第2話 ダメヒーラーは一丁前に娯楽を所望します
桜井水帆改め、呼びやすいようにミナホは
なんか異世界に召喚された上にチートスキルなんてない
状態で期待以上の働きを望まれた結果…無能として
勇者パーティを追放された可哀想な子!
ところがどっこい!神様は多分きっと見放してはいなかった!
魔王様に誘拐された私は今までのことを話し、
同情を誘って半ば強引に飼われる事に成功ッ!
服はちゃんと洗えるし風呂には入れるし
ご飯はおいしいし床は硬いけど寝やすい!
「だからちゃんと感謝してます!なので娯楽の供給を
所望したいです!」
「…清々しい程に我儘だな貴様…」
頭を抱えられて心底呆れられようが、知ったこっちゃない!
「だって暇なんです!暇と退屈は紙一重なんちゃらって
なんかよく言うでしょ!?」
「退屈は猫をも殺すとでも言いたいのか?」
「そうそれ!てかこの世界の娯楽って何があります?」
「娯楽も何も、この世界は生きるか死ぬかの瀬戸際で
必死に足掻いて生きている者が大半だ。
余裕が無いんだぞ」
じと、と鋭い目つきで睨まれてはいるけど
押されてはいけない。
「じゃあ尚更、何か楽しいこと作らなきゃじゃないですか!
いいですかこれは生存率を上げられるあったまのいい
やり方なんですよ!」
「貴様が言うと途端に知能が低下するのは何故だ…」
「楽しいことがあれば!生き甲斐があれば!
人はそれなりにもがきます!生きるために!
平和だろうと戦争中だろうと人はいずれ争うんだから
だったら少しでも楽しいことがなきゃ!」
ぐっ!と握り拳を上に掲げて声高らかに言う。
「…ま、まぁ情熱は認めよう。だが…」
「いいから紙を!紙をください!私の記憶の限り
ゲーム!漫画!小説!色々!早く!」
「落ち着け!!!貴様、自分の立場を忘れているのか!」
「なんですっけ、捕虜?」
「捕虜の身分で何でも要望が通ると思ったら…」
「分かりました、退屈すぎて私が舌を噛み切るか
自傷してもよろしいんですね」
「おおまち、待て待て…?おい、おい!」
「いやいや!魔王様は大体悪い人ですもんね!
捕虜である私が自傷しようが死のうが関係ないですもんね!」
「落ち着けェ!分かった!分かったから!」
「やったー!じゃあ紙とペンをください、あとは机かな?
小さい机がいいです!」
「全く…とんだおかしな者をさらってきてしまった…」
なんか心做しか魔王様がげっそりしていたけど、
まぁまぁ娯楽の魅力に気付いてしまえば後の祭りだ!




