8.本の虫になる
さて、今回のお休みは・・・と思ったら、ジルとエリーに辞退されました。
---えー、楽しい事しようよ!思ったけど、あえて言うのはやめました。ただ単に面白がっているだけだと思われるから。
一応、遅刻のお試しはしたようで・・・おい、休みは無かったはずなのにいつ試したんだ。
ジルは・・・色々考えて、想像して本当に来られない状況だったら街の警備を担当する騎士に捜索を・・・なんて想像していたみたいで。まぁ、ちゃんとお話聞いてくれましたよ?
エリーは・・・凄く挙動不審になってしまって・・・すごくソワソワしていました。心配してくれたみたいです。
双方、・・・ちょっと嬉しかったです!と顔を赤らめながら報告をしてくれました。
はい!じゃぁ、後はご自由に!
---なんて、聞いていたら・・・アンリがジトッーとこちらを見ていました。
アンリはプレゼントしちゃったからね。
まぁ、三人で仲良くもめて下さい。
そうそう、アンリですが次回のデートでキチンとお相手からプロポーズしてくれる事になり、それなりに幸せなのだそうな。
「あっ、言い忘れていたけど、結婚しても出来たら三人とも私の傍でメイドしていてね~・・・ダメっていう相手なら別れさせてあげる~」
なんて、言ってみた。そこは譲れないので・・・出来るだけ話し合いをして。
---本当に別れさせないから、そんな絶望的な目で私を見ないで!!
さてさて、最近暇を持て余し始めています。何故かというと、部屋に持ち込まれる本が、つまらないだって絵本だよ!できればオドロオドロシイ怖い本とか、どろどろ恋愛小説とか、テンプレ冒険物とかを希望する!
如何せん・・・幼児なのが駄目なんだろう。
「---ねぇ、本が沢山ある部屋に行きたい、連れてって」
メイドさんにお願いしたら、なんと・・・思いもよらぬ場所にあった。
・・・お父様の執務室だってよ。思わず、とっても渋い顔をしてしまった。・・・幼児にあるまじき表情だ。
あ~今まで、父について多くは語らなかったが、もちろん私キャロラインにも父は存在する。毎朝食事の際に顔を合わせてはいるのだが!
正面からきっちりと顔を合わせられないのだ---・・・・。
父が嫌いとか、ブサイクというわけではない!むしろ、ストライク!といいたくなるくらいの、好みのタイプだ!・・・金髪の男性という王子様だ~という感じなのだ。
キラキラに毎日顔をあわせるなんて、精神年齢が年増のおばさんとしてはもう目がクラクラする。
そして、自分が恥ずかしい・・・子供であるキャロラインの姿でそんな訳はない、精神的にだ。
日本人主婦の姿で傍に居るのを想像しただけで、扉の影から隠れたくなるくらいのキラキラ笑顔を振りまき、「今日も素敵な一日でありますように!」とオデコにチューをしてくるのだ!
---初めて意識した時の衝撃といったら凄いものだった。申し訳ないが部屋に戻ってしまったほどだ。
そんな衝撃の翌日も同じ事をされたのだが、ここは耐えた。お母様のやわらかい胸に顔を埋め、涙目になりながらも・・・耐えた。
お母様に促されて、そっと顔を上げ小さな声で「おはようございます。お父様」と言ったのだが、お父様が目を細めニッコリと微笑んだのを見ていられなく・・・またグリグリとお母様の胸の谷間に顔を埋め、心の安定を求めてしまった。
これが、今の我が家の毎朝行われる攻防である。
私はこのキラキラお父様が仕事をしている部屋に向かわなければならないらしいのだ・・・。
それならば、行かなければいいじゃないか!?と思うだろう。だが・・・キラキラお父様と天秤にかけて行こうか、行くまいか・・・と考えてしまう程の、タイプの男性がいる。
---それは、従者さんだ!
心は純日本人の私なので、金髪碧眼お父様はまぶしくて仕方がない・・・迷惑なイケメンだ。金髪イケメンはテレビの中で見るとかで「かっこいい~」と言っていられればいいのだ。
だが私の心を揺さぶるイケメンが一人居る。お父様の従者さんが、黒目黒髪のイケメンさんなのだ!!
