第10話「新入生歓迎パーティー」
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入学式を前々日に控えたこの日、魔法師育成学園高等部の始業式が行われた。
新入生である俺達には特に関係の無い行事だったので、俺達はこの日も普段通りに過ごした。
が、さすがに完全に普段通りというわけにもいかなかった。
桜寮には、入学を控えた女生徒達が全員揃っており、俺が寮の廊下を歩いていると見知らぬ女生徒とすれ違ったりして時折笑顔で会釈してくれたりした。
少なくとも、そうして俺がすれ違った女子達の中には俺に対する嫌悪感を抱いている女子はいないようだった。
どころか、俺に向けてくる視線が熱っぽく、自惚れでなければ俺の人生の中で初のモテ期とやらが到来したのかもしれない。
というか、むしろ初対面のユウキの俺に対する対応の方が異常だったと思える程に、俺に対して好意的な印象だった。
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そうして迎えた夜、シホ学園長主催の新入生歓迎パーティー。
新入生とは言っても男女別々で行われるそうで、今この桜寮の食堂に集まっているのは俺以外は全員女子だ。
いや、正確には俺はまだ食堂内には入っておらず、シホ学園長と共に食堂の外で待機していた。
「お主はある意味で本日の主役じゃからな、主役には主役なりの登場の仕方があるというものじゃよ♪」
と、シホ学園長に言われてそれに従う俺だったが、果たして大丈夫なのだろうか…?
寮の食堂は普段は扉を開けて開放されているが、今は扉が閉まっている状態で、その扉越しに食堂内のざわざわとした様子が聞こえてくる。
予定の時間となったので、シホ学園長が扉をガラガラと開けて食堂の中へと入って行く。
俺は「妾が合図するまでここで待機じゃ」と言われたので、言われた通りに廊下で待機する。
シホ学園長が食堂に入って来ると女生徒達は談笑を止めシーンとなった。
食堂は入口入ってすぐに発券機があり、その発券機を左手にして真っ直ぐ進むと左側にカウンターがあって、その奥が厨房となっており、カウンターの一番端に食器返却スペースが用意されている。
ちなみに食券だが、券売機のボタンを押した後に、学生証を券売機の所定の場所にタッチすることで交換出来るようになっていて、学生は基本無料で食堂を利用出来るようになっている。
そして、その厨房を背にして正面に、縦長のテーブルが五列程並んでいる作りとなっている。
今、そのテーブルには豪勢なパーティー料理が並んでおり、それらを女生徒達が囲んでいる状況だ。
見た目も身長も12歳くらいにしか見えないシホ学園長が、カウンターを背にして口を開いた。
「あー、諸君!
まだ入学式前じゃが、入学おめでとうと言っておこう!
妾はシホ・ローズ・ヴィントブル、2000年を生きる吸血鬼の〈真祖〉にして、ここ第12魔法師育成学園高等部の学園長じゃ!
さて、堅苦しい挨拶は苦手なのでの、単刀直入に要件だけを話して行こうと思う!」
そう言って、シホ学園長は最初に今年から発足する魔法少女クラスと魔砲少女クラス、そして戦乙女科についてを簡単に説明した。
「戦乙女科については、入学式でのサプライズとするつもりだったんじゃがな、もうすでに寮の者と仲良くなっとる者もおるようじゃから、サプライズの意味もあまり無いなと思ったのでこの場で皆に紹介することにしたのじゃ」
シホ学園長の視線の先では、碧風博士の妹であり、ヴァルキリーリーフに変身する碧風咲楽が女生徒達と仲良くしていた。
そう、サクラは幼馴染であるサンゴやササラとだけでなく、桜寮の他の女子達ともすでに交流していて、親睦を深めていたのだ。
本当なら入学式まで戦乙女科の生徒達は、寮の生徒達と交流してはいけないと言われていたらしいのだが、サクラはそんなことお構い無しとばかりに交友関係を作って碧風博士に怒られたらしい。
「そういうわけじゃから、中等部からの者達は、新しく仲間になる戦乙女科の皆とも仲良くしてやって欲しい。今はまだ四人しかおらぬが、これから少しずつ増やしていく予定なので乞うご期待じゃ!
