幕間
第12魔法都市某所にある共同墓地。
そこに、一人の少女の姿があった。
少女は『黄野家の墓』と書かれた墓石の前で目を閉じて合掌していた。
そんな少女の元に、背後から別の少女が近付いて来る気配があった。
「レンカちゃんも来ていたんだね」
声をかけられ、墓石に手を合わせていた少女、レンカが目を開き背後を振り返ると、そこには見知った顔があった。
「……シイナ姉ちゃん」
その少女、魔法少女クラスの二年生の先輩であるシイナはレンカの隣に立つと、持っていた花を墓前に捧げてから同じように目を閉じて合掌した。
しばらくして、二人は改めて向かい合うと、最初にシイナが口を開いた。
「命日でもなく、お盆でもないこの時期にサキちゃんのお墓参りなんて、どういう風の吹き回しかしら?」
「それは、シイナ姉ちゃんも同じやろ?何でここに来たん?」
お互いに牽制し合うような沈黙がしばしあり、観念したように最初に口を開いたのはレンカだった。
「…ウチは、ちょっとした報告と決意を、サキに告げに来たんや」
「私も同じよ、レンカちゃん。それと……、」
シイナはそこで一息つくと、レンカの目をしっかりと見ながらこう続けた。
「レンカちゃん、アナタに用事があって来たの」
「ウチ…、に……?」
戸惑うレンカの目を真っ直ぐに見つめながら、シイナはさらに続ける。
「レンカちゃんは、一人で魔女教と戦おうとしているよね?」
「なん…、そんなわけ、」
「ダメだよ、そんなことしちゃ。レンカちゃん一人で魔女教に敵うわけないし、そのまま無駄死にしちゃうことは、サキちゃんだって望んでない」
「そんなこと、」
「だからね、考え方を変えるの」
最後の言葉を口にした時、シイナの雰囲気が突然変わった。
先程までの幼馴染の妹分を心配するような優しい姉ではなく、何か不気味な雰囲気を纏った、異様な人物へと。
「シイナ…、姉ちゃん……?」
「レンカちゃん、私と一緒に来なさい?」
人が変わったような雰囲気を纏わせたままのシイナが、にこりと微笑みながらレンカに右手を差し出す。
「私と一緒にくれば、アナタの本当の望みがきっと叶うわよ…?」
「ウチの、本当の望み……?」
次にシイナが口にした言葉を聞いたレンカは目を大きく見開き、驚きの表情を見せる。
そんなレンカの表情を見ながら、シイナは最後にこう言った。
「レンカちゃん、私と一緒に来てくれるよね?」
レンカは、差し出されたシイナの右手をゆっくりと掴むのだった……




