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本当にそれ、ダンジョンですか?  作者: ポリエステル100%
中級冒険者の章

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第108話 エピローグ ペットな日常


「むにゃむにゃ……シコシコスプラッシュ?……むにゃむにゃ」


「ユウタ起きなさい、朝よ。ふふ……だらしない寝顔ね」


「むにゃ……あれぇ、るなさまだー。おはようございますぅ」


 優しく頭を撫でられる感触で目を開けると、慈愛の笑みを浮かべたルナ様がボクを見つめていた。銀色に輝くサラサラな髪をアップにまとめ、艶やかな赤い着物を着たルナ様はどこか浮世離れしたお嬢様に見えた。


 昨夜の事を思い出した。3Pの事ではなくギルドでの事だ。スペースコロニーを攻略したというアナウンスが流れたという話だったがボクには全く記憶にない。そしてあの不思議な称号『ルナのご主人様(ペット)』は何だったのだろうか。


「可愛いわねユウタ。一晩中貴方の寝顔を見ていたのよ」


「えへへ、そうなんですね。あ、そうだ。あけましておめでとうございます、ルナ様」


「ええ、おめでとう。今年は私が完璧にお世話してみせるわ。ふふ……覚悟しなさい」 


「あ、ありがとうございます……」


 ルナ様はお手伝いさんになったと言っていたが、このまま住み込みで働くのだろうか。七海さんとどこで出会ったのか聞きたいような聞きたくないような、そんな複雑な心境だった。


 それとボクが内心でドキドキしているのがインスタだ。ドSビッチなルナ様として大活躍していたアカウントが突然跡形も無く消えてしまったのです。ビアンカちゃんのアカウントに投稿されていたルナ様の写真さえも綺麗サッパリと。まるで超常現象のようだけど、ボクの記憶には今もドSビッチなルナ様は生き続けているのでご安心下さい。


 あと、ルナ様がボクを見る目がペットのようだと思いました。




   ◇




「次は黒豆を食べなさい。はい、あ~ん」


 ペット生活1日目、ボクはルナ様に餌付けをされています。朝の準備をしてリビングへ向かうと、テーブルの上にはルナ様が用意してくれた豪華なおせち料理が並んでいました。大きな海老までいましたよ?


 全部ルナ様の手料理と言っていたけどキッチンを使った形跡が無かった。もしかしてスペースコロニーで作った料理をワープさせて来たのか!?


「ふふ……ユウタおいしい?」


「おいひぃれふー。モグモグ」


 昨晩と同様にお箸を奪われてしまったボクはルナ様に餌付けされてしまったのです。美少女なルナ様に餌付けされるのはちょっと楽しいかもしれない。七海さんのあ~んはたまに口を外してしまう事があるのです。その場合はチューしてくれるんだけどね!





 そんな豪勢な朝ごはんを堪能した後、ボクは何気なくテレビを付けてみた。新年だから何か特番でもやってると思ったのだ。お正月の深夜とかちょっとエッチな番組があって楽しいよね? 朝だからエッチなのは無いと思うけど、好きな芸人さんが出ているかもしれない。



『宇宙に出現した謎の宇宙船、今は姿を消してしまいましたが――』



 朝のお天気を伝えるエチエチなお天気お姉さんが真剣な顔で解説をしていた。その映像を見ると宇宙に浮かぶ不気味な宇宙船のようにも見えた。円筒形の巨大な船、あれがルナ様のスペースコロニーなのだろう。


「はえー、お正月なのにニュース番組ばっかりで物々しいですねぇ」


 新春を祝う雰囲気ではなく、政治討論番組のような形でスーツ姿のお偉いさんが生中継で難しい話をしていた。最近テレビを見てなかったから知らなかったけど、スペースコロニーは世界中を恐怖に陥れたようだ。


 ルナ様がボクに逢うために遠い宇宙の果てからやって来たスペースコロニーだけど、ニュース番組の映像を見たら他国の衛星をビームで跡形も無く打ち落としてしまったらしい。ガクガクブルブル……。


「ダメよユウタ。今は動かないでジッとしてなさい」


 そんなボクの気持ちとは裏腹にルナ様はのほほんとしており、今はボクを膝枕した状態で耳掃除をしてくれています。ちょっとくらい動いたとしてもルナ様がミスをする訳も無く、安心して身を任せているのでした。ルナ様の太もも気持ちいいですー。


 それにしても解せない事がある。こんなにも温厚なルナ様率いるスペースコロニーが訳も無く衛星を破壊するだろうか? ボク、気になります!!