…さて、長くなったが、そろそろ皆がお待ちかねの本日の主役に登場してもらうとするかの」
シホ学園長がそう言うと、途端にシホ学園長の声をかき消さんばかりに黄色い声があがった。
「うむうむ、良い反応じゃ♪
我が12魔高は少男子化対策にも積極的でのぅ、肉食系女子は大歓迎じゃよ♪じゃが、くれぐれもそういった行為は入学式以降に、そして本人の同意を得てから行うように。未成年の性行為と不同意による性行為は校則違反な上に犯罪じゃからのぅ、ヤるならきちんとルールを守ってからじゃ」
「「「「「はーい!」」」」」
なんか俺、女子から襲われることが確定してる…?
いや、一応俺には拒否権があるから襲われることは無いのか?
でも、もし本当にそんなことになったとして俺は果たして断れるのか……?
などと考えていると、シホ学園長が俺の名前を呼んだ。
「では、入って来るのじゃ!
世界で唯一魔法少女に変身する少年、黒霧優人よ!!」
「あ、は、はい!」
食堂に入るや否や、俺は女子からの黄色い声を全身に浴びせられた。
まるで超売れっ子のイケメン男性アイドルにでもなったような気分になるが、残念ながら俺は全然イケメンではないのでその内飽きられるだろう。
…と、そう思っていたのだが、
「マサト君!好きな女の子のタイプは!?」
「私、おっぱい結構自信あるよ!触ってみる?」
「マサト君、マサト君!!私もマサト君のハーレムに入れてー!!」
シホ学園長が出て行ってから俺の周りには大勢の女子生徒達が集まって来て、先程から俺は質問攻めにあっていた。
いや、それだけならまだいい。
困ったのは、彼女達の距離が異常に近いことで、さっきから女子達のおっぱいやらおっぱいやらがいっぱい俺の体に当たっているのだ。
さすがに俺の恋人達程の大きさの女子はそうそういないが、大小関係無くおっぱいはおっぱいだ。
おっぱいに貴賤無しとはよく言ったもので、どのおっぱいもとても素晴らしい。
そのせいで俺の股間のムスコが大変なことになりそうだったが、間一髪のところで我が妹、マチが間に入ってくれた。
「はいはーい!皆落ち着いて!!
とりあえず、今の時点で本気でお兄ちゃんのハーレムに入りたいって考えとー人だけ集まって!
それ以外の一応キープだけはしときたいとか、ハーレム入りを悩んどーって人達は一旦解散!そういう人達は明日以降、お兄ちゃんのマネージャーである私の所に来て!」
と、そう言ってメガネをクイッと上げてみせるマチ。
っていうか俺のマネージャーって何?いつの間に…?
