃおうかな、このまま。
もしかしたら、死んだら戻れるかもしれないし。
そんな確定も何もない未来を夢見て
一歩を踏み出したその時、視界が真っ暗になり
口に布が当てられる感触がした。
「ん!?ん"ーっっっ!!」
あぁ、やだな、この世界に来てから散々だなぁ。
そう思ったのを最後に、意識はなくなった。
目が覚めると、まんま牢屋に居ました。
なんか悪いことしたっけ!?と思い返すけど、
何もない…はず、あったとしても冤罪でしょ。
と思っていたら、誰かが歩いてきてる音が聞こえた。
「なんだ、起きているじゃないか」
何だか見たことがあるような、黒髪金目の、
羊の角が生えた美形の男性が現れた。
…ん?そう言えば旅のどっかで訪れた酒場で
見た…絵の…。
「…あ!魔王!」
「…様だろ!不遜だな貴様…怖いもの知らずか?」
「で、あのー、なんか私にご用ですか?」
「貴様は勇者共への見せしめとして連れてきた」
「あ、すみません…もう追放されたんですよね」
「如何に貴様ら人間が無力な存ざ…追放!?はァ!?
…何を言っているんだ貴様は?」
美形のリアクションって芸人ばりなんだなぁと
思いながら、これまでの事を話した。
話の筋からしてどうせ死ぬんだし、もしかしたら
極秘情報とかも喋ってるかも?
まぁいいや、どうでもいい。
で、ぺらぺらと話し続けていたら魔王に止められた。
「…その、まぁ、なんだ。大変…だったな」
「慰めより救済が欲しいんですけど」
「きゅ、救済?俺は天使じゃないんだが」
「なーに言ってんですか、死と言う名の救済ですよ」
「あの話を聞いて殺せと!?お前は悪魔か!?」
「え?いや…」
ずいっと面のいい顔を近付けられる。
「大体お前は復讐とか考えないのか!?
そんな奴らこそ殺したりとか!」
「えぇ!?嫌ですよ、魔王様がやってくださいよぉ!
と言うかついでに私を飼ってください」
「は、え?か、飼う?」
「自分で生きるのだるいんで!」
「…まぁ、置いておくのも悪くはないか…」
「でしょ!じゃあ後2時間は寝たいんで
そこら辺にご飯置いてくださいね」
これでいっか、と寝転がると、魔王様は
可哀想なものを見る目で私を見下ろす。
「お前…人としての矜恃はないのか?」
「あるとお思いですか?あの生活で?」
「す、すまなかった…」
こうして、私は何とか衣食住を手に入れたのだった。