「でもでも、ニュースが気になっちゃって。ほら、衛星が無くなっちゃいましたよ? 一瞬で跡形も無く消えちゃいました! 衛星から攻撃でもされたんですか?」


「ふふ……あんな衛星(おもちゃ)私の城(スペースコロニー)を攻撃出来る訳ないじゃないの。あははっ、ダメよユウタ。可笑し過ぎて手が滑ってしまいそうだわ」


「ギャー!? いまゴリって、ゴリって言いましたよ! はわわわわ」


 ルナ様は大きく口を開けて爆笑している。衛星ってミサイル積んでないの? ゲームとかで見たような気がするけど違うのか!


「ふふ……危なかったわ。衛星の時と同じで、手が滑って危うくユウタの鼓膜をチュドーンと破壊しちゃうところだったわ」


「なっ、じゃあ衛星も手が滑って……!? それでチュドーンしちゃったんですかー!? ルナ様はしっかりしているように見えて実はドジっ子属性だったんですねぇ」


「…………」


 何故かジト目攻撃をされてしまいました。解せぬ……。


 話を変えよう。


「え、えっとぉ、ニュースでスペースコロニーが消えちゃったって言ってますけど、もしかして帰っちゃったんですか?」


「私達に帰るところは無いわ。ユウタの居るこの星が私達の新しい家だもの。アレは人間を驚かせてしまったから隠しているのよ。ほら、これでそのうち人間が騒ぎ出すわよ」


 ボクの居る地球が新しい家と聞いて心がポカポカとした。ルナ様もチロルもボクの家族みたいなものなのだろう。


 ルナ様の言った通り、テレビから緊急速報を知らせるアラームが鳴り出した。



『衛星を破壊した謎の宇宙船が再び姿を現しました!! 繰り返します、衛星を――』



「ほらね?」


「はわわわわ! ほらね、じゃありませんよぉ! どうするんですか、みんな大混乱ですよ!? 地球を侵略しに来た宇宙人ってみんな騒いでますー」


「別に構わないわ。私はユウタが居ればそれでいいの。安心なさい、危なくなったらスペースコロニーに避難すればいいわ。もちろん奥様や大事な人を連れて行ってあげる」


「それはそれで困りますー!」


 ボクは平和な世界が好きなのだ。朝は美少女に優しく起こされ、昼は軽くお仕事して、夜は七海さんとイチャラブエッチをして眠りに就く。それでギルドに行って大冒険を繰り広げるのだ。そんな日常がボクは何よりも幸せだと思う。


 だからルナ様にはもう少し人類の味方のような立ち位置になって欲しい。今のままじゃ人類の敵で終わってしまう。この先も平和に暮らすために、少しだけ譲歩して貰えないだろうかと考えた。昨日までの自分とは違う冴えた頭、もしかしたら賢さが上がった成果かもしれない!


「ルナ様にはもう少し人間に優しくして欲しいです。ほら、このままじゃスペースコロニーは地球の侵略者ですよ?」


「嫌よ」


「えっ、あれ、今何て言いました?」


「嫌って言ったのよ。何で私が人間の味方をしないといけないのかしら? この神である私が人間に頭を下げろと言うの?」


「あ、あれぇ?」


 お優しいルナ様の事だからてっきり快諾してくれると思ったのに当てが外れた。『ふふ……ユウタが言うのなら仕方ないわね』とかそんな感じの回答を期待していたのだ。これはマズイぞ……。


 ここでボクがしっかりとルナ様を更生させないとスペースコロニーがまたダンジョン化してしまうかもしれない。チロルの話では、スペースコロニーの住人を大虐殺して人類の敵と認定されたみたいな事を言っていたのを思い出した。この冴え渡る頭脳、さすが賢さ7だと思った。


 真剣な話をするのに膝枕はマズいと思ったので一言断ってから起き上がり、ルナ様の顔をビシィっと見つめボクは想いを伝えた。


「ルナ様が人間を嫌いというのは良く分かりました。でも、ボクの大好きなルナ様が宇宙人や侵略者と言って貶されるのは嫌なんです! だからお願いします、少しだけでいいので譲歩して頂けないでしょうか……?」


「……」


 ボクはビシィっと頭を下げて想いを伝えた。これは噓偽りないボクの本音だ。これからルナ様と生活する中で、毎日のようにスペースコロニーのニュースが流れるのだ。例えば街をお買い物している時に主婦のおばちゃんが世間話をしていたら、『宇宙人怖いわね~』とか『化け物が襲って来るに違いないわ!』とか、そんな話も聞こえて来るだろう。ルナ様は気にしないかもしれないけど、ボクは結構傷付いてしまうかもしれない。


「それにまだ分かりませんが、この先ボクと七海さんが結婚したら子供が出来るかもしれません。子供がニュースを見てルナ様を貶すような姿は見たくありません! ……今ならごめんなさいで許されると思うんです。ダメ……ですか?」


 ここでボクは捨て身の作戦に出た。薄っすらと涙を浮かべて上目遣いでルナ様を見つめたのだ。この必殺技は諸刃の剣、七海さんにボクの好きなワンワンスタイルをお願いする時にこの技を使うと、50%の確率で逆に襲われてしまうのでした。いけるか!?