まぁしかし、マチが列整理をしてくれたおかげで、集まって来た女生徒の数は半分くらいに減った。
改めて言うまでも無いことだが、この世界では優秀な魔法師の男子は希少中の希少で、多くの女性達がその遺伝子を求めてハーレムを形成する。
形上は男子を中心としたハーレムではあるのだが、その実、実権を握っているのは周りの女子達で、男子はお飾りとなっている場合がほとんどだ。
だから、今ここにいる女生徒達は、俺自身ではなく俺の遺伝子に興味があるわけだ。
なので、すでに男子科の生徒で目を付けている男子がいたり、他の男子のハーレム入りを決めている女生徒達は、マチの誘導で俺の周りからいなくなったというわけだ。
そんな女子達と互いに自己紹介をしていったわけなのだが、俺は元々女子と話すのがそんなに得意ではないので、ほとんど何を話したのか覚えていなかった。
気の合う幼馴染達とは勝手が違うのだ。
「さ、お兄ちゃん、頑張って、あと二人やけん!」
「え…?あ、お、おう!」
マチに言われて、ようやく終わりが見えたとホッとしたところへ、挨拶をしてくれたのはポニーテールに超美爆乳(推定バストサイズ99!)の少女だった。
「初めまして!話はマチちゃんやユウキちゃんから聞いてるよ!門司港レトロで大活躍だったんだって!?あ!あたし、魔砲少女クラスの焔優依、〈マギキュリィドライ〉だよ!よろしくね♪」
*
焔優依と名乗った少女は、ユウキやマチと同じ魔砲少女クラスの生徒らしく、マギキュリィドライに変身するそうだ。
「あれ?ユイちゃんもお兄ちゃんのハーレム狙いなん?てっきりユウ君のハーレムに入るんかと」
中等部の頃から彼女の友人だというマチが、意外だという表情でそう言うと、焔さんはこう答えた。
「それはそれ、これはこれだよ!マチちゃんだってそうじゃないの?」
「あたしはお兄ちゃん一筋やし」
「マジかー、あたし以上にブラコンじゃん…!」
と、そんな会話を続ける二人。
俺がぽかーんとしていると「あ、マサトさん、ゴメンね?」と焔さんがペコリと頭を下げ、こう説明した。
「ユウ君ってのはあたしの弟なんだ!焔優武って言って男子科の生徒!」
「へー、焔さんにも双子の弟が?」
「ううん、ユウ君とは年子なんだ!あたしが四月生まれで、ユウ君が三月生まれで、学年は同じの年子!」
「へー、それは珍しいな…!」
「でしょ?あ、あと、あたしのことはユイ、って名前で呼んで欲しいな!」
「分かった、じゃあ、ユイ、これからよろしくな」
「うん!よろしくね、マサトさん♪」
そう言って握手を交わした俺達。
握手をしながらユイはさらにこう言った。
「ちなみに、一年男子科の担任はあたしのお父さんで、一年女子科の3組担任にして一年学年主任の先生があたしのお母さんなんだよ!」
「えっ!?そうなん!?」
「うん、お母さんの名前が焔優香で、お父さんが焔優弥、二人とも魔法師として魔法授業の担当なんだ!」
「二人共、優秀な戦闘魔法師なんよ?ちなみに、ユイちゃんの弟のユウ君もとんでもなく優秀で、中等部の頃は【萩ケ丘の竜】なんて呼ばれとったんやけん!」
「【萩ケ丘の竜】!?」
萩ケ丘とは、門司区の大里戸ノ上地区にある地名だ。
「もう、マチちゃん、その呼び名は恥ずかしいっちゃん!というか、それ本人が勝手に言っとーだけやけんね?」
「あははは!」
見た感じ、マチとユイは本当に仲が良い友達のようだ。
マチにもマリやユウト達以外にこんな友達がいたんだな、と思っているとユイがこんな事を言い出した。
「あ、それでね、マサトさん!そのユウ君のことなんだけど、ひょっとしたらマサトさんに迷惑かけるかもしれないから、先に謝っておこうと思って」
「え、迷惑かけるって…、どういうこと?」
俺が疑問に思っていると、マチはユイの言わんとすることに気が付いたのか、「あー…」と言いながらユイに代わって説明した。
「ユウ君、中等部の頃からユウちゃんやユウキちゃんのことを狙っとったっちゃん…」
「え!?」
「うん。ユウ君も、かなりのおっぱい好きだから、おっぱい大っきいユウトちゃんやユウキちゃんにずっとアプローチしとったんよね…
だから、その二人を恋人にしたマサトさんに、ひょっとしたらちょっかいかけてくるかも…、って…」
なるほど、そういうことか…
まぁ、ユウトもユウキも超絶美少女で美爆乳だからな…
男子は勿論、女子からもモテモテだろうから、そんな二人の恋人である俺が恨みを買うのはある意味必然だろう。
「まぁ…、その辺は、あの二人と付き合うって決心した時点で覚悟はしとったけん、ユイは気にせんでいいよ。もし、本当に何か言われたら、そん時は正々堂々と対応するよ」
「うん、でも、そん時はゴメンね?」
と、最後にユイに謝られたが、この時の俺はユウのことをまだ軽く考えていた。
まさか後日、あんな事になるとは思ってもみなかった……
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そして、最後に自己紹介に現れたのは戦乙女科の四人目の生徒だった。
「どうもー!ウチの名前は蒼柳恋歌!気安くレンカって呼んでやー♪
身長は159cm、体重は秘密♥スリーサイズは上から92、55、83!誕生日は10月20日!