---わたしの心のオアシスだ。・・・お父様の衝撃とは対象的に、従者さんの和む雰囲気。二人がセットならば!!と行ってもいかなぁと、考えてしまう。
言っておくが、従者さんで私は和むのだが、他の人がそうだとは限らない。・・・なんせ、仕事には手を抜かない、絶対零度の冷たい視線、何かをたくらむような冷たい微笑み。
---そんな彼が私は大好きだ!!・・・もちろん観察している事がだけどね。睨まれるのは勘弁して欲しいのは、私も同じ。
そう例えるならば、某アニメの鬼の補佐官だ。私はすっごいタイプなのだ。想像するだけでとても楽しい気分になる・・・彼を落とす女はどんなのだろうとか。
ものすごい駄目駄目女性か・・・イライラしてつい気にしてたら、好きになっちゃったパターンか?!
似たもの同士で行け行けGOGO!!なのか、とか、
好きになったら、デレルのか?!とか、思っちゃうとキリがない。
でも、デレさせてみたい。・・・3歳児にデレる事はないだろう。デレたらちょっと怖いな。
さて、そんなお父様の部屋・・・正しくは、執務室の中の扉を入った先の部屋に用があるんだと。・・・必ず執務室は通らないといけないんだね。
メイド三人は、従者さんが怖いので、執務室の奥の本を貸してくれ!とは言えないんだって・・・。仕事してよ、お願い。言いつけちゃうぞ!!
私は、意を決してお父様の執務室に向かった・・・行きたくなさそうなメイドはジャンケンしてお供の一人を決めていた。---そんなにイヤか!?
「コンコン、お父様いらっしゃいますか~」
と控えめにノックをしてみたが、返事がない。しめしめ、これは不在という事か!?
・・・・・なんて、事はありませんでした。
「お返事がないので、勝手にはいっちゃいますよ~」
なんて独り言をいいながら、そおっと扉を開けて中を覗き込んだ。
「「----・・・・・」」
二つの目が、私に釘付けになっていた。
---うおぉっ!凄い衝撃だ・・・出来れば扉を閉めて退散したい!・・・だが、真後ろには、ジャンケン負けたエリーがいて下がる事が出来なかった---くうぅ~。
よし!気を取り直して、用件をさっさと済ませ書庫に篭るのだ!!
「---・・・あの~、お仕事お疲れ様です。お忙しいところ申し訳ないのですが、お父様の書庫を見せていただく事は出来ないでしょうか?」
と扉から、半分顔をだし、恐る恐る言ってみた・・・キラキライケメンビームは苦手なのだ。
・・・そんな私の気持ちを知ってか知らずか・・・いや知らないよね。父親なのにキラキラ過ぎて、嫌いじゃないしどっちかって言うと好きだけど、苦手だと思われているなんて---しかも3歳児に。
私の大好き従者さんが、こちらにやってきて、扉を開けてくれた。・・・エリーを一睨みして。
・・・エリー怒られるパターンだよね。はあぁ~素敵な睨みです。
従者さんに、招き入れられた私はお父様の前に立ち、再度お願いをする事にした。
「---お父様、書庫見せてください。お願いします」
父と従者さんが、顔を合わせうなずくと、私に向かってニッコリと微笑んでくれた。
従者さん~笑顔が素敵、口と目尻は笑っているように見えるけど、瞳が頬のが、笑っている風には見えないよ!・・・お父様は、・・・もういい、お腹いっぱいですよ。
お父様が「・・・好きなだけ居るといい」と許可を出すと、従者さんが書庫に続く扉を開けエスコートしてくれた。
もう!!従者さん素敵過ぎ!
案内されたその部屋は、壁一面に本が並べられ、真ん中に大きなテーブルと椅子が置いてあった。明かり取りの出窓の下には、ゆったりとしたソファーにサイドテーブルが置かれ、とてもクラシカルで重厚なつくりになっていた。
・・・これはもう、ここに住むしかない!!
「御用がございましたら、お呼びください」
---なんて、もう呼んじゃうよ。・・・エリーが居るのに用事は無いと思うのだが、その一声が嬉い。
・・・毎日、あなたに会う為に通います!!
ブックマークして下さった方、読んでいただいた方、ありがとうございます。
つたない文章ですが、読んでくれて嬉しいです。