「そうね、産まれて来る子供にそんな事を言われるのは辛いわね……」


「じゃ、じゃあ!?」


「ええ、ユウタの言う通りに謝っておくわ」


 ふふふ、50%の確率を引いたぞ!!


 これで全て一件落着だ。ルナ様が人類に向けて声明を出すのだろうか、それともどこかのテレビ局に出現して生放送をするのかもしれない。ワクワクドキドキ。




『き、緊急速報です!! 謎の宇宙船から小型の飛行物体が飛び出して発光を始めたそうです! あっ、映像が届きました! これはドローンアートなのでしょうか? 宇宙規模の巨大なドローンアートです。これは宇宙船から私達人類へのメッセージなのでしょうか? どんどん形が変わっていきます。…………えっ、ナニコレ?』




「…………手が滑って破壊しましたごめんなさい。補償や苦情はユウタまで。ボク達ズッ友だよ?」


 宇宙に浮かぶ謎のメッセージに世界が混乱している。日本語はもちろんのこと、英語を始めとした全ての言語でメッセージを順番に表示していた。でもユウタまでって文言は不要じゃないですかねぇ?


「ふふ……これでいいでしょう? じゃあ今度は私のお願いを聞いてもらう番ね」


「な、何ですかお願いって? そんな約束しましたっけ?」


 自分の仕事はもう終わったとばかりにルナ様がそんな事を言って来た。あれ、っていうかビアンカちゃんとチロルはどこに行っちゃったの? あれぇ?


 どんなお願いなのかビクビクしているとルナ様がいやらしい笑み浮かべてこう言って来た。


「私はユウタと奥様の子供が見たいわ」


「こ、子供……?」


 徐にボクの手を掴んだルナ様が寝室へ向けて歩き出した。ボクの力じゃ抗う事も出来そうにない。


 ボクの部屋に連れ込まれガチャリと鍵が掛かった音を聞いた時、何か嫌な予感を覚えた。


「ふふ……安心なさいユウタ。別に怖い事なんて何もないのだから。あと数時間もしたら奥様が帰って来るわ」


「七海さんが帰って来るんですか!? いや、嬉しいですけどルナ様はどうしてボクに迫って来るんですか? あのあのっ、ボク困りますー」


 ルナ様に服を脱がされ抱き締められてしまった。もしかして七海さんが帰って来る前にエチエチトレーニングですか!?


「奥様が帰って来るまでじっくりと時間を掛けてマッサージしてあげる。安心なさい、絶対にイカせたりしないから」


「そ、それって……!?」


 嫌な予感が的中してしまった。もしかしてルナ様は本気で子作りをさせようとしているのか!?


「こんなサプライズはどうかしら? 何も知らず帰って来た奥様が見たのはトロトロになっておねだりするユウタの淫らな姿、そして久しぶりの再会に興奮した奥様は避妊もせず情熱的な姫始め(交尾)を開始する。ふふ……可愛いユウタの子供が楽しみだわ」


「ちょ、それはマズいですって! ボクはまだ学生ですし、ああっー!?」


 もしかしたらルナ様はボク達人間の事を愛玩動物のように見ているのかもしれない。なるほど、これがルナのご主人様(ペット)という称号の効果か!



 そうしてボクの新しい一年がスタートした。


「ふふ……今日は奥様のタイミングもバッチリな日よ。全部私に任せておきなさい」


「ちょっ、待って下さいルナ様、ボクはまだプロポーズもしてないのでそれはちょっとーっ」 


 ルナ様にマッサージされて意識がフワフワとする中、ボクは不思議なシーンを視た。七海さんやビアンカちゃん、そしてルナ様が小さな子供を抱えて笑顔を浮かべる姿を……。


 あの日、七海さんにフラれてからボクの人生は大きく動いた。本当にダンジョンなのかイマイチ分からないけど、これのお陰でボクの寂しい人生は色づき始めたのだ。


 ボクの人生は急展開を迎えようとしているが、ボクの冒険は始まったばかりなのだ。ゆっくりと攻略して行こうと思う。


 きっと明日も楽しい冒険が出来ると願って――。

ここまで読んて頂いた方、ありがとうございました!

ユウタのメインストーリーはここで一旦完結です。当初の予定より大幅に長くなってしまいましたが、サクサク書けて楽しかったです。


最後に、ブクマや評価を入れて下さった方ありがとうございます。良い思い出になりました。

読んでくれた全ての方に感謝を――!

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