〈原初の蒼玉〉で、〈ヴァルキリーサファイア〉に変身する、戦乙女科の青担当美少女や!いや、青担当美少女ってなんやねーん!
ってなわけで、マサトはんウチのこともよろしゅう頼んますー♪」
と、関西弁っぽいイントネーションで話すレンカに俺も軽く自己紹介しつつ質問をした。
「レンカは第26魔法都市出身なん?それとも、両親が?」
第26魔法都市は、旧大阪府を中心とした関西地区の魔法都市だ。
このご時世、魔法都市から魔法都市へ引っ越すのは珍しいため、真っ先にそういう質問をしてしまったわけだが予想外の答えが返ってきた。
「んにゃ、ウチんとこはご先祖さん含めて、ず〜っと第12魔法都市出身の生粋の九州人やで」
「じゃあ、なんで関西弁なん!?」
「いやー、こうでもせんとマサトはんにアピール出来へんかな〜思てな?」
「俺にアピール?」
「せや!だって、マサトはんの恋人はん達、皆おっぱい大っきいやん!ウチかてそれなりに自信あったけど、皆の前やとそーでもないやん?やけん、それ以外で個性出そ思たら口調変えるしかないやん?」
「それで関西弁…?」
いわゆるエセ関西弁というやつだが、本家の人達に聞かれたら怒られそうだな…
「心配あらへんて♪このご時世、第26魔法都市の人達がこっちに来る事は滅多に無いっちゃけん、怒られることはあらへんて♪」
「まぁ…、それはそうかもしれんけど…」
「ま、そういうわけやけん、ウチのこと名前とおっぱいだけでも覚えてってーな〜♪」
そう言って、俺の手を取ったかと思うとその手を自身の右胸に当てるレンカ。
途端に柔らかい感触が掌に伝わってきて、俺の股間は逆に硬くなった。
「な…っ!?」
「んふふ♥まるでたこ焼きみたいに柔らかいやろ?」
「そ、それは例えとして合ってんのか…!?」
俺がレンカのおっぱいから手を離せなくなっていると、マチが俺の手を取ると、
「はーい、今日はここまででーす」
と言って、俺の手をレンカのおっぱいから強制的に離した。
「あらら、もう終いなん?」
「うん、レンカちゃんには申し訳ないけど、もうそろそろマリちゃん達が限界みたいでね…」
「あー…」
見れば、俺達から少し離れた所にいる俺の恋人達が、鼻息荒くこちらの方を見ていた。
「ずっとお預け状態やったけん、そろそろお兄ちゃん成分を補給したいみたいなんよ…」
「まぁ、そういうことならしゃーないな〜
ウチは先輩恋人はん達とも仲良ーしたいけん、今日のところはこの辺にしとこか、ほなな、マサトはん♪」
そう言って、レンカは最後に「ちゅっ♥」と投げキッスをして去って行った。
こうして、新入生歓迎パーティーと言う名の、半ば俺のお見合いパーティー状態と化したパーティーは幕を閉じた。
ちなみにこの日の夜、俺の部屋に俺の恋人達が全員集まって、全員で夜を過ごすことになったわけなのだが…、まだ入学式前ということで、直接的な行為は出来ないため、俺は美少女達のおっぱいと甘酸っぱい匂いに包まれて、一晩中悶々として一睡も出来なかった